本当に役に立つことは10年後、あるいは100年後かもしれない。
社会が将来を見据えて、科学を一つの文化として認めてくれるような
社会にならないかなあと強く願っています。
Ōsumi Yoshinori?, born Feb.9, 1945
【傷口を広げる福島原発事故】
4日、電力業界団体の電気事業連合会が、東京電力福島第1原発事故の損害賠償・除染費用について、
東電を含む大手電力各社の負担額が当初計画を約8兆円上回るとの試算をまとめ、超過分を国費で負担
するよう政府に非公式に要望していることが4日明らかになった。政府はこれまで「賠償・除染費用は
原則的に原発事業者の負担」との立場を取ってきており、慎重に検討するとみられるという(毎日新聞
2016.10.04)。
それによると、福島第1原発事故の賠償・除染費用は、
- 国がいつでも現金に換えられる「交付国債」を原子力損害賠償・廃炉等支援機構(国の認可法人
)に渡す - 東電は機構から必要な資金の交付を受け、賠償・除染に充てる
- 機構は後に東電を含む大手電力から負担金を受け取り、国に返済する
という仕組み。賠償分は東電と他の大手電力が分担▽除染費用は機構が持つ東電株の売却益を充当▽中
間貯蔵施設の費用は電源開発促進税で賄うことになっている。そして、政府は13年、賠償費用5.4
兆円▽除染費用2.5兆円▽中間貯蔵施設の建設費などを1.1兆円と見込み、機構への資金交付の上限
を9兆円としたが、関係者によると、電事連は、賠償費用が見通しより2.6兆円増の8兆円、除染費用
が4.5兆円増の7兆円になると試算。また、東電株売却益も株価下落で1兆円減少し、合計で8.1兆
円の資金が不足すると見積もる。大手電力各社は「除染費用は東電株の売却益で賄えず、最終的に電力
各社が負担を迫られる」とみる。
一方、原発再稼働の停滞や、電力小売り自由化による競争激化などから大手電力の経営環境が悪化した
として、賠償・除染費用の超過分の政府負担を求めた。 福島第1原発の廃炉費用を巡っては、東電が
2兆円を工面しているが、数兆円規模の財源不足も予想される。東電ホールディングスは7月、廃炉費
用などの負担支援を政府に求めている。今回の電事連の要望に廃炉費用は含まれていない。政府は福島
第1原発の賠償や廃炉費用の負担について、5日から始める「東京電力改革・1F問題委員会」などで
議論することにしており、電事連の要望も今後協議される可能性があると同社は伝え、これは「事故つ
け回しで無責任」と次のように解説する。
毎日新聞
電気事業連合会が東電福島第1原発事故の賠償・除染費用の超過分を国に負担するよう要望した。だが、
大手電力各社はこれまで「原発のコストは安い」と説明してきた。事故のつけを国に求める姿勢は「無
責任」との批判が免れない。電力各社には「原発は『国策民営』で推進されてきたのに、事故が起きた
ときは事業者が責任を取らされる」との不満がある。東電以外の大手には「東電の事故の責任を負わさ
れるのは理不尽」との思いもある。しかし、大手電力は原発稼働で巨額の利益を上げてきた(どのぐら
いの金額?)。原発の「安全神話」に寄りかかり、事故対策を怠ってきた面は否定できない。福島第1
原発事故に伴う賠償・除染費用が膨大な額に達する見通しになったからといって、国に負担を押しつけ
るのは筋が通らない。国が負担を引き受ければ、最終的に税金が投入され、国民負担につながる。福島
第1原発事故の処理費用は、国が原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じていったん立て替えるが、最
終的に電力各社が負担する仕組みだ。この制度の趣旨にも大きく反すると指摘する。
14年には原発事業を切り離し国有化するというビジョンをもっていたわたし(たち)にすれば、傷口
を広げる過渡期的な現実ということになる。
【台風18号チャバの軌跡】
Powerful typhoon Chaba barrels toward Japan : 台風18号チャバ日本を強襲
【RE100倶楽部:太陽光パネルに塗るだけで発電量3%増】
太陽光パネルの表面に、反射防止と防汚の機能を併せ持つ材料を塗布することで、1枚当たりの発電量
が約3%増加する革新的な技術が注目を浴びている。この基本技術は、中央自動車工業が製品化し、塗
