80年代初頭に登場した STEINBERGER。そのエポックメイキングな姿を初めて見たのはジャーニーのベーシストがPVで弾いている姿。長い羽子板というか太い棒にしか見えず、頭の中が???だった。
その後ギター版のプロトタイプ(トップを表側からネジで5点止めしロゴが入っていない)を渡辺香津美が使って話題となり、エディ・ヴァンヘイレンやマーク・ノップラー、アランホールズ・ワースといった錚錚たるトップ・ミュージシャンが使い、そしてモト冬樹先生がテレビの中で弾きまくってお茶の間からもヘッドレス・ギターは市民権を得た。
楽器業界でもアイデア万引きしたようなヘンテコなコピー品を各社リリースし、プロミュージシャンがそれらを使って、業界ではちょっとしたヘッドレス祭になった時期があった。なんてったって本家本物の STEINBERGER は特殊なグラファイトで作られ、独特なオリジナルパーツで構成されていたため非常に高価で品薄。隊長は楽器屋で新品を見たことがない。だからそれらヘンテコヘッドレス達はそこそこ売れていた(と思う)。今改めてそれらの所謂モドキ達をみると並々ならぬ哀愁を感じる。そのもの悲しさはビザールギターの比ではない。
そんなある日、HONERが本家のライセンスモデルを出したからさぁ大変!金属パーツは本物だよ。ライセンス品だけど「STEINBERGER」て入っているよ。ピックアップはもちろん安物だけど値段は約6万円、本家の1/10だよ。貯金いくらあったっけ?よし、楽器屋へ行こう!喜び勇んで手に入れた白い(STEINBERGERぢゃない)スタインバーガーは、ボディバランスが悪いしチューニングは合わないしフレット音痴だし、当時持ってたヤマハSG1000に比べると完成度が低すぎて愛着湧かずに1か月経たずに可愛い後輩に45000円で売っちゃった。
スタインバーガーやとアカン!やっぱり STEINBERGER でないとアカン!
時は流れてヘッドレス・ブームが去り、二十世紀もあと数年で終わる頃、大阪の楽器屋で一目惚れしたポール・リード・スミスを手に入れて(こっちも相当高かったんだよ)、満ち足りた音楽生活を過ごしていたある日、親友のJohn君から「本物を買ったゼ」という知らせがあり、早速スタジオに入って弾かせもらった。あれれ、意外に普通というか地味な音~!EMGってこんなんやったかなぁて感じ。百年の恋が一気に冷めた。決して STEINBERGER が悪いのではなくポール・リード・スミスが素晴らしすぎたからなのだが。
まぁそんな訳でエレキギターはもうポール・リード・スミスだけでいいやと思って20年目を迎える直前、急にコンパクトで取り回しの良い気軽なギターが必要になってきた。色々と情報を漁っていると、どうやらスタインバーガーの現行廉価版の Spirit が良いらしい。Synapse という上級機もリリースされていたが何故か琴線に触れず、狙いを Spiritに絞ってヤフオク巡りの日々。STEINBERGER じゃなくてスタインバーガーだけど。
で、粘り強く探して巡りあった新古品といっても過言ではないコイツがやって来ました。廉価版と侮るなかれ。HONERとは比べものにはならない、良くできたギターだったので驚いた。一見ローラー式に見えるブリッジは安定しており耐久性が良さそう。フレットも丁寧に打たれていて音痴じゃない。塗装は絶対に振動の妨げになっていると思われるくらいの極厚。しかし元々ボディの振動うんぬんが影響する形ではないし、ヘッドが無いから変な共振とかが無いぶん純粋に弦の動きだけをピックアップしている感覚で、かえってハイファイな感じすらする。エフェクタとの相性も悪くない。ただ、トレモロ・ユニットの動きはとても重く使い心地は良くない。チューニングの狂いは想定内。
とまぁこんな特徴のSTEINBERGER、、、もとい、スタインバーガーをたらすな色に染めるべく、早速手軽に手を付けられる所からプチモデファイ。
まずはストラップ・ピンを外してゴム足を付ける。これで床に直置きしても負担は少なくなる。しっかり感がアップし、なんとなくアトランシアのギターっぽくて、ある意味カッコいい(笑)
ボディ・エンドに短い革ベルトを付けたら壁に掛けられるようになった。
マイクロチューナーのワッシャーを金属製から樹脂製に換えるだけで動きが滑らかになりチューニングが楽になった。どうやらこれは、スタインバーガーを使っている人達の定番改造らしい。
トレモロ・バーが滑らないように熱収縮ゴムチューブをはめてみた。なんとなくカッコ良くなった。しばらくゴム臭かった(笑)
ボディの裏側にもゴムを貼りつけた。これとネック側のストラップ・ピンが足になって床に寝かして置いてもボディ・バックに傷が付かない。ヘッドが無いからネックにも影響がなくてとても具合が良い。
で、こんなところでガンガン使って元を取るのだぁ~!イェ~♪