2号車の組み立てが完了したので、3号車の組み立てに取り掛かりました。ミラージュホビーの同じキットですが、成形色はグレーでした。この3号車では、私なりの実験的な試みとして、自分で色々調べてフルインテリアに仕上げてみたいと思います。
3号車に使用したキットはリニューアル版であったため、説明書および組み立てガイドはカラー印刷になっていました。組み立てガイドの内容は同じで、2号車の時と変わりませんが、インテリアの自作が工程に加わりますので、全体的には自分なりの手順をふまえて段取りを考えて作業を進めました。それで3号車に関しても組み立てガイドの図は省きます。
3号車をフルインテリアに仕上げるにあたり、ネットや資料類を色々あたって参考になりそうな図面を集めました。ポーランドの車輌ですから、ポーランドの軍事系博物館に問い合わせるという手もあったのですが、製作開始時点で、いずれポーランドのメーカーIBGから新製品として7TPのフルインテリアキットが出るらしい、との情報を得ていたため、問い合わせはやりませんでした。
まずは自分なりのフルインテリア化の試みをやれるところまでやって、どこまで正解に近づけられるか、を手探りで理解したいと考えました。間違いがあったならば、それも教訓の一つになりますから、とりあえずは一通り自分のテクニックだけで作ってみて、自身の限界点なるものも見極めてみたい、と考えました。IBGから新製品として7TPのフルインテリアキットが出たら、それを使って「答え合わせ」することも出来ますので、まずは作ろう、と決めました。
上図は7TP軽戦車の駆動系の図面です。エンジン、操縦装置、駆動輪機構などがよく分かります。
上図は7TP軽戦車の砲塔内部の三面図です。砲手席もトレースされていて、砲塔内にフレーム材で組み付けられている様子が分かります。ただ、細部まで細かく重ねて描いてあるので、ちょっと見づらい箇所もあり、何のパーツなのか分からないところもありました。それで、砲塔内部に関しては実車の写真も探しました。
ネット上にて見つけた砲塔内部の写真です。戦車砲および同軸機銃の様子が具体的に分かりますし、必要最低限の範囲で撮影されているので、キット化にあたってはこの範囲までを作れば良いだろう、と考えました。戦車砲はボフォース37mm対戦車砲の車載型であるWz.37戦車砲で、機銃は7.92ミリ機銃wz.30です。
これは全体の断面図です。内部の各装置の位置関係、高低関係が分かります。砲塔のバスル内に無線機が二段に収められていること、砲塔の直下に砲弾ラックがあることなどを、この図面で把握しました。
ポーランドのフォロワーさんに送っていただいた7TP軽戦車のカラー内部図です。3名の乗員がどのように入るのかがよく分かりました。各部の名称も細かく列記されており、インテリアの大半のパーツの名前がほぼ把握出来ました。
軽戦車だけあって、3人の乗員も窮屈そうです。ボンプル高校チームの女子高生たちならば、日本人でポーランド人よりはかなり小柄ですから空間的には余裕があったと思います。
上図は駆動系各装置の配置図です。フルインテリアに作る場合は、こういう配置図が基本となります。立体図も重要ですが、こういった平面図によって車内空間でのパーツの配置がおさえられます。この図を見ますと、起動輪へのギアの繋ぎ方およびミッションの切り替え方法がよく分かります。また、エンジンの軸の後端をベルトに繋いで左右の換気ファンの軸を回す形になっている点もこの図面で理解しました。
さらに7TP軽戦車とその原型となったヴィッカース6トンとの比較断面図も参考になりました。上図の上がヴィッカース6トン、下が7TP軽戦車ですが、両者の違いはエンジンを横に置くか、縦に置くかである事が理解出来ます。それ以外の駆動系装置はほぼ同じであるので、ヴィッカース6トンの図面なども参考にすればより理解が深まるだろう、と思いました。
上図は7TP軽戦車のエンジンの写真です。同じエンジンが9TPにも使われたようですが、基本的な形としてはヴィッカース6トンの横向きのエンジンを縦に立てた感じになります。 エンジンそのものは、ヴィッカース6トンのアームストロング・シドレー空冷4気筒ガソリンエンジンではなく、ポーランドオリジナルのザウラー系のPZInż.235液冷倒立直列6気筒4ストローク直噴式ディーゼルエンジンに換装されていますから、その関係でエンジンが縦置きとなって天板も高くなり、車体後部が大きくなったわけです。
問題は、この複雑な形状のエンジンをどうやって作るか、です。ミリタリートラック関連のキット製作においていつもお世話になっているサークルの先輩N氏が、戦車のエンジンにも詳しいので、後で一度相談してみようと考えました。
これは7TP軽戦車の実車の背面のハッチを開放した状態の写真です。図面だけではよく分からなかったエンジンの後端部の様子、左右の換気ファンの様子がある程度分かります。外の排気管との繋がり方もよく見えますが、この車輌は双砲塔式のタイプなので、排気管の位置が異なります。これから作る3号車は単砲塔式タイプで、排気管の位置が上になりますが、変更点はそれだけです。
以上の諸資料をふまえて、ある程度7TP軽戦車のインテリアが分かりましたので、プラ材やジャンクパーツなどを大量に準備して製作にとりかかりました。 (続く)