布材料――新コーティング剤は、オルガノシリカゾルと無機添加剤を主成分としたもの。スピンコート
やディップコート、刷毛塗りといった方法で塗布するだけで、成分中のシリカが針状構造を形成し、親
水性によるセルフクリーニング機能を発揮する。前処理が不要なほか、自然乾燥により1分程度で針状
構造を形成し始めるため、施工が簡単で均質性に優れる。アクリルやポリカーボネート(PC)、ポリ
エステルといった樹脂素材にコーティングした場合、基材表面(30?90ナノメートル)に親水性成
分が入り込むことによって、素材自体の美観を損ねずに皮膜の高密着性を実現。また、無機系のため原
則的に黄変や劣化がない透明皮膜を形成するとともに、光がない場所でも親水性を発揮する。評価試験
では、アクリルおよびPCともにコーティングによる透過率(波長550ナノメートル)の減少がみら
れなかったほか、テープ剥離性試験(セロテープ剥離)で問題がないことを確認ずみ。耐久性も「5年
以上は持つ」(同社)ことから、同社では窓や外壁をはじめアクリルミラーやレンズ、繊維、フィルタ、
ディスプレイといった用途での採用を見込む――は、九州大学と共同で開発したもの。
※ARコートとはAnti-Reflecting-Coatの略で、反射防止膜の意味があります。(低反射ガラスという事も
ある)日本では13年頃から徐々に普及しており、各モジュールメーカーが標準装備品として採用して
いるケースがある。品番によって異なるので、ARコートの有無は各モジュールメーカーへ問い合せる。
太陽光発電所で、稼働を停止することなく塗布できる。当初は、先端にスポンジなどを取り付けたモッ
プを使い、人手で塗布していたものの、その後、同社は日鉄住金物産の太陽光パネルの洗浄ロボットを
応用して塗布する手法に変えた(下写真)。事前の洗浄から塗布までこのロボットを使い、適切な薄膜
を均一に形成する。現地では、(1)まず、太陽光パネルの表面のカバーガラスを洗浄する。脱脂が目
的で、純水で洗浄し、乾燥させる。(2)次に微細な凹凸を含む膜を形成する。シリカ系の材料をカバ
ーガラス上に塗布する。無機材料は、液体ではなく、そのままでは塗布できないので、アルコール系の
材料を溶媒に使う。洗浄ロボットで塗布し、溶媒が蒸発すると、カバーガラス上で硬化し、膜が形成さ
れる。
日中に発電しながら塗布できる上、成膜は常温で可能で、光や熱を使った硬化プロセスも不要となって
いる。塗布後の外見は、塗布前に比べて、濃く見えるようになる。紫や黄色といった縞模様を生じるこ
ともある。無機材料のため、経年によって変色したり、機能が劣化したりすることも原則的にはない。
5~10年相当の加速試験では、反射防止効果がほぼ変わらないことがわかっている。ただし10年以
上に相当する加速試験では、効果が落ちる場合がある。留意点は、太陽光パネルのメーカーにより保証
対象外とするメーカーもあるので保証内容について、必ずメーカーに確認した上で塗布施工すること。
● 事例研究:館林ソーラー発電所
群馬県館林市にある出力約2メガワットのメガソーラー「館林ソーラー発電所」では、パワーコンディ
ショナ段階で出力が平均で3.2~3.3%増える効果があったという事例がある。発電事業者は、ダイ
ヤモンドカッターメイカーの三星ダイヤモンド工業(大阪府摂津市)と日鉄住金物産の合弁によるSPC(
特定目的会社)であるMDI-SBソーラー(大阪市西区新町)。
この発電所では、インドのモーザーベアー・ソーラー(Moser Baer Solar)製の多結晶シリコン型パネル
を採用。出力は240ワット/枚。PCSはスイスABB製で、定格出力は630キロワット。全体で、3
台のPCSに入力する8640枚の太陽光パネルのうち、1台に入力しているすべてのパネル(2880
枚)に対し、15年4月にこの材料を塗布し発電量を検証。
この結果、塗布した当日からPCSの出力が増した。塗っていないパネルが入力しているPCSに比べ、元々、
接続しているパネル枚数の違いから、平均で1.4%高い出力となっていたが、その後の1年間で、平均
で4.8%高くなり、年間平均で発電量が3.3%増の効果を記録。冬は特に増加した。具体的なメカニ
ズムは不明だが、霜が溶けやすくなるなど、太陽光の入射が増えているためではないかと推測。この効
