ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第100巻-4傑作・アサルトライフル

2007-10-13 23:41:58 | 第096巻~第100巻

■傑作・アサルトライフル(第339話) 発表1992年4月

評価   ★★★★★

依頼人  シトロエン社ピエール

ターゲット パリ・ラ・カップラリー出場の日本車

報酬    不明

今回弾丸発射数      12/ 通算弾丸発射数 1,854

今回殺害人数         4/ 通算殺害人数   4,018

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
従来の突撃銃を圧倒的な性能差で凌駕する新型銃が完成した。開発者は最強の傭兵を雇いゴルゴに戦いを挑む・・・

<この一言>
罠と同時に・・・俺への挑戦!

<もう一言>
いいバレルだ・・・A2とのマッチングもいい・・・

<解説>
ヨーロッパの武器商人で、改造銃の奇才と呼ばれているカイザー博士。世界4大突撃銃といわれる「アメリカ:M16」「ソ連:AK47」「ドイツ:G3」「イギリス:FAL」を凌駕する新型銃を完成させたカイザーは、フランスNo1の傭兵サビーヌ兄弟を使って実戦テストを行う。新型銃をサビーヌ兄弟に持たせ、ゴルゴと対決させるというのだ。

カイザーはシトロエン社の「ピエール」を使ってゴルゴにニセの依頼を行い、ゴルゴを砂漠に誘い出す。ゴルゴを待ち受けるサビーヌ兄弟の手にした新型銃は2種。
G11:一度のトリガーで反動を抑えて3連射する命中率を高めた銃。
AUG77:狙撃銃の命中性と接近戦での俊敏性を兼ね備え、新型のレーザーサイトを備えた銃。

新型銃の性能を確かめるべく、肉を切らせて骨で断つ作戦に出たゴルゴは被弾しながらもサビーヌ兄弟に撃ち勝つ。接近戦の一進一退の攻防は、カイザーが言うように「一瞬の判断が凄い!砂漠の名勝負」である。映画マトリックスばりに弾丸を仰け反りながら避け、ハイジャンプをしながら撃ち下ろしで一人を仕留め、相手の弾丸を頭髪に受けながら寸での所でもう一人にトドメを刺す。
戦いを終えたゴルゴは、愛銃である「M16A1」の後継機種「M16A2」カスタムを受けとる。武器職人「ベリンガー」が8年がかりで探し当てたバレルを、その職人技で加工したM16A2はゴルゴをして「いいバレルだ・・・A2とのマッチングもいい・・・」と言わしめている。

「対決もの」としても完成度が高く、また、ゴルゴの愛用するM16が「A1」から「A2」に更新された経緯が示される非常に重要な作品。M16A2が登場して10年の歳月が経った時点でゴルゴは「A2」を手にしているのだが、その理由は、
・世界各国での実戦使用における評価を確認してから導入したかった
・ゴルゴが満足できる仕上がりの「A2」の完成を待っていた
ということが分かる。
突撃銃の発展の歴史が記されていることも興味深いが、「今後は中東が世界の戦場だ!」というカイザーの予言が的中しているのも恐ろしい・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (100)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第100巻-3邯鄲の夢

2007-10-08 23:53:55 | 第096巻~第100巻

■邯鄲の夢(第338話) 発表1992年8月

評価   ★★★

依頼人  中国共産党執行部

ターゲット 毛沢東肖像画(中国共産党保守派重鎮 老青文への警告)

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,842

今回殺害人数         0/ 通算殺害人数   4,014

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
中国各地で「毛沢東」の肖像画がブームに。中国共産党保守派の仕込んだ工作に対し、党執行部は・・・

<この一言>
ジョークは時と場所を選ぶ事だ・・・

<もう一言>
まわりくどい話はもういい・・・はっきりと標的を示してもらおう・・・

<解説>
中国各地で「毛沢東」の肖像画がブームに。人民はこぞって肖像画を手に入れようとするが、「毛沢東」ブームは共産党保守派重鎮「老青文」が巧みに仕込んだプロパガンダであり、党内勢力の拡大を図るための陽動であった。

