ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第89巻-3人工知能AIの誤算

2007-08-13 23:56:53 | 第086巻~第090巻

■人工知能AIの誤算(第303話) 発表1990年11月

評価   ★★★★

依頼人  アメリカ高等研究計画統括局アダムス局長

ターゲット 高等研究計画統括局リチャード・ランスキー研究員/人工知能AI搭載コンピューター

報酬     不明

今回弾丸発射数      11/ 通算弾丸発射数 1,704

今回殺害人数        16/ 通算殺害人数   3,854

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    94

<ストーリー>
1990年8月、イラクがクウェートに侵攻し湾岸危機が勃発。イラクの電撃作戦はアメリカ製人工知能プログラムと日本製のコンピュータが編み出したものであった・・・

<この一言>
俺の行動パターンも・・・把握されていると、言うことだな?

<解説>
1990年8月、フセイン大統領率いるイラクがクウェートに電撃侵攻し、湾岸危機が勃発した。フセインの打ち立てた作戦は、日本製コンピューターで動く高等研究計画統轄局開発の人工知能プログラムが編み出したものであった。

高等研究計画統括局研究員「リチャード・ランスキー」は、人工知能を研究しチェス王者をもうち負かすプログラムを開発した。ランスキーは自分の開発したプログラムが打ち出す戦略を実際の戦争で試そうと、イラクにプログラムを売り込む。プログラムを動かす為のハードウェアは日本の「極東物産」を利用、平和利用と銘打ってイラク側にソフトとハードの売却を行った。

イラク・フセイン大統領はランスキーの操るコンピュータが編み出す作戦に従い、クウェートに侵攻、更には中東全体を支配する動きに出る。アメリカは中東危機を回避するためにゴルゴに接触、ランスキーとコンピューターを破壊するよう依頼する。しかし、ランスキーの操る人工知能にはゴルゴの行動パターンも入力されており、ゴルゴがコンピューターを破壊できる可能性は「0.0001%」との分析がなされていた。

ゴルゴはイラクに潜入、コンピューターの裏をかく行動をとるとともに、イスラム礼拝の時間を狙ってランスキーとコンピューターをミサイルで破壊、中東全面戦争は回避された。

イラクのクウェート侵攻を題材にした国際謀略ストーリー。父ブッシュ大統領をはじめ、アメリカ側は大統領参謀が実名で登場。
父ブッシュ大統領/チェイニー国防長官/ベーカー国務長官/パウエル統参議長
現実社会では、この人脈が息子ブッシュ大統領に受け継がれてネオコンを形成し、イラク・フセイン大統領と再び戦火を交えることになる。また、日本企業が利益追求のため戦略物質を不法に輸出する事例が本作で記されているが、今日でも同様の事件は後を絶たない。本作発表当時は、実際に起こった湾岸危機をフォローした即時性の高い作品だったのだろう。しかし、今になって振り返ってみると、複雑な中東問題に目を向けると同時に国内の利益至上主義を戒めており、今日に連なる世界情勢・国内事情を見越したかのような内容に驚かされる。

ズキューン

ゴルゴ13 (89)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第89巻-2カリブの夢

2007-08-12 23:52:12 | 第086巻~第090巻

■カリブの夢(第302話) 発表1990年5月

評価   ★★★

依頼人  キューバ革命戦士パブロ

ターゲット ドジャース球団選手養成学校アベラ校長

報酬     不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,693

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,838

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    94

<ストーリー>
ドミニカ共和国はメジャーリーガーを多数輩出している。アメリカに送り込む選手を巡り、在ドミニカのドジャース選手養成学校/キューバ/ソ連の思惑が交錯する・・・

<この一言>
わかった・・・引き受けよう・・・

<解説>
ドミニカ共和国のドジャース選手養成学校校長「アベラ」は、キューバ革命戦士としての過去を持つ。アベラは、革命活動の同志であった「パブロ」を陥れソ連の獄中に送り込み、パブロ革命組織内での地位を築くとともに、パブロと恋仲にあった「ジェーン」を奪い取ったのであった。

そのパブロの息子はドジャース選手養成学校で頭角を現し、大リーグへの昇格も間違いのないところであった。しかし、キューバ政府は、パブロの息子殺害を指示する。キューバ出身の「子パブロ」がアメリカへ行ってしまえば、キューバにとっては一銭の得にもならないため、「子パブロ」の暗殺指令がなされたのである。

ソ連の獄中で息子の命が狙われていることを知った「父パブロ」は、キューバ革命の時に蓄えた秘密資金をソ連に提供して自由の身になり、ゴルゴにアベラ暗殺を依頼する。ゴルゴはアベラの眉間を射抜き、「子パブロ」は無事大リーグへと羽ばたくことになる。

