極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

二酸化炭素の資源化

2014年08月30日 | 新自給自足時代

 

 

【遺伝子組み換え作物論 27】  


                        第7章 バイテク産業の汚れた策略 その2 

 


  (2)バイテク産業によるマスコミの支配

  ほとんどの米国メディアは、自らの社会的責任を放棄して真実を報道しない。彼らが報道するの
 はロビー団体の嘘や誤報であり、遺伝子組み換え作物の問題を指摘する多数の報告や実態について
 は無視を決めこんでいる。国民も一般的な情報については知っているので、直感的には遺伝子組み
 換え食品に反対するが、それを食べないようにするための方法は知らない。そもそも何千という食
 品に遺伝子組み換え原料が含まれていること、遺伝子組み換え作物によって収穫量は増えないし、
 農薬も減らないこと、遺伝子組み換え作物が世界の飢餓を解決することはありえないといった、基
 本的な情報は知らされない。ロビー団体と一緒になって、マスコミがこうした根本的な欠陥を』覆
 い
隠さなければ、遺伝子組み換え作物は開発当初で消え去っていたはずだ。遺伝子組み換えをめぐ
 る
議論は、多くの欧米のマスコミが客観性を喪失したことを見事に証明している。

  遺伝子組み換えをめぐるマスコミ報道の具体的な問題を紹介する前に、真実が一般的にどのよう
 に歪曲されて報道されているのかその理由を説明しよう。
  マスコミは、殺人や事故、あるいは有名人の事件については、まるで連続ドラマのように報道し
 続けるが、そのために本当に伝えるべきニュースが埋没し、人々の関心をそらせてしまう。たとえ
 ば、世界では五歳未満の子どもたちが栄養不良のために毎日、約3万5000人も死亡しているこ
 となどほとんど報道されない。しかし、もしも先進国で百人乗りのジエット機が毎日、墜落すこる
 ような事件が続いたら、それ以外のことは一切、報道されなくなるはずだ。

                      -中略- 

  一流ジャーナリストで作家、映像監督のジョン・ピルジャーが批判するように、「真剣そうに見
 えるマスコミも、結局は、企業のもっともらしい宣伝を広めているだけなのだ。まして、大衆向け
 の新聞や雑誌に至っては、取るに足らない、幼稚でくだらない好色な記事を売っているだけ」なの
 である。
  
  米国の元司法長官ラムゼイ・クラークも、次のように指摘する。

  「財閥に所有され、富裕層のために存在するマスコミには二つの役割がある。一つは、国民が物
 事を深く考えないようにすることだ。人間の存在を揺るがすような問題(飢餓、エイズ、内戦、環
 境破壊、無政府状態など)について議論させないように思考を麻疹させることである。そしてもう
 一つは、国民の攻撃的な感情に訴えて、軍事的脅威が追っていると感じさせることなのである」
  要するに、情報の多くはマスコミを所有する者たちの社会的、経済的、政治的価値観に合わせて
 加工されてから報道される。それは結局、企業にとって都合のよい、右翼的な偏向をもつ内容にな
 る。今日ではマスコミのほとんどが、ますます少数の巨大企業に所有されているからだ。
 
  たとえば英国では匪界のメディアエと呼ばれるルパート・マードックが、全国紙の34%を所有
 している。オーストラリアでも主要都市のコー紙のうち、7紙を所有している。米国のジョン・マ
 ローンは、世界のケーブルテレビの23%を所有する。世界のニュースのほとんどを配信している
 のは、米国の「AP通信」、英国の「ロイター」、「フランス通信社」の3社だけなのだ。
 
   報道しないマスコミ
 
  昔から、真実を隠すために最も効果的な方法は、情報を流さないことである。これなら、情報操
 作が気づかれることもほとんどない。とくに米国ではこの傾向が強く、米国の作家ゴアーヴィダル
 は次のように指摘する。
  「米国で企業がしっかりと世論を握っていることは、西欧社会にとっての驚きである。先進国の
 中でも、米国ほどマスコミが市民社会から完全に分離して活動し、それに対する異議さえない国は
 ないだろう」
  その典型例の1つが、モンサント社が開発した「遺伝子組み換え・牛成長ホルモン(rBST)」
 に関するマスコミ報道である。サミユエル・エプスタイン教授(イリノイ州タ大学・公衆衛生大学
 院・環境医学部、「全米がん予防連合会」理駆長)は、1989年7月に「ロサンゼルスータイム
 ズ」紙に寄稿した論文において、「安全性が確認されるまで、このホルモン剤を禁止すべきである」
 と主張した。
 