党執行部は、保革勢力の均衡を保つために「老青文」に警告を与えることを決定、ゴルゴに接触する。ゴルゴへの依頼は、老青文の殺害ではなく、老青文に警告を与えること。毛沢東の肖像画を射抜いて保守派の闊歩を自粛させるのが目的だ。

ゴルゴは老青文の寝室に掲げられた毛沢東肖像画の眉間を射抜く。老青文は、党執行部の警告の意味を汲み取り自らの政治生命の終焉を悟る。

「警告を与えるために毛沢東の肖像を撃って欲しい。」
この単純な依頼を回りくどく話す共産党執行部幹部に対し、ゴルゴがいらだちを顕わにしているのが可笑しい。
幹部の語る言葉が示唆に富んでいる。
「誰もが安易に入手できるなら、神通力を失う」
「特別性が意味を失い、大量生産大量消費が価値を持つ社会、すなわち資本主義社会」
ブランドが氾濫することでその特異性が希薄化し、ハイクオリティ・ブランドとコモディティとに二極化する消費。消費の二極化はマーケットの分断をもたらし、労働力の二極化、ひいては社会階層の二極化をもたらす。図らずも本作は日本社会の階層分断を予告しているのである・・・

ズキューン

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ゴルゴ13第100巻-2ウエストウッドに死す

2007-10-07 23:47:07 | 第096巻~第100巻

■ウエストウッドに死す(第337話) 発表1992年11月

評価   ★★

依頼人  ロバート・ウインダム

ターゲット 元FBIロス支局長フレドリック・アトキンス

報酬    $250,000

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,841

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   4,014

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
マリリン・モンローに取り憑かれた男の執念。モンローの死の謎に絡み、ゴルゴは・・・

<この一言>
依頼のルールを守るかぎり、俺は自分の視野に入っている依頼人以外興味はない・・・

<解説>
ロサンゼルスで教会雑用係の老人「ロバート・ウインダム」が飲酒により死亡。ロバートは医者に飲酒を禁じられていたが、命を賭けて祝杯をあげたのであろうかデスマスクには笑顔が浮かんでいた。事件を捜査するクリアキン警部は捜査を進めるうちに、ロバートは元FBIロス支局長「フレドリック・アトキンス」に脅迫状を残していたこと、マリリン・モンローと同じ孤児院出身であることを突き止める。

クリアキン警部は元FBIのフレドリックを訪ね、ロバートとフレドリックがマリリン・モンローを介して接点があることを知る。
マリリン・モンローの警護兼監視を務めていたフレドリックはモンローを愛してしまい”ケネディ”との関係を清算するように忠告する。フレドリックは自らの思いとモンローの置かれた危険な立場を慮る手紙をしたためたが、この手紙がふとしたきっかけでモンローからロバートに渡ってしまい、ロバートはフレドリックを逆恨みするようになる。

ロバートはフレドリックを脅迫し、$250,000を強請り取るとゴルゴにフレドリックの殺害を依頼。フレドリックはゴルゴに狙われると知るや自らの生には執着せず、クリアキン警部に全てを告白する。直後にゴルゴの弾丸がフレドリックを捉えるが、フレドリックのデスマスクも笑みを浮かべモンローへの想いを示すのであった・・・

今もって謎の、モンローに死を題材にした作品。モンローの死に対する踏み込みが甘く、ストーリーの深遠さに欠けるのが難点だ。

ズキューン

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ゴルゴ13第100巻-1黄金の男

2007-10-06 23:45:24 | 第096巻~第100巻

■黄金の男(第336話) 発表1992年2月

評価   ★★

依頼人  なし

ターゲット コロンビア・コカイン・カルテルのボス「ロハス・ドミンゴ」

報酬    なし

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 1,840

今回殺害人数         5/ 通算殺害人数   4,013

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
コロンビアで麻薬シンジケートに急襲されたゴルゴ。瀕死のゴルゴを救出した少年がシンジケートに誘拐され・・・

<この一言>
あんたたちへの”恩返し”というんじゃない・・・やつらには俺個人の貸しがあるんだ・・・俺のけじめだ!