果を踏まえて、もう1台に入力しているすべてのパネル(3024枚)にも、16年6月にこの材料を
塗布。最後の1台分の2736枚を残して、すべて塗布施工する。
発電量が平均で3%以上増える効果に対して、塗布費用は、材料費と塗布費を合わせ、1枚当たり600
円と設定し。例えば、出力1メガワットメガソーラーで、出力250ワット/枚の太陽光パネルを設置
の場合、40000枚全部に塗布すると240万円。買取価格が40円/キロワトアワーで、元の年間発
電量が東京都の平均以下の約110万キロワットアワーと想定、その3%の増加分は年間発電量で3.3
万キロワットアワー、売電額は132万円増える。その結果、塗布費用の2400万円は、2年以内に回
収できる計算。発電量を増やす効果を発揮できるのは、製品設計上、もともと反射防止機能のない太陽
光パネルに限定される。こうしたパネルは、買取価格40円/キロワットアワーなど、FIT開始当初に建
設された発電所では、広く採用されていると見ている。日鉄住金物産では、太陽光パネルメーカーを主
なターゲットとしているほか、こうした反射防止機能のないパネルを採用した発電所に採用を働きかけ
ている。
従って、今後は新製品には、出荷前にこのプロセスを組み込んだものを出荷すれば、既存のパネル性能
より3%向上できるので、低コストで高性能なソーラーパネル販売の競合が続くことになる。ある意味、
『デジタル革命渦論』的側面の過酷な競合をパネルメーカーに強いることとなる。政治がやることは、
キャシュフローの是正(=税制改革)にある。
下図に関連特許事例(1)特開2013-185043 光触媒塗工液、太陽光発電システム用カバー、及びその製
造方法(2)特開2013-203774 有機基材用防曇防汚剤及び当該防曇防汚剤で有機基材を被覆する方法を
掲載しておく。
【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】
● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」
『日本で老いて死ぬということ』6
[目次]
はじめに
第1部 日本で老いて死ぬということ
第1章 生きがいの喪失と回復
第2章 難しい「平穏な在宅死」
第3章 口から食べたい
第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル
第4章 三人介護
第5章 遠距離介護
第6章 ダブルケア
第7章 虐待を防ぐ
第8章 在宅でみる
第9章 訪問看護師の力
第10章 特養で看取る
第3部 老いは地域社会で見守れるか
第11章 地域で暮らす
第12章 コミュニティ再生
最終章 未来へつなぐ
おわりに
第2章 難しい「平穏な在宅死」
悩ましい胃ろうの選択
加齢や脳梗塞の後遺症などで口から食べられなくなると、胃に穴を開け、チューブで直接栄養剤
を入れる「胃ろう」と呼ばれる方法を導入するのが一般的だ。40万~50万人の人たちが利用し
ているとされる。2025年に向け、利用者はさらに増えていくとみられる.
ただ、それは「延命」にもなり得る。ベッドに寝たままの状態で胃ろうを使い生きることが、果
たしてたして本人が望むことなのか。でも、胃ろうをしなければ、自分が命を終わらせることにな
ってしまう……。その選択に悩む家族は多い。
ここでは、胃ろうをつける選択をした家族と、つけない選択をした家族のケースを、それぞれ紹
介する。「
つけてよかった。でも、2度目はない」
「パパ」。妻の呼びかけに、もう反応はなかった。2013年4月28日の夕方、横浜市で在宅介
護を受けていた大垣進さん(享年82)は、天国に旅立った,妻の佐智子さん(78)や息子らに見守
られ、穏やかな最期だった。
進さんは2002年から、脳梗塞などで人退院を繰り返した。左半身のマヒが残った。2008
年2月から、西神奈川ヘルスケアクリニック院長の赤羽重樹医師(52)の訪問診療を受けていた。
2009年6月、肺に食べ物や唾液などが入って起きる「誤嘸性肺炎」を起こし、巾内の病院に入
院した。
退院を前に、佐智子さんは病院の主治医から告げられた。「このままだと肺炎を繰り返して大変
です,在宅に戻るなら、胃ろうにした方がいいと思います」