  するとモンサント社は、世論が同調するのを見越して、すぐに見事な先手を打った。「酪農連合」
 という団体を設立し、まずはエプスタイン教授の信用を失墜させるための批判を展開したのである。
 そして次に、牛成長ホルモンを批判する人物や否定的な報旨書を見つけ出しては、マスコミに報道
 させないために圧力をかけた。その結果、牛成長ホルモンに関する客観的な報道はほとんど姿を消
 してしまった。ここでもモンサント社が勝利して、民半正義が敗北する結果になったのである。
  1996年に、米国で遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まった時にも、ほとんどマスコミが報
 道することはなかった。主要なマスコミが、遺伝子組み換え作物の問題に触れたのは3年が経過し
 た1999年5月のことだった。しかもその時でさえ、焦点は人間の健康問題ではなく、遺伝子組
 み換えトウモロコシの花粉によって「オオカバマダラ蝶」が滅少しているという問題にあった。そ
 して信じられないことだが、米国人の多くが、遺伝子組み換え食品を毎日食べていることに初めて
 気づいたのは、2000年に家畜飼料用の[スターリンク・トウモロコシ」が食品に混入して、店
 頭から回収騒動が起きた時だったのである。



 
  2002年4月に、NGO『フード・ファースト」が実施した岡安によれば、「米国では、主要
 13紙と雑誌のオピニオン・ベーダに、遺伝子組み換え食品を批判する投稿記事が掲載されたこと
 はほとんどなかった」のである。 

   1998年に、米国の公益弁護士スティーブン・ドルカーが「食品医薬品局(FDA)における
 遺伝子組み換え食品の承認方針は違法である」として裁判を起こした時も、こうしたマスコミの姿
 勢が明らかになった。ほとんどのマスコミは、遺伝子組み換え食品に賛成する見解を発表し、その
 一方で「ワシントン・ポスト」「ニューヨーク・タイムズ」「ウォール・ストリート・ジャーナル」
 の主要3紙はこの事件をまったく報道しなかったのである。1999年6月になって、ドルカー弁
 護士はこの3紙から取材を受けたが、その時にも食品医薬品局による偽装や隠蔽の事実は報道しな
 かった。「ニューヨーク・タイムズ」が、食品医薬品局に対するモンサント社の強い影響力につい
 て全体像を報じたのは、3年後の2001年1月のことであり、米国の検閲的なマスコミ機関にお
 いては異例の出来事だった。

  1998年にドルカー弁護士が告訴してから四年の間に、マスコミ各社の記者が彼を取材し、原
 稿を執筆しても、最終的には編集者が却下した。ようやく、記事が掲載された時も、内容は楼小化
 され、問題は軽視されてきた。科学者の学会においても、遺伝子組み換え食品の安全性が議論され 
 ることはほとんどなかった。それでも、米目以外の国々では食品医薬品局の隠蔽工作に関してドル
 カー弁護士の報告は詳細に報道されていたのである。「米国内には、この件を公表させないとしよ
 ういう暗黙の了解があるとしか思えない」と、ドルカー弁護士は指摘する。

   繰り返されるモンサント社の欠陥データ

  インドでは2002年から2003年にかけて、モンサント杜の害虫抵抗性「Bt綿」が栽培さ
 れたが、収穫量が少なく不作であることは明らかだった。そのため、多くの貧農が破産に追い込ま
 れたが、モンサント杜の子会社は独自のデータを発表して、「Bt綿を失敗と評価する報告は誤り
 である」と主張した。ところが、このデータには多くの不備があり、調査方法にも問題があったた
 め多くの批判を受けることになった。それでも、欧米のマスコミは「Bt綿」の問題点を報道する
 ことはなかった。たとえば英国のBBC放送も、「インドの遺伝子組み換え綿は、劇的に収穫量を
 増やすことに成功した」と報じている。科学誌『ニュー・サイエンティスト』も、「インドで行な
 われた試験栽培の結果によれば、途上国にとって遺伝子組み換え作物は、先進国以上に大きな利益
 をもたらすことが判明した」と伝えた。
 
  さらに「タイムズ」紙は、「遺伝7.組み換え神子をインドに導入すれば、バイテク企業も利益を
 得られることが確認された」と無批判に報じた。それに対して、「グリーンピースUK」のチャー
 リー・クロニックは、2003年2月「タイムズ」紙に投稿した手紙で次のように反論している。
 「6紙は、『サイエンス』誌に発表された論文を称賛しているが、明確にすべき点がある。それは、
 インドで起こっている現実はモンサント社の子会社が発火したデータと大きく異なるという事実で
 ある」