野球を軸にキューバ革命戦士達の過去の葛藤が洗い出されるストーリー展開が絶妙である。サイドストーリー的な短編。

ズキューン

ゴルゴ13 (89)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第89巻-1BEST BANK

2007-08-11 22:01:52 | 第086巻~第090巻

■BEST BANK(第301話) 発表1993年5月

評価   ★★★★

依頼人  四菱グループ総帥志村

ターゲット ①東亜銀行頭取坂本を狙うスナイパー ②東亜銀行頭取坂本

報酬     不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,692

今回殺害人数         4/ 通算殺害人数   3,837

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    94

<ストーリー>
四菱銀行と東亜銀行の合併を巡り、アメリカ・元日銀総裁・四菱グループの思惑が交錯する・・・

<この一言>
仕事の内容を聞かせてもらおう、か・・・

<解説>
日本最大の財閥銀行”四菱銀行”と外為業務に強い”東亜銀行”の合併が進行。仕掛人は大蔵省から”東亜銀行”に天下った坂本頭取であった。

アメリカはメガバンクの登場を快く思わず妨害工作を企てるが、日本経済の牛耳る”元日銀総裁松下”は、これを阻止。メガバンク設立の仕掛人と思われた坂本も松下の操り人形でしかなかった。

四菱グループ総帥”志村”は、四菱=国家との思想の持ち主で、アメリカの日本への干渉を排除しつつ、新銀行のイニシアチブを握るため、
①アメリカが放った坂本頭取を狙うスナイパーの殺害
②新銀行設立後、坂本頭取(新銀行会長)の殺害
をゴルゴに依頼、ゴルゴはこのミッションを難なく完遂する。

言うまでもなく、本作の”四菱銀行”は三菱銀行であり、外為に強い”東亜銀行”は東京銀行である。本作は1993年発表であるが、1996年に三菱銀行と東京銀行は合併、『東京三菱銀行』が設立され、その後の都市銀行の合併の先鞭となった。ゴルゴシリーズが金融史を先取りする形でメガバンクの出現を予言しているのである。その後、都市銀行の合従連衡は周知の通り。本作発表時の都市銀行(今ではその呼び名も忘れ去られているが・・・)と現在の銀行名を比較すると、隔世の感がある・・・

三菱銀行+東京銀行=東京三菱銀行
三和銀行+東海銀行=UFJ銀行      
東京三菱銀行+UFJ銀行=三菱東京UFJ銀行

さくら銀行+住友銀行=三井住友銀行

第一勧業銀行+富士銀行+日本興業銀行=みずほ銀行

あさひ銀行+大和銀行=りそな銀行

北海道拓殖銀行→破綻

ズキューン

ゴルゴ13 (89)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第88巻-3プログラム・トレーダー

2007-08-10 23:58:28 | 第086巻~第090巻

■プログラム・トレーダー(第300話) 発表1990年2月

評価   ★★★★

依頼人  前SEC(米証券取引委員会)委員長シャーク

ターゲット ①グラス ②ハミルトンとコンピューター

報酬     不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 1,690

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,833

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    94

<ストーリー>
インサイダー取引と”ブラックマンデー”で職を失った元証券マン「ハミルトン」。ウォール街に復讐を誓ったハミルトンは・・・

<この一言>
わかった。やってみよう・・・

<もう一言>
引き続き一任する

<解説>
証券取引を監視するSECの委員長「シャーク」は、インサイダー取引容疑者「ポリャンスキー」に『マフィアがポリャンスキーの命を狙っている』とブラフをかます。ポリャンスキーの持つグラスをゴルゴに狙撃させると、ポリャンスキーはインサイダー取引を自白し保護を要請する。

ポリャンスキーのインサイダー取引を幇助していた証券マン「ハミルトン」は、SECにより多額の課徴金を請求された上、1987年の大暴落「ブラックマンデー」によりリストラされる羽目に。証券市場に恨みを抱いたハミルトンは、マーケットに恨みを抱き復讐を誓う。

会計事務所に転職しM&Aを担当するようになったハミルトンは、「ユナイテッド航空持株会社UAL」の買収を任される。UAL買収を発表することでUAL株を吊り上げ、今度は買収不調を発表することで株価を下落させる。さらに急落した株価をさらに暴落させるため、プログラム売買により売り浴びせる。加えて、コンピューターウイルスにより世界中のマーケットを暴落させることを企てるハミルトン。しかし、シャークはハミルトンの企てを察知し、ゴルゴにハミルトンの殺害を依頼。日本マーケットが開く直前にゴルゴの黄金の銃弾がハミルトンと彼のコンピューターを貫き、世界同時株安は阻止される。

