ステップ9です。後部エンジンフードおよびハッチを組み立てました。ここでもガルパン仕様への追加工作が必要でした。
後部エンジンフードのB12には排気口パーツB11を接着しましたが、ハッチのB54およびB55はピットマルチを用いての可動状態にしようかと考えましたので、接着はしないでおきました。せっかく内部のエンジン部分を組み立てているのですから、ハッチを開けて中が見られるようにした方が楽しめることでしょう。
ガルパン仕様への追加工作は、ハッチのパーツにおいて実施しました。
劇中のワンシーンを御覧下さい。赤円内に示したように、ハッチ部分のリベットパターンがキットの状態とは異なります。後部エンジンフード上のリベットの数も多いです。
この範囲のリベットは小さいので、キットの中では転用出来るものがありません。そこでジャンクパーツのなかから適当なリベットを切り取って使いました。公式設定資料の図も参考にして、劇中車のリベットパターンに合わせてゆきました。黒っぽく見えるのが、追加したリベットです。
なお、劇中車では後部エンジンフード上のハッチのラインの一部が省略されていますが、ヒンジは残されているので、ハッチの構造そのものには変化がありません。私の制作においては、ハッチを可動式にしようかと思案していたので、ラインの一部の省略にはこだわらないでおきました。
ステップ10では、前面装甲板に機銃を組み付け、ステップ11では右側フェンダー上に載せる道具箱を組み立てました。
前面装甲板への機銃の取り付けは、上図のように、まずジョイント部のF15を前面装甲板B41に取り付けて、リング部B1で固定します。その後にF14を付けて、機銃B52を通して組み付ける、という順番で行ないました。
ガイドの指示では組み立ての順序が示されていないので、仮組みをしてパーツの組み合わせ方をチェックしてみたところ、前述のような手順で組む必要があると分かったのでした。
ステップ11で組み立てる道具箱は、ドラゴンのキットでは大型の箱A26との選択制になっていますが、ガルパン劇中車では道具箱を二種類とも装備しています。ステップ11で組み立てる道具箱を右側フェンダー上に置き、それとは別の箱を左側フェンダー上に置きます。この別の箱は、A26を加工して作る予定です。プラッツ公式キットのガイドには、このA26についての指示が抜けているため、注意が必要です。
さらに、ステップ11でB17からB21までのパーツにて組み立てる道具箱は上図のような形にまとまりますが、これもガルパン仕様とは異なります。
劇中のワンシーンを見ると、赤円内に示したように、道具箱の上面も存在します。キットの道具箱は上が開放されていますので、修正が必要です。
そこで、上にプラ板を貼って整形しました。
ステップ12および13では、左右フェンダー上の装備品などを取り付けますが、ガルパン仕様に合わせてあるのは予備履帯と、ステップ11の道具箱と、ノテックライトだけです。あとはドラゴンのキットのままなので、使用するパーツも取り付け位置も全く異なります。
そこで、このステップの工程は後送りにし、車体前部の改造を行なった後の追加工作としてまとめて実施することにしました。
次のステップ14では、操縦室周りの組み立てを進めますが、ここでガルパン仕様への改造のメインとなる、前部の形状変更に取り組みました。
キットでは、前面装甲板B41はフラットなままに組み立てますが、これは38(t)戦車の後期型の特徴です。ガルパン劇中車は前期型に属するので、B41の右側が一段引っ込んだ形状になっています。
そこで、B41を二つにカットして、右側を後ろに下げる必要があります。カットラインは、公式設定資料の図や劇中シーンを参考にして、機銃リングのすぐ横に引きました。
カットした後、さらに2ミリほどカットして、分割した前面装甲板の双方を整形しました。同時に左側のステーの位置も後ろにずれるので、これもいったん切り離しました。
車体のフェンダー上にあったステーのモールドを、左右とも丁寧にヤスって削り取りました。前面装甲板B41の形状変更にともなって、ステーの位置も後ろに移動するからです。
まず、前面装甲板の左側部分、機銃がついている方を、キットの指示位置に接着しました。先行作品では前にずらしている例も見かけましたが、38(t)戦車の前期型と後期型の図面を見比べたところ、左側前面装甲板の位置は同じであることが判明したので、上図のような処理に落ち着きました。
前面装甲板の右側部分は、3ミリ後ろにずらして接着しました。それに合わせて右側の側板もカットし、B43との隙間もプラ板を貼って埋めました。
中央の段差の隙間もプラ板で繋ぎました。プラ板をあてて適当に整形しながら合わせましたので、雑な仕上がりになりました。後で溶きパテを塗って整形する予定です。
さらに、屋根部分のC3も改造する必要がありました。
