ステップ9では、左右のフェンダ―およびステーを取り付けます。ステーはエッチングパーツですが、改造時のブラ板の接着が難しくなるため、全てブラ板に置き換えて取り付けます。
その後、車体後部の改造に進みます。Strv m40L軽戦車の車体への変換工作がここから本格化します。
左右のフェンダ―A1およびA12は、指示通りに取り付けます。
取り付けました。
左右フェンダー上のステーを、全てブラ板に置き換えて取り付けました。車体側に端部がモールドされているので、取り付け位置は明瞭でした。
全て取り付けました。
ここで上下の車体を仮に組み合わせてみました。Strv m40L軽戦車は車体後部が大きくなっていて、水平の天板の尾部に傾斜面がつくので、元キットのハンガリー車輌とは形状が全く異なります。
ハンガリー車輌は天板全体が傾斜していますので、それを水平に直す必要があります。その水平面は、上下の車体を仮に組み合わせてみて初めて設定出来ます。
ここで改めて実車の側面写真を見てみましょう。御覧のように、キットのハンガリー車輌と比べて車体後部が大きく、給排気機構のレイアウトも異なっていることが分かります。後部の天板はほぼ水平で、後半部で僅かに傾斜がつき、尾部でさらに傾斜が付きます。天板の最上面は砲塔後部の底面にピッタリついているような高さにあります。
この状態に改造するのが、今回の工作の最初のヤマ場となります。
したがって、Strv m40L軽戦車における車体後部天板の最上面は、砲塔後部のすぐ下に位置します。そこで砲塔底部パーツA32を仮組みして、その高さを確認しました。御覧のように、砲塔後部の下のグリル部が、Strv m40L軽戦車における車体後部天板の最上面にあたります。
元キットのハンガリー車輌では、砲塔の後でさらに高くなり、それから下へ傾斜面が続く形状になっています。これを変更します。つまり、Strv m40L軽戦車における車体後部天板の最上面を基準にして天板の大半を水平に直すことになります。
まず、この天板全体を改造します。Strv m40L軽戦車における車体後部天板の最上面よりも高い部分がありますから、このままでは利用出来ません。後ろの傾斜面も、元キットのそれとは角度も範囲も異なります。
そこで、上図のように全部切り抜いて天板全体を除去しました。砲塔後部の真下のグリル部分も3割ほどカットしました。残っているグリル部分が、そのままStrv m40L軽戦車における車体後部天板の最上面になりますが、これも最終的にはブラ板で塞ぐので、ヤスリがけで調整します。
Strv m40L軽戦車における車体後部天板の最上面よりも高くなっている部分をカットすべく、側面にマスキングテープを貼って水平面を設定しました。御覧のように、マスキングテープの上に三角形にはみ出ている部分があります。これをカットします。
側面にて三角形にはみ出ている部分をカットして水平線を確定し、そこから後ろに延長する範囲も水平に直すべく、ブラ板を貼りつけました。背面部のブラ板が低くしてあるのは、尾部の傾斜面の角度の調整幅を確保するためです。
斜め上から見ました。プラ板を貼ってStrv m40L軽戦車における車体後部天板の高さを決めましたが、これでは強度が不足しますので、内側に支持材を組み込んで補強するか、ブラ板を重ね貼りするかのどちらかの工程が追加されます。とりあえず、高さ調整も兼ねてブラ板を重ね貼りする方法を選びました。
この工作によって、元パーツの排気口フードは完全に隠れてしまうことが分かりますが、だからといってカットしてしまうと、車体後部の強度が保てなくなりますので、このままにしました。
ブラ板に一枚目の天板をトレースしました。図面は一応描いたのですが、実際に作るとどうしても誤差が1ミリぐらいは生じますので、改造中の実物を採寸した数値に1ミリの余裕をつけて大き目にトレースし、それを切り抜きました。
切り抜いた天板を貼りつけました。尾部の傾斜面も実車写真を参照してそれらしい角度で再現しました。約1ミリ大き目にトレースして切りましたが、そのサイズでほぼピッタリでした。はみ出た部分は僅かでしたので、サンドペーパーでヤスリがけして調整しました。
まあ、こんな感じですか。このようにブラ板を組み合わせて形状を変更するという工作は、かつて軍艦艦艇のキットを専門的に作っていた時期にしょっちゅう実施していましたので、あまり手間はかかりませんでした。むしろ個人的には楽しいぐらいです。
続いて、重ね貼りする二枚目の天板を実測によってトレースして作りました。天板後半部の僅かな傾斜面をこれによって再現しますので、天板全体の高さも約1ミリほど増えることになります。
下に1ミリのブラ角棒をかませて貼りつけました。先に実車側面写真にて見たような、後部天板はほぼ水平で、後半部で僅かに傾斜がつき、尾部でさらに傾斜が付く、という状態を再現出来ました。
強度の面でも、1枚だけですとペコペコになりますが、重ねて張ると頑丈になります。天板全体がこの段階で整いましたので、あとは周縁部のカット調整に進みました。砲塔ターレット部の半円部のカットもナイフで丁寧に進めました。その後、写真は撮りませんでしたが、内側に支持材をブラ板で仕込んで補強しておきました。
これでステップ9の段階での改造工作は完了です。この車体後部天板のかさ上げと水平化によって、キットの輪郭は一気にStrv m40L軽戦車のそれに近づきました。改造作業全体に占める進捗度は3割ほどですので、まだまだ各種の改造作業が山積みです。 (続く)