本作のエピソード一つ一つがバブル末期のマーケット事情と、アメリカ型資本主義を追従している日本の今日を描き出しているのが面白い。

・株価下落のスパイラルを招く「プログラム売買」
 →金融工学(デリバティブ)の進歩と各国市場の連動による世界的株価連鎖
・80年代から90年代に吹き荒れたアメリカでのM&Aブーム
 →20年遅れの日本市場/アメリカ型資本主義の追従
・インサイダー取引など証券市場監視強化
 →日本版SECの設立は未だならずも、市場ルールの整備進行

また、ゴルゴの窓口となる美人秘書が登場しているのも興味深い。彼女は「秘書」なのか、それもと「秘書代行業」をゴルゴが利用しているのか。この秘書は「G13型トラクター」を合い言葉に、ゴルゴとシャークのアポイントを調整している。また、オランダの「ランベトラ」投資信託会社がゴルゴから一任勘定で資産の運用を任され、「年利26%」で運用益をあげていることも判明。秘書がゴルゴからの伝言「引き続き一任する」をランベトラに伝え、取引を継続している。ゴルゴの一任勘定に穴はあけられないだろう・・・。運用担当者のプレッシャーは相当なものに違いない。

ズキューン

ゴルゴ13 (88) 巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>

ゴルゴ13第88巻-2東欧の激動・六日間革命

2007-08-08 23:45:59 | 第086巻~第090巻

■東欧の激動・六日間革命(第299話) 発表1990年6月

評価   ★★★

依頼人  反政府運動組織

ターゲット チャウシェスク大統領夫妻の影武者/秘密警察 ミハイル・ベリンデ将軍

報酬     不明(狙撃料+依頼変更にともない当初狙撃料の50%を上乗せ)

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 1,687

今回殺害人数         5/ 通算殺害人数   3,832

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    94

<ストーリー>
ルーマニア・チャウシェスク政権崩壊!激動の六日間にゴルゴはいかに関与したのか・・・

<この一言>
入って来た敵が死ぬか、俺がやられるかは、その時のただの状況にすぎない・・・

<もう一言>
体型は同じでも、文官と武官ではその筋肉の動きがまったく違うものだ・・・

<解説>
1989年12月、ルーマニア・チャウシェスク政権が崩壊した。政権崩壊前、反政府運動組織はゴルゴに殺害依頼を行う。その依頼内容は、「チャウシェシュク大統領夫妻の影武者」の殺害と秘密警察「ミハイル・ベリンデ将軍」の殺害であった。
チャウシェスク体制の崩壊が近いと読んだ反政府運動組織は、体制崩壊後に「ベリンデ将軍」が「チャウシェスク大統領夫妻」の影武者を操って権力維持を図ることを恐れ、ゴルゴに影武者の殺害を依頼したのである。

市民運動に政府軍も加わり、いよいよチャウシェスク政権は追い詰められる。一方、体制維持を図るベリンデ将軍は、影武者とともに打開策を検討する。市民運動の圧倒的な勢いと、先を見いだせぬベリンデ一派の焦燥の対比が、革命前夜の緊迫感をあぶり出す。

国営放送局が占拠され、チャウシェスク逮捕が報じられると、ベリンデ将軍は行動を開始する。ベリンデ将軍がマスクを剥ぐと、その下にはチャウシェスクに瓜二つの顔が現れる。ベリンデ将軍こそがチャウシェスクの影武者だったのである。
ソ連に亡命すべくリコプターを要請する影武者一派だが、無線を傍受していたゴルゴはヘリコプターで影武者一派の元へ現れ、影武者以下を殺害する。

チャウシェスク体制崩壊を題材にした作品。緊迫した革命前夜のルーマニアが描かれており、非常にスリリングな内容。1980年代後半から、ゴルゴシリーズは時事問題を題材にした作品が増えている。東西冷戦構造が崩れ、東西陣営の対決・諜報戦という題材が描きにくくなった面もあろうが、エポックメイキングな事件が節目節目で描かれているのが分かる。作者の慧眼には驚くばかりだ・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (88) 巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

<script type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript" src="http://pagead2.googlesyndication.com/pagead/show_ads.js"> </script> <script src="http://www.google-analytics.com/urchin.js" type="text/javascript"> </script> <script type="text/javascript"> _uacct = "UA-792331-1"; urchinTracker(); </script>