極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

ペテルギウス散華

2011年09月06日 | 時事書評







映画「アメリカン・ビューティー」は1999年のサム・メンデス監督の作品だが
「アメリカン・ビューティー」とはバラの品種の一つ。色は真紅で、発祥の地
はアメリカ合衆国。映画の中でこのバラは様々な意味を持っている。「豊かな
家庭の象徴」としてキャロラインが自宅の庭に赤いバラを栽培し「官能の象徴」
としてレスター妄想でアンジェラと赤いバラの花弁が登場する(上図参照)。
なによりも、アメリカの中流家庭の崩壊を描き、アメリカ社会に対する強烈な
風刺を効かせている。が、なかなか出口見い出せないオバマ大統領の苦悩をみ
るにつけこの映画を思い出させるというわけだ。

 

  

 

今は八月で、もうこの六ヵ月
読んだ本といえば
コーランクール著『モスクワからの退却』
とかいう1冊だけ。
でも僕は幸せだね。
こうして弟と二人で車に乗って
オールド・クロウのて1バイント瓶を飲んでいると。
どこに行こうというあてもなく、
ただ車を走らせているだけ。
ちょっと目を閉じれば、
意識がふっと消えちやいそう、まったく
この道ばたにごろんと横になって
永遠に眠っちゃいたいくらいだ。
弟が僕を小突く。
こうしている今にも、何かが起こりそうだ。

                  『一杯やりながら』(Drinking while driving 
                 
レイモンド・カヴァー著 村上春樹 訳



雨がさあっと石畳を叩き
老人たちはロバを雨宿りへと追い立てる。
ぼくらはロバよりも愚かしく、雨に打たれて
大声で、雨の中を行きまどい、文句たらたら。

雨がやむと、それまで軒先で静かに
煙草なんか吸って雨宿りしていた老人たちは
ふたたびロバを追い立てて丘を登っていく。

そのあとを、終始そのあとを、ぽくはついて登る。
    その狭い小径を。
ぼくはきょろぎょろとあたりを見る。ぼくは石畳にかたかたかたと音を立てる。


                        『夕立』(Suddenrain 
                 
レイモンド・カヴァー著 村上春樹 訳



『夕立』の掲載は二度目だったと思うが、カーヴァーのミニマニズムは、光景
が浮かびやすくスッキリとした夏のビールのようだ。ほろ苦いが爽快な繊細さ
とでもいえるだろうか。





【オリオン座 ペテギウス散華】
                                                           

冬の夜空に輝くオリオン座、その肩に位置する赤い巨星ベテルギウス。地球か
ら640光年の彼方にある。直径が太陽の1000倍という、とてつもなく大きな星
だ。オーストラリアの研究者によると、そのベテルギウスが、2012年に星の最
後をむかえ超新星爆発し、地球にとって2つ目の太陽となる可能性があるという
のだが、さまざまな議論を巻き起こしている。

ところで、ベテルギウスが主系列星の段階に入ったのは約1000万年前と推定さ
れているが、質量が大きい星ほど核融合反応が激しく進行するので短命となる
(太陽及び太陽とほぼ同じ質量の恒星の場合、主系列星段階は約100億年続くと
推定されている)。このシナリオは質量の大きな恒星の典型的な一生である。
ベテルギウスが超新星爆発を起こした際には地球にも何らかの影響が出ると言
われ-過去の地球における生物大量絶滅のうち1つに、ガンマ線バーストの直
撃が原因ではないかとされる説-これは、ガンマ線(ガンマ線バースト)によ
り、オゾン層が傷つくことで惑星および生命体へ宇宙線が多量に降り注ぐため
で、超新星爆発の際のガンマ線放出については、近年恒星の自転軸から2°の
範囲で指向性があることがわかっていて、電算推定では地球への直撃はないと
される。

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専門家は「爆発は数万年後かもしれないが、明日でもおかしくない」と話す。
もし爆発すれば、満月ほどの明るさになり、昼でも見えるようになる。また、
科学者らは、比較的近くの星の爆発からのガンマ線放射は、10秒間だけ地球に
衝突するだけで、大気を包むオゾン層の半分まで消耗すると試算。その結果、
回復には少なくとも5年かかる可能性があり、その間、太陽からの紫外線によ
り、陸と海や湖の表面に生息する生物を殺傷し食物連鎖を破壊されるという。
 

超新星爆発とは太陽の8倍以上の質量を持つ恒星が、その一生を終える時に起
こす大爆発。この超新星爆発の際、太陽が45億年間に放出する全エネルギーの
99%以上を、約10秒間にニュートリノとして放出するという。

1987年2月23日、スーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデにおいて大
マゼラン星雲で発生した超新星爆発に伴うニュートリノ11例を世界で初めて観
測。これにより、超新星爆発の理論が正しいことが証明され、ニュートリノを
観測手段とするニュートリノ天文学の幕開けとなるが、銀河内でも、10年から
50年に一度程度の割合で、超新星爆発が起きていると考えられている。スーパ
ーカミオカンデは、超新星爆発が銀河中心で起こった場合、超新星ニュートリ
ノを約8000例も捕まえられるという。このニュートリノのエネルギーと到達時
間を正確に観測することで、星の爆発のメカニズムを精度良く知ることが可能
になり、重い星の超新星爆発の場合、ニュートリノ観測により、ブラックホー
ルを直接見ることもできるといわれている。

 

超新星爆発をいち早く、ニュートリノ検出することで後続するガンマー線によ
る被害を回避することも可能になる。

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