「胃ろう?]。佐智子さんは、言葉は聞いたことがあったが、どんなものかは知らなかった。でも、
何となく「終末期の延命治療一というマイナスのイメージがあった。以前、夫に胃ろうをつけた友
人が「あんなもの、するもんじやない」と言っていたからだ。
進さんは、胃ろうをするかどうかの判断をできる状態にはなかった。佐智子さんが、難しい判断
をしなければならなかった。
胃ろうの選択を迫られる少し前、ケアマネジャーで訪問看護師の大西美智子さん(56)からは「
自然のままで(逝かせて)もいいんだよ]と言われていた。約7年間、佐智子さんの介護を見てき
た大西さんの目には、「もう十分やった」と映っていたからだ。
当初、佐智子さんは「胃ろうはやめよう」という考えに傾いていた。「でもとりあえず赤羽先生
に相談しよう」。市内の病院から自宅に帰るその足で、赤羽医師のクリニックを訪ねた。「詳しく
説明しますので、診療が終わるころにまた来てください」と言われた。
夜、阿びクリニックを訪れると、赤羽医師は、胃ろうに使うチューブなどの器具を何種類か机の
上に置き、使い方や特徴を説明してくれた。管理にかかる手間や栄養剤の値段なども話してくれた,
そして、佐智子さんにこう声をかけた,「怖いことは全然ない。もしやるなら、我々医療スタッ
フが全面的にサポートします」「佐智子さんは、やれるところまでやらないと気が済まない性格で
しょ? 僕の意見としては、胃ろうをつくった方が、後悔は少ないと思いますよ」
「先生、お願いします」。佐智子さんの心から、迷いは消えていた。約2時間がたっていた。赤
羽医師は、このときのことを振り返って言う,「夫婦関係や経済状況、家の造りなども考え、大垣
さんならやれる、と判断したんです」
胃ろうの管理は、決して楽ではなかった。1日3回、栄養剤と水を1時間半ずつかけ注入した。
トラブルの可能性もあるので、その問は目が離せない。実際、栄養剤が管のつなぎ目から漏れて、
シーツがびしょびしょになったこともある。栄養剤をうまく消化できず、下痢をすることもあった,
そのときのおむつ替えは大変だった,
良いこともあった。それは10年ぶりにお酒を少しだけ味わえたことだった,2013年4月1
日、進さんは、自宅から桜を眺めながら、ウイスキーをほんの少し口に含んだ,「おいしい?」。
傍らで妻の佐智子さんと歯科衛生士の佐藤由紀子さん(42)が笑顔で見守った。1カ月後、進さん
は天 国に旅立った。
「胃ろうのおかげで、夫婦の時間を取り戻せて、本当に良かった一と佐智子さんは振り返る。そう
言えるのは、佐藤さんら医療スタッフの温かいサポートがあったからだろう。
最初のうちは、口からも少し食べられた。佐藤さんは、いろいろなものを食べさせてくれた,ゼ
リーやヨーグルト、うなぎのたれ、手作りのシチュー……,後半は、口に含ませる程度だったが、
「味やにおいで脳を刺激する{という効果を期待した。進さんののみ込み機能の検査をした鶴見大
歯学部助教の飯田良平さん(42)のアドバイスを受けた。
亡くなった後は、佐藤さんから、訪問の際の写真を貼ったアルバムをプレゼントされた。「たく
さんの優しさと心の学び、楽しい時間をありがとうございました」などのコメントも添えられてい
た。赤羽医師の存在も大きかった。胃ろうでトラブルが起きると、佐智子さんはすぐ電話した。一
度こんなことがあった。昼過ぎに買い物に行ってタ方に帰ってくると、昼食用に入れたはずの栄養
剤が、管が詰まったのか止まっていた。慌てて赤羽医師に電話すると「残りを入れてあげれば、夕
食は抜いて大丈夫ですよ」。気持ちが落ち着いた。
結局、自宅で約3年半、胃ろうをつけた生活を過ごした。最後の1年間は反応も乏しくなり、「
この人は、生かされていてかわいそう」という気持ちも出てきた,それでも今、佐智子さんは「胃
ろうにして本当によかった」という。進さんは商社に勤めており、単身赴任が長かった。佐智子さ
んの母親と仲が良く、介護を手伝ってくれたこともあった。胃ろうにすることで、その恩返しがで
き、一緒にいられなかった夫婦の時間を取り戻せたのだという。
だが、こうも付け加えた。「未知の世界だから、できた,「もう一回』と言われたらやりません」
「胃ろうにしない」苦渋の決断
