ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第101巻-1メディアコントロール

2007-10-14 23:16:47 | 第101巻~第105巻

■メディアコントロール(第340話) 発表1992年9月

評価   ★★★

依頼人  フジワラ

ターゲット サトル・サエジマ

報酬    不明

今回弾丸発射数      23/ 通算弾丸発射数 1,877

今回殺害人数        19/ 通算殺害人数   4,037

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
旧ユーゴスラビア情勢を伝える映像は報道か演出か?アメリカ政府筋の情報操作を巡り・・・

<この一言>
・・・

<解説>
日本国籍の映像プロデューサー「サトル・サエジマ」は、米国国防省(ペンタゴン)の要請で旧ユーゴスラビアの民族紛争に関する映像を制作する。内容はクロアチア共和国内でセルビア人によるテロが発生したものであるが、実際にはアメリカ国内で撮影したフィクションであった。アメリカの軍事介入を世界世論に訴えるために国防省が”ヤラセ”映像の作成を指示したのである。

しかし、過度の演出による情報操作に危惧を覚えたサエジマの師「フジワラ」は、サエジマにユーゴ映像の放映中止を要請する。カネの亡者となり果てたサエジマは、フジワラの要請を拒否した挙げ句、フジワラを殺してしまう。死の直前フジワラは「私が死ぬことになれば、君(サエジマ)も必ず死ぬことになる」との言葉を残す。サエジマが調べたところ、フジワラは万一の場合ゴルゴにサエジマの始末を依頼していたのであった。

ペンタゴンから見捨てられたサエジマは、映像処理基地に立て籠もる。基地は、監視カメラで守られており、外部からの攻撃を衛星放送で全世界に配信できるようになっていた。しかし、ゴルゴは監視カメラを一台ずつ狙撃し、サエジマの”目”を奪う。心臓病を患っていたサエジマは、追い詰められて心拍数が急上昇し絶命する。ゴルゴはサエジマの心臓疾患を調べ上げており、精神的に追い詰めることでサエジマの命を奪ったのである。

映像による情報操作の危険性を警告する作品。テレビゲームのような”無血の戦闘”の映像が戦争の正当性を喚起したこと、油にまみれた鳥の映像がフセイン憎しの国際世論を喚起したことが、作品中で語られている。ボスニア紛争へのアメリカ介入がテーマとなっているが、このボスニア紛争で国際世論操作のためにPR会社が暗躍したことは『ドキュメント 戦争広告代理店』に詳しい。

ズキューン

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
賛美歌13番さんこんにちわ。 (ペロ)
2007-10-15 16:09:07
賛美歌13番さんこんにちわ。
情報操作については、何度か題材になっていますね。報道を鵜呑みにすることなく、自分の頭で解釈することが大切ですね。
本日の一句「情報に、踊らされるは、見苦しい」(最近“句”に切れがなくて、すみません)
返信する
ペロさん、こんばんは。 (賛美歌13番)
2007-10-16 00:03:41
ペロさん、こんばんは。
映像マニアのサエジマが画像の女性にしか興味を持たない、というのもオタク文化を早々に描写しているという点で興味深いですね。
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賛美歌13番さんはじめまして。 (15-34)
2008-09-20 20:38:35
賛美歌13番さんはじめまして。
戦争などの情報操作については、古代アッシリアからあったようですが、サエジマがステロタイプな日本人のそれである事が、日本人から見ても笑いを誘う。
(いかにもまともでない、って感じの)
ただ見方を変えればサエジマも結局は使い捨てなんですよね・・・
(そりゃゴルゴ相手に命を捨てたくないが)
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15-34さん、はじめまして。コメントありがとうござ... (賛美歌13番)
2008-09-21 15:41:56
15-34さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
>いかにもまともでない、って感じの
サエジマのキャラって、実は現代日本の病理を見越していたのかも。趣味が先鋭化し一億総オタク化し、仕事は個人の成果主義を突き抜けてハレーション、という昨今の世相を、92年発表の本作が見越しているようでコワイですね。
返信する
情報操作の点で言うと『豊田商事会長刺殺事件』で... (カイ)
2012-01-17 06:52:39
情報操作の点で言うと『豊田商事会長刺殺事件』では、会長を刺殺した男は当初、玄関先で躊躇っていたが、周りにいた報道陣に煽られて、殺害を実行したとの事。
そして煽った側は、自分たちの煽りの部分を上手く消していた…とか。

さらに、『掃除おばさん』の事件も真相は、被害者とされている住民が、掃除おばさんの心の弱み
(おばさんには、寝たきりの子がいた)を利用して、創価学会員にさせようとしたが、おばさんが拒否した為、ライトによる嫌がらせを始めた。
おばさんは抗議したが、やめない。
だから対抗して大音量の音楽と布団たたきをやった。

だがマスコミは、被害者には取材したが、おばさんには取材しないという挙に出る。


このような事では、いつまで経っても日本のマスコミは進歩しない。

さらに、日本のマスコミは、戦争をスポーツ中継の感覚で報道してるとの指摘もあります。

以上、長々と書きましたが、讃美歌13番さん、どう思われますか?
返信する
カイさん、こんばんは。 (讃美歌13番)
2012-02-19 20:56:26
カイさん、こんばんは。
情報操作、メディアについて思うことを記します。
テレビについては、全てが視聴率を取れるか否かを基準に動いていると思います。ニュースも含め、どれだけエンターテインできるかに各局は注力していて、本来のジャーナリスティックな姿勢は微塵も見られません。一方の情報操作については、記者クラブ制度が画一的な報道の原因と考えます。しかし、個人の発信力が強まったから真実が明るみになるかといえば、必ずしもそうではありません。ネットやTwitterの情報は、その情報量が多すぎる故、真贋の判断ができないためです。“マス”メディアと個人発のメディアの在り方の岐路にあると考えていて、個々人の情報判断力が問われているのが現状と思います。
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未読ですが、情報操作という点で、1950年代に書か... (カイ)
2012-02-21 20:45:10
未読ですが、情報操作という点で、1950年代に書かれた『華氏451』という書籍の内容が今の日本の状況と似てるそうです。
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カイさん、こんにちは。 (讃美歌13番)
2012-03-31 18:16:07
カイさん、こんにちは。
『華氏451』は私も未読です。
メディア論、検閲を語る上で外せない書のようですが。
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