入浴後はゆっくり休んで一時間ほど仮眠をとりました。それから夕食前の商店街散歩に出かけました。宿の玄関からマリンタワーが見えるのは、なかなか楽しいものです。
永町商店街まで歩きましたが、もう多くのお店は閉まっていて、「たかはし」だけがまだ開いていました。でももうすぐ閉店のようなので、外から覗き見るだけにしようと思った途端、店主の娘さんが顔を出して「どうぞ入って見ていって下さい」と言ってきました。
「こちらの缶バッジのコレクションも増えていますね」
「そうですねえ、この前に缶バッジをいただきましてから、色々なバッジが出てきたりするんで、出来る限り集めているんですよ・・・」
「そうですか。道理で初めて見るバッジがありますね。頑張っておられますねえ」
「いやあ、ウチはそんなに頑張ってないですよ、アハハハ」
「こちらでは公式オリジナルバッジは出す予定がおありですか、五十鈴華の・・・」
「いやあ、今のところはそういう予定は無いんですけどねえ」
「無い?」
「無いです、アハハハ」
何が可笑しいのか、とにかく笑っていた高橋さんでした。
続いて「加藤豆腐店」に立ち寄りました。
アンツィオ戦OVAも公開されましたから、カエサルに関して新しい寄贈品などの展開があったようですが、店先を一見した限りでは、そんなに目立った変化は見られませんでした。
店先の缶バッジ展示ボードです。
私が寄贈させていただいた、自作ガルパン缶バッジのカバさんチーム6個セットも並べてありました。
「江口又進堂」にて江口さんに浅間神社の件を話しました。
「神社の背後のマウンドは古墳というより、城砦の櫓台に似ていますよ」
「じゃあ、あの神社のある山が城跡ってこと?」
「すぐ隣の尾根にウツギ崎砦がありますし、尾根で繋がってるので、可能性は高いと思います。でも、なにかちょっと不気味な雰囲気ですね」
「あの神社へスタンプラリーに行ってきた方もね、似たようなこと話してたよ」
「本物の城跡で、そこで実際に合戦なんかがあったりして戦死者が出ていれば、霊ぐらいは居るかもしれませんし、不気味な雰囲気になっててもおかしくないでしょうね・・・」
「あー、そういうのは怖くないんだね、星野さんは」
「これでも奈良に居た頃は、中世戦国期の歴史を勉強してて、たくさんの城跡を調べて回ってたんですよ。霊が怖かったら城跡には行ってませんよ」
「さすがだねえ」
「まあ、こっちも霊感とかあんまり無いんで、霊が出てきても気づかないで終わってる気がしますが」
「あははは」
「いずれにしても浅間神社は興味深いところです。まだ草が繁ってて地面とかがよく見えなかったんで、全体の状況がよくわからんかったんです。冬場になって葉が枯れたりしないと見えない。寒くなってから機会をみて出来れば図面をとってみます。本当に城跡なのかどうかは、図面を描いて、それなりの縄張りが明らかになれば分かりますよ。いまのところ、可能性は半々です」
「ふーん、お城の研究って、そういうものなんだ」
この日の夕食は、「お好み焼き 道」でいただきました。水浜線大貫停車場のすぐ横のお店だっただけに、お店の方が当時の事をよく知ってるんじゃないかと思いましたが、その通りでした。女将さんに食事を注文したついでに水浜線のことを訊ねると「それならおばあちゃんがよく知ってるはずなんで」と言ってわざわざ呼んで下さいました。
出てこられた先代の女将さんに挨拶し、水浜線の廃線跡を探索中である旨を話しました。すると懐かしそうな表情になり、淡々とした口調で、水浜線のいろいろな思い出話を語って下さいました。大貫停車場には、踏切の番所もあって、踏切番の人が駅員も兼ねて切符を売っていたこと、電車が磯浜から大貫の間は徐行運転していたこと、バスは電車の発着時刻に合わせて走っていたこと、大洗磯前神社の祭礼日には電車にも飾り付けがなされていたこと、などをうかがいました。いずれも貴重な証言でした。
翌朝は、7時に出発しました。この宿にはガルパンプランの素泊まりコースで入ったので、朝の食事も外でとることになったからです。
大洗へ何度も行けば分かりますが、この町には朝食をいただける施設、たとえば喫茶店とか吉野家のようなお店とかが全く無いのです。だから宿泊する場合、素泊まりよりは朝食つきのプランの方がおすすめなのですが、今回はどうしてもコンビニで何か買って朝飯にする必要がありました。
なぜかというと、今回の滞在中に大貫のココストアで、公式オリジナル缶バッジが出されるらしいとの情報を得ていたからです。従来は、土日用曜限定にて「ばくだんおにぎり」購入の特典として大貫商店会の缶バッジが貰えたのですが、今度はお店のポルシェティーガーのパネルにちなんだバッジが出る、ということでした。
それを確かめるべく出かけましたところ、バッジそのものは本当に配布がスタートしていました。が、ガルパン関連のDVDや書籍や酒などの購入が条件、でした。その日は買うべきものが見当たらなかったので、バッジは諦めました。朝食用にと、サンドイッチとコーヒー飲料とフルーツ缶詰とを購入しました。
朝食はマリンタワー下の広場で食べよう、と思いつきました。その方向へ移動中に「みむら時計店」に立ち寄って、大貫商店会歴史探訪スタンプラリーの五ヵ所の選定の理由を聞きました。
「いやあ、選定っていってもね、その五ヵ所しか無かったんでねえ。大貫の歴史あるスポットといったらだいたいはお寺と神社になるからね。あと角一稲荷とかも加えようか、って話もあったけど、場所が増えると回るのも大変になるだろうから、五ヵ所にしたんですよ」
「浅間神社が挙げられたのには、何か理由があるんですか?」
「あの神社のある丘からの眺めが良いから、ですよ」
「古戦場だった、という噂もあるようですが」
「それはどうですかねえ、本当かどうか分かりませんねえ」
要するに、浅間神社は適当に選ばれてスタンプ設置場所の一つに決まったもののようでした。古墳であるかもしれないとか、城跡の可能性があるだろうとか、そういう発想での話は全く出てきませんでした。
マリンタワーの広場の多目的ステージ近くのあずまやで朝食をとり、広場のベンチに移動して横になったりしていました。この日もあまり天気が良くないようです。
マリンタワーを背景にしての、初めての記念撮影。
マリンタワー広場の一角にあるオブジェです。メカジキだろうと思いますが。 (続く)