農村ライフ 日々是好日

山形・庄内平野でお米を作る太ももの会広報部長の農村日記

僧侶への道 得度

2016-02-24 18:40:57 | 日記
学生時代、ある年月になるとお寺の子弟だった
友人の何人かが剃髪して「とくど」に臨んでいました。
私が通っていたのは浄土真宗本願寺派の学校です。

「とくど」とは「得度」。
仏教における僧侶になるための出家の儀式のこと。
本山に出向き11日間の習礼(修行)を受けて、
「度牒(どちょう)」をいただき、
晴れて僧侶として認められるのだそうです。
お寺の子弟にとっては重要な通過儀礼ともいえます。


ビッグコミックオリジナルに連載中の「月をさすゆび」
では主人公たちが今まさに得度習礼を受式したところ。

西山別院での11日間にわたる得度習礼のようすは
たいへん興味深いものでした。
(年に8回開催 定員各回とも120名)

まず得度期間中は俗世との関わりを一切断ちます。
外出禁止はもちろん、全員携帯を預けなくてはなりません。
そして規律を守って班ごとの集団行動が求められます。

朝5時30分起床。
けたたましい鐘の音とともに宗門歌が部屋いっぱいに流れます。
法衣に着替えて正座、教官が回ってくるのを待ちます。

それから班ごとに庭や本堂など指定された場所の掃除。

掃除が終わると本堂で朝の読経のお勤めが待っています。
それが「晨朝勤行(じんじょうごんぎょう)」