C3を、改造した前面装甲板の形状に合わせて削り、プラ板を仮付けして隙間対策としました。このC3は、接着するかどうか、迷っていたからです。接着すれば、内部の様子はあまり見えなくなりますが、接着しないと後部エンジンフードB12も接着出来ない状態になります。
前にウサギさんチームのM3中戦車リーにおいて車体を上部分割式にしてインテリアも見られるようにした方法を、今回のキットでも採用してみようと最初は考えたのです。でも、パーツの組み付け状態が違うので、分割式にするのは難しいことが分かりました。分割式を諦めて接着するにしても、室内の塗装をする必要がありますので、この段階ではC3を接着しないことにしました。
とりあえず、このキット最大の改造が完了しました。ここをクリアすれば後は楽かというと、そうでもないので、ガルパン仕様へ近づけるという一連の試みは、このキットにおいても沢山の課題を抱えていることが改めて実感出来ます。
続いて、改造した前面装甲板B41まわりのリベットを、公式設定資料の図や劇中シーンを参考にして再現しました。リベットの大部分はジャンクパーツから調達しました。
その後、B41からいったん切り離した左側ステーを、右側ステーと対称の位置に接着しました。
同時に、背面パネル上のリベットパターンも、削ったり追加したりして、ガルパン仕様に修正しました。とにかくリベットが大量に必要となるので、ジャンクパーツのリベットやモデルカステンのリベットセットなどを準備しておいた方が良いでしょう。
機銃の室内側のパーツを取り付けました。プラッツ公式キットのガイドにはこれらの指示がありませんので、ドラゴンキットガイドのステップ14を見て組み立てました。
この機銃については、劇中でも色々な角度から描かれています。が、角度によって細部が微妙に異なっているのが分かります。上のシーンをまず御覧下さい。小山柚子の側から見た機銃のディテールです。
これを角谷杏の側から見ると、キットのB28に相当する円筒形部品、おそらく照準器なのでしょうが、その先端の形状が異なっています。機銃本体の下部の形状もなぜか違うのですね。このあたりも、アニメの作画ミスなのでしょうか。
次に、ドラゴンキットガイドのステップ15にて、プラッツ公式キットガイドには指示が無いパーツを二つ組み立てました。
一つ目は、車内に設置される無線機です。D53とD67をくっつけ、保護フレームはエッチングパーツMA6を使用しました。
完成した無線機です。これが車内のシャフトカバーの上に乗っかる形でセットされます。
劇中でも、車内の無線機の様子がうかがえます。上のシーンでは、干し芋を食べている角谷杏の向こう側に無線機の一部が見えます。角谷の席は通信士の位置なので、無線機を扱う場合もあるかもしれませんが、テレビシリーズを通してそういった描写はありませんでした。
さらに無線機は、河嶋桃の肘掛けとして使われていました。この位置に無線機があるのは、38(t)戦車の後期型でもG型以降であるそうなので、ガルパンのB/C型という設定との差異がここにも表れているわけです。
無線機は肘掛け代わりだけでなく、ちゃんと使用されていたことが、上のワンシーンから分かります。河嶋桃が砲塔上にてヘッドホンを着用して通信連絡を行っていますが、そのコードは無線機に繋いであったのでしょう。
このシーンからは、さらにガルパン仕様でのジャッキの形状と装備状況が分かります。プラッツ公式キットガイドには指示が無いパーツなので、公式設定資料図も参考にしました。
ドラゴンキットのガイドでは、P11、P12、P13、P17のパーツと留め具のエッチングパーツMA21二個を使うことになっていますが、そのまま組み立てるとチェコスロバキア製のジャッキが出来上がります。ところが前掲のワンシーンに見えるジャッキはドイツ製のタイプです。そのパーツは、ドラゴンキットでは不要パーツとなっている、上図のK2、K11、K14に相当します。これらを使用し、劇中と同じ形のP11をこれにくっつけることで、ガルパン仕様のジャッキが出来上がります。
なお、プラッツ公式キットではKのランナーが省かれているため、ジャッキはP11、P12、P13、P17のパーツしかありません。なので、ガルパン仕様とは異なるチェコスロバキア製のジャッキしか作れません。プラッツ公式キットで作る場合、ジャッキを劇中に合わせるには、タミヤのⅣ号戦車装備品セットに入っているパーツを使用するのが良いでしょう。
完成したジャッキです。劇中ではハンドルのパーツK2にあたる部分が省略されているようなので、K2は後で取り外しました。
また、留め具も劇中では二か所のうち後ろの一つしか見えず、形状も異なるので、エッチングパーツMA21は使わず、プラ板などでそれらしく再現することにしました。タミヤのⅣ号戦車装備品セットにも使えそうなパーツがありますので、そちらを利用するのも良いかもしれません。 (続く)