「胃ろうにしない、という本人の選択を尊重したかったんです」。東京都内に住む父親(享年83)
を2013年H月に看取った、神奈川県逗子市の長女(49)は、そう振り返る。「胃ろうにしない」
と決めて退院してから、8日後に穏やかに旅立った。
2003年に脳梗塞で倒れて以来、人退院を繰り返した。2012年2月に都内の特別養護老人
ホームに入居したが、2013年10月に誤嘸性肺炎で入院した,肺炎の治療を終えると、主治医か
ら告げられた,「もうロから摂取するのは難しいと思います。胃ろうにするかどうか、決めて頂け
ますか?」。母親(77)と長女は「胃ろうにしないと、あとどれぐらい(の命)ですか?」と尋ね
た。「頑張れる方で、2週間ぐらいでしょうか」
母親と長女は、ベッドに横たわる父親に確認した。「お父さん、胃ろうの手術をする?」。黙っ
て首を横に振った。「このままでいいの?」。うなずいた。通常の会話は厳しい状況だったが、判
断能力はあった。胃ろうにしなければ、父親との別れは早まってしまう……。でも2人は「10年
間、よく頑張った。本人の意思を尊重しよう」という気持ちに傾いた。
それを長男(52)に伝えると、「胃ろうにしなかったら、終わりになるんだぞ」と言われた。母
親は「やっぱり、やった方がいいよ」と長女に迫った。
母親は、枕元で本人に確認した。「本当にいいの?『さよなら』」いやだから、胃ろうつくろう
よ」。だが、父親の意思は変わらなかった。母親の心は、揺れた。
長女の考えは、ほぼ一貫していた。2003年に脳梗塞で倒れた際も、主治医から胃ろうをつく
る話があった,だが拒否して、ロから食べる訓練を続け、食べる喜びを取り戻していた。
「10年間、食べる楽しみだけで来た。その楽しみを奪って何年か生き続けることが、本人にとっ
てどうなのか。父の尊厳を考えたときに、胃ろうにしない方がいい、と思ったんです」
胃ろうの提案があって、約1週間後。母親と長女は、主治医からこう言われた。「実は私と副主治
医で、ご主人に改めて意思を確認したんです。やはり胃ろうにしない、というご本人の意思は固か
ったです」
これで母親は吹っ切れた,「胃ろうはつくらなくて結構です」。長男も理解してくれた。
今、長女は複雑な胸の内を明かす。『父の決断を尊重してあげられた喜びの一方、『これでよか
ったのかな』という思いもあります。でも、私がす.へてを背負うしかない」
死は自分では決められない。それを、残された側で「決断」し「死亡証明書」を作成しなければならな
い。そうして「絶対矛盾」を超えていく。しばらく、悔やみに包まれる。
この項つづく
環境ビジネス白書2016年版は、1997年版の創刊版から数えてシリーズ第19弾となる。収録内
容は前回版に続けて、主に~2016年春までの事象とした。最近3カ年は、
●リシェイプの時代-環境ビジネスでリシェイプする企業戦略(2013年版)
●環境最前線有望ビジネスを掌握する(2014年版)
●格差の時代-格差をつける環境有望ビジネス10選(2015年版)
と続け、好評を博している。今回は副題に“ゼロベースの時代-ゼロベースで考える環境ビジネスの視
点”を掲げた。現在は世界的に先進国の成熟化、新興国の発展による世界秩序及び勢力関係の変化が顕
著になっている。国内においては少子化・高齢化により経済活動が停滞気味である。それらを背景に様
々な企業・ビジネスを巡る問題も起こっている。ここでいうゼロベースとは、
・一からのスタート
・原点回帰
・ゼロからの挑戦
・これまでの常識の払拭
・高度成長期の成功体験からの脱却
・ビジネスモデルの転換
等々である。日本企業・ビジネスがさらなる発展を図るためのキーワードと考え、今回の当「環境ビジ
ネス白書2016年版」についてもこの切り口で整理・分析を行った。本文は2章で構成した。
Ⅰ.環境ビジネス2016年版の総括
表:ゼロベースの時代-ゼロベースで考える環境ビジネスの視点
Ⅱ.ビジネス事例&市場・ビジネスデータ
Ⅰ章は本年版の結論的総括であり、Ⅱ章は本書独自の視点から、環境ビジネスを9大分類、26中分類
に区別し、最新事例を吟味・収録した。また、当該ビジネスへの新規参入及び取り組み強化の参考とし
て「市場・ビジネスデータ」を付加している。
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