<解説>
コロンビア・ボゴタで麻薬シンジケートに急襲されたゴルゴ。武器携行が厳しく制限されているこの地ではゴルゴといえど丸腰でシンジケートに対峙せねばならず、シンジケートに追い込まれた末、崖下に転落する。

ボゴタでコーヒー園を営むミゲル一家に助けられたゴルゴは、3日間生死の境を彷徨ったあげく生還。ミゲル一家のコーヒー園を手伝いながら傷の治癒に努めていた。そんな折、ゴルゴを襲った麻薬シンジケートがミゲル家に押し掛け、コカイン栽培を強要する。シンジケート側の要求を断ったミゲルであるが、ミゲルの一人息子「パコ」がシンジケートに誘拐される。

シンジケートに歯向かおうとするミゲルを押しとどめ、麻薬シンジケートのボス「ロハス・ドミンゴ」の屋敷に単身乗り込むゴルゴ。ゴルゴを襲った「ホセ・ロドリゲス」とシンジケートのボス「ドミンゴ」を葬り去り、自らに牙を剥いたシンジケートに対する報復を完遂させ、パコを救出する。

薬物(アルコール)に耐性があるゴルゴとはいえ、ガソリンスタンド併設のバーでビールを飲み、飲酒運転の末、チンピラに追い込まれて瀕死の重傷を負ってしまうゴルゴ。急襲されたとはいえ、あまりにも無防備なゴルゴに失望を感じ得ない。パコに示す男気がなければ、★ひとつの評価になるところだ・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (100)巻掲載
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ゴルゴ13第99巻-3THE SILENT ARMY

2007-10-05 23:52:44 | 第096巻~第100巻

■THE SILENT ARMY(第335話) 発表1992年7月

評価   ★★★

依頼人  国連レバノン暫定軍コンウェイ曹長、ノルプ

ターゲット イスラエル国防軍ダニエル大佐

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,837

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   4,008

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
レバノンに駐留する国連レバノン暫定軍。イスラエル軍と相対する暫定軍は、専守防衛の原則を忠実に守る「静かな軍隊」である・・・

<この一言>
同時に用件を聞くほど、俺は器用じゃあない・・・話すのは一人でいい・・・

<もう一言>
俺は、与えられた条件の、技術的な範疇にしか、興味はない。

<解説>
レバノンに駐留する「国連レバノン暫定軍」。1978年よりレバノンに駐留し、イスラエル軍の撤退の確認とレバノンの安全確保のために活動するこの国連軍は、しかし、中立が大原則で交戦を目的としておらず、最低限の武器を携行するのみで専守防衛に徹していた。

イスラエル軍「ダニエル大佐」により仲間を殺された国連軍の「コンウェイ曹長」と「ノルプ」は、敵を討つためにゴルゴに接触、ダニエル大佐の殺害を依頼する。しかし、この依頼は次の3点の理由により非常に難度の高いミッションであった。
①国連軍は正当防衛と認められる攻撃しかできない
②国連軍が銃を撃つ場合、空に向かってしか撃てない
ダニエル大佐は危険回避のため500m以内に銃器を持った人間を近づけない

一兵卒になりすましたゴルゴが参加する国連軍は、イスラエル軍と交わる。しかし、武器使用が制限されている国連軍は、素手でイスラエル兵士と殴りあうしかない。事態を沈静化させるため、ゴルゴは空に向かって引き金を引く。しかし、空高く撃ちだされた弾丸は、放物線を描きダニエル大佐の眉間を射抜いていた。威嚇射撃に見せ掛けてダニエル大佐を仕留めたゴルゴの奇跡的狙撃が本作最大の見所と言っていい。

国連平和維持活動の課題を浮き彫りにする本作。日本の国際貢献と自衛隊の海外派遣について問題提起する本作は、発表より15年経った今日でも色あせてはいない。そしてまた、この問題に対する我々の認識は未だ対岸の火事の域を出ておらず、それゆえ、日本の進むべき方向に対するコンセンサスを形成できずにいる。

ズキューン

ゴルゴ13 (99)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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