  (3)様々な醜い策略

    ① 意図的な遺伝子組み換え種子の混入

  バイテク産業の狙いは、世界中の種子が遺伝子組み換え種子と交雑することにある、そうなれば、
 人々が遺伝f組み換え食品に反対しても無意味になる。もはや遺伝子組み換えでない食品を購入で
 きなくなるからだ,ケロッグ社、コナグラ社、バイエル・クロッブサイエンス杜などの食品企業の
 コンサルタントを行なう「プロマ社」の副社長ドン・ウェストフォールも次のように指摘する。
  「バイテクク産業の望みは、遺伝子組み換え食品が市場にあふれることだ、そうなれば、消費者
 にできることはない。全員があきらめざるを得なくなる」

  「カナダ種子生産協会」の代表デイル・アドルフも同様の意見を述べている。

  「遺伝子子組み換え作物の普及に対しては、世界中で大きな反対がある反対運動を抑えこむ唯一
 の方法は、配来種と交雑させることだ」
  これこそ、農衷化学企業が自分たちの帝国を拡大する戦略なのである,巨大なハイテク企業が
 買収した種子会社は当初、「遺伝子組み換え種子が混入することはない」と主張して、人々を安心
 させた。ところが今では、「混入が避けられないという現実を受け入れるべきた」と言う(ただし、
 今ならまだ対策を講じることができるかもしれない。奇妙なことだが、EUの規制当局が輸入種子
 の検査を始めたところ、それまで高かった混入率がとたんに0.1%を下回ったのである。必要と
 あれば、彼らは混入率を下げることもできるのである。
  常に巨大企業に奉仕してきた米国政府も、遺伝子組み換え種子の混入を歓迎しているようだ。世
 界各地で混入を起こして、各国政府が遺伝子組み換え作物の栽培を禁止できない状態にすることが
 彼らの狙いなのである。

  ・もっとも聡ずべき方法としては、米国が支援する「国連世界食糧計画(WFPしか、アフリカ
   の彼援助国に知らせることなく、緊急援助と称して1990年代後半から七年問も、遺伝子組
   み換え作物を送り続けたことである。トウモロコシを製粉せず粒のまま送ったこともあったた
   め、種子として保管して翌年に栽培した農家もいたはずである。
  ・2002年に南部アフリカで起きた干ばつの際も、遺伝子組み換えトウモロコシを製粉せず
   援助物質として送った。「米国有機消費者連合(UDSOCA)」の事務局長ロニー・カミン
   ズは、「
米国は長年にわたり、食糧援助を使って途上国の人々に、遺伝子組み換え作物を強制
   的に食
べさせてきた」と批判する。
  ・米国は、メキシコのように十分な情報をもたない田々に、遺伝子組み換え作物の輸出を強行し
   てきた。「グリーンピース」が2003年8月に発表した調査によれば、米川がメキシコに輸
   出した500万トンのトウモロコシのうちづ分の一に、モンサント社の遺伝子組み換えトウモ
   ロコシが混入していた。

   他国の政府やバイテク企業もあえて混入を許してきた。たとえば、

  ・遺伝子組み換え作物を試験栽培や商業栽培する際には交雑を防ぐため、問に別の作物を植え

   衝地帯を設置しなければならない。ところが、その距離は極めて短く設定されている。とく

   顕著なのがナタネである。オーストラリアの法令では、遺伝子組み換えナタネと一般のナタ

   の畑とは、わずか5メートル離せばよいのだ。それに対して、カナダでは200メートル離

   ねばならない。しかし、そもそも英国政府の研究によれば、遺伝子組み換えナタネの花粉は、

   26キロメートルも飛散するのである。
  ・ブラジルで生産される大豆の4分の1が遺伝子組み換え大豆であり、400万ヘクタールの畑
   で栽培されている。ブラジルでは、1998年から2005年まで、遺伝子組み換え作物の輸
   入も栽培も禁止していたのに、どこから遺伝子組み換え大豆の種子が入ってきたのだろうか。
   天から降ってきたはずはない。ブラジルのボルト・アレグレで開催された「国際民衆法廷」(
   国
際法上の問題を、NGOや市民が、自主的に有識者を集めて構成する模擬法廷)ではリオグ
   ランデ・
ド・スル州にあるモンサント社と農業団体が、種子を広めたのではないかと推測して
   いる。

  ・クロアチアでは、未承認の遺伝子組み換え種子を、パイオニア社が農家や企業に販売してい
   違法行為が発覚した。農業大臣ペダル・チョバンコヅィッチは、「パイオニア社に対して15
   
