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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月27日 死神様

2014-02-27 20:19:29 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 2月27日 死神様



 私の家の近くには、死神様といわれる神様がいます。
それは町の中心部にちんと座っている目を閉じたお爺さんの姿をした真っ黒な石像なのですが、これが笑うように見える日は必ず誰かが死ぬのだそうです。
 私の父は小さい頃悪戯でこの像を蹴っ飛ばしたことがあったそうですが、そのときは一週間ほどひどい熱にうなされたという話です。
 私はそんな話を小さい頃から聞いていたので刷り込みによる怖さもあったのでしょう、死神様の前を通ることも避けるようになりました。
 しかし、ある日その頃高校生だった私は塾の帰り道にどうしても死神様の前を通らなくてはならなくなったのです。
なるべく見ないように、見ないようにと思いながら死神様の近くまで行くと、死神様の前になにやら影が見えました。
 本当に死神様が出たのかと全身に鳥肌が立ちましたが、よくみるとそれは人間でした。
その人はどうやら男の人だったようです。
どうやら、というのもその人は死神様に土下座をしていて顔が見えなかったからです。
 その人はなにやらぶつぶつと呟いており、恐怖より好奇心の勝った私はついついその話を立ち聞きしてしまったのです。

「 死神様、本当にすいませんでした、私が悪かったんです。
あの時酒も飲んでいました。
まさか人が出てくるなんて思わなかったんです。」

私はその男の人の話に心当たりがありました。
 先日、この近くでおじいさんがひき逃げに遭い、今でも意識を取り戻していないと言う話です。
 男の人は話を続けていました。

「 警察にも出頭します。
だから、だから、いつまでも私を追いかけないでください。」

 私は全身から冷や汗が噴出しました。
その時、私は確かに聞きました、くぐもった、それでも威厳のある声で誰かがこう答えるのを。

「 人の命を奪っておいて何日も笑って飯を食っていたお前さんが今更何を言っておるんじゃ?」

私は身に染み入るような恐ろしさに必死にその場を走って離れました。
 ちらりと見えた死神様の顔は閻魔様のように恐ろしく、普段閉じているはずの目は開き、夜だというのにその黒さが分かるほど真っ黒でした。

 次の日、近くの踏み切りに男の人が飛び込んだという話を聞きました。
今では死神様は、ただの死神ではなく、因果応報の死を届ける神様なのかもしれないと私は考えています。
実は今でも死神様の真っ黒な目が夢に出てくるのです、よく覚えておけよ、とでも言うように。













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