万ユーロの罰金と、種子を販売した相手への返金を命じる」と発言した。
  ・最大の問題は、一九九六年に商業栽培が始まってから、広範な地域で遺伝子組み換えナタネが

   生産されるようになり、もはや元に戻せないほど一般種との交雑が広がっていることだ。こう
   した状況をつくることこそ、遺伝子組み換え作物を普及させるための巧妙な戦略なのである。

   ② 牛成長ホルモンと食品医薬品局(FDA)


  そもそもモンサント社の遺伝子組み換え技術をもちいた「牛成長ホルモン(rBS工」を、なぜ

 米国政府は認可したのだろうか。「その経過は、米国企業の歴史の中でも、もっとも不可解な出来
 事である」とジョージ・モンビオは指摘する。
  
  遺伝子操作した細菌を使って大量生産するこの牛成長ホルモンの商品名は、「ポジラック」とい

 う。乳牛に注射することで、牛が生産する乳量を増やせるのだ。ところが、この牛成長ホルモン
 使用すると、乳牛に多くの副作用を引き起こす。乳腺炎になりやすくなり、足の障害、繁殖障害

 生異常、足のけが、下痢、鼓脹症(牛の胃にガスが蓄積して腹部が膨張する疾病)、消化不良、子
 宮内
膜症、皮膚病、代謝異常などを起こして短命になる。さらに卵巣、腎臓、肝臓、心臓が肥大し
 て
副腎に腫揚ができる。しかもこの牛成長ホルモンを使われた牛乳を飲むと、人間にも乳がん、結
 腸
がん、前立腺がん、肺がんを引き起こす可能性があると指摘されている。
 
  EU、ニュージランド、オーストラリア、日本など多くの先進国では、この遺伝子組み換え・

 成長ホルモンの使用を認めていない。それでも自己の利益を追求するモンサント社は、EUにお

 る使用禁止を解除させようとしてきた。先進国では、米国だけが使用を許可し、いくつかの途上国
 に牛成長ホルモンを販売している。そして、米国産の乳製品の多くに牛成長ホルモンが使用されて
 いると推定される。1998年、モンサント社におけるこの牛成長ホルモンの販売高は二億ドル
 にのぽった。米国政府は毎年、米国の酸農家が過剰に生産した牛乳を、税金を使って買い仁げてい
 るが、2億ドルはそれに相当する額である。ここでもバイテク企業は、米国の納税者から多額の便
 宜を受けているのだ。
 
  食品医薬品局が、十分な安全性評価も行なわずに遺伝子組み換え・牛成長ホルモンを、「人間に
 とって無害である」と発表したのは1985五年のことだった。1988年には、食品医薬品局「
 動物薬センター(CVM)」のリチャード・バローズ博士が、牛成長ホルモンについて詳細に検査
 することを命じたが、その数週間後に博士は解雇されてしまった。バローズ博士は次のように語っ
 ている。

  「私がクビになったのは、牛成長ホルモンを商品化する手続きを遅らせためだ。私には、食品医
 薬品局が、にI分かつ適正に審査を行なっているとは思えない。もはや、食品医薬品局は医薬品産
 業の一部になってしまった」
 
  こうして食品医薬品局は、1993年に、遺伝子組み換え・牛成長ホルモンの販売を正式に認可
 した。それに対して三人の国会議員は、「この間の審査過程を見れば、食品医薬品局とモンサント
 社の担当者が誤った情報に基づいて認可を決定した不審な動きが明確である」と批判した。

  その数年後には、カナダの科学者たちが、食品医薬品局の審査過程における欠点や矛盾、欠落や
 省略された部分を徹底的に精査した報告書を発表し、「1990年代に食品医薬品局が行なった審
 査は本質的に、結論をでっち上げたものである」と批判した。
 
  こうして牛成長ホルモンが商品化された後になって、乳牛と人間の健康状態に対する様々な影響
 が実際に報告されるようになったが、それでも食品医薬品局は積極的に普及に努めた。それどころ
 か食品医薬品局は、乍乳メーカーに対して、「遺伝子組み換え・牛成長ホルモン不使用」という表
 示をしないように通達を出したため、消費者は自分がそれを使用した牛乳を飲んでいるのかどうか
 を知ることさえできなかった。
 
  1999年には、食品医薬品局の2人の研究員が『サイエンス』誌に、「遺伝子組み換え・牛成
 長ホルモンを乳牛に使用しても、人間の健康に対するリスクはない」という論文を発表した。
  ところが実際には、食品医薬品局は牛成長ホルモンの危険性を確実に認識していたのである。そ
 れは、食品医薬品局から流出した「食品医薬品局とモンサント社に関する資料]をサミュエル・エ
 プスタイン教授が入手したことから明らかになった。その中にあった記録によれば、「モンサント
 社は1987年には、遺伝子組み換え・牛成長ホルモンの危険性を十分に認識していたが、食品医
 薬品局と共謀して、家畜と人間の健康に対する重要な問題を隠蔽した」のである。エプスタイン教
 授は、「企業の役員や科学者、公衆衛生の監督にあたるすべての関係者を一堂に集めて評価を行な
 う国原的な判断の場が必要である」と主張する。
  しかし、国民の健康を守るはずの政府機関が、危険性のある牛乳をなぜ国民に飲ませようとする
 のだろうか。その理由を、ジョ-ジ・モンビオは次のように説明する。

  「こうした問題において、米国政府は企業の単なる道具でしかない。多国籍企業が世界に進出す
 るための手段にすぎないのだ」
 

 


                     リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』 

                                       この項つづく   

 

 

【オールソーラーシステム完結論 15】


28日、産総研は
従来、(1)ニッケル錯体で二酸化炭素を水素化し生成物はギ酸とその誘導体に限られ
ていた銅や鉄などの貴金属触媒での逆水性ガスシフト反応(200~300 ℃程度の高温下)あるいは(2)
ルテニウムなどの貴金属の錯体に限られていた錯体触媒で逆水性ガスシフト反応を、今回、下
図の分子
内に2つのリン原子と1つの窒素原子を持つピンサー型配位子をのニッケル錯体触媒で、従来より、温
和な条件(ニッケル錯体触媒:140~160 ℃程度の反応温度)で逆水性ガスシフト反応をさせることに
成功したと公表。

耐圧容器中でエチレングリコールに下図のニッケル錯体を溶解させ、二酸化炭素(2MPa)と水素(6MPa)
を圧入し、160 ℃で5時間反応操作させたところを、ニッケル錯体、1分子に対して22.1倍量の一
酸化炭素が生成。ただし、反応溶液にはギ酸化合物の認められないことから、ニッケル錯体触媒により
二酸化炭素が直接一酸化炭素に変換されたと推測されるという。



尚、ニッケル錯体の配位子の構造は、触媒活性の重要なファクターで、配位子中の窒素の部分を炭素に
置き換えると一酸化炭素は全く生成せず、二酸化炭素のみが回収される。また、配位子中のフェニル基
をブチル基に置き換えても、一酸化炭素は全く生成しない。
今回開発した技術は、貴金属を用いずに温
和な条件で二酸化炭素を一酸化炭素に変換できるようになった。ニッケルはルテニウムに比べてグラム
単価が百分の1以下で、二酸化炭素から一酸化炭素への変換コストを大幅に逓減されることが期待され
ている。

産総研では、今後、この触媒の反応機構を詳細に検討し、配位子のチューニングによるさらなる触媒性
能の向上させ、新たな触媒機能の研究を行い、現行の石油化学の基幹プロセスの1つであるヒドロホル
ミル化反応への応用を目指するという。またこの反応を応用し、二酸化炭素を一酸化炭素の同等利用=
循環型資源の高度な利用法の一つだという。


 

二酸化炭素と水素があれば、アルデヒドやアルコールを合成反応させることができれば、内燃機関の直
燃や燃料電池車の燃料とし利用できる上に、二酸化炭素はバイオマス由来で一旦、燃焼エネルギーをボ
イラー燃焼やバイオマス発電の廃ガスを供給できる。また、燃料水素は、海水などをソーラーエネルギ
ーに利用し、電気分解由来から供給できるため、クリーンシステム(グリーン化学)として地球温暖化
問題の解消に役立てることもできるだろう。

※ 参考新規考案

【概要】外部から二酸化炭素を添加せず、二酸化炭素/炭素モル比を調整した軽質炭化水素ガスを、比
表面積0.1~5.0m2/gの酸化マグネシウム担体にルテニウムまたはロジウムを金属換算値で200
~2000wtppm担持した改質触媒の存在下でスチーム/炭素モル比1.7以下で改質して合成ガス
を生成する改質工程と、得られた合成ガスの一部にスチームを添加して水性ガスシフト反応を行うシフ
ト工程と、このシフト工程で得られたガスを精製し高純度水素ガスを取り出す水素分離工程で構成し合
成ガスと水素の併産方法で、水素分離工程で高純度水素ガスを取り出した後に残る残余ガスを改質工程
の上流側にリサイクルする新規考案(従来法)。

                                                                         (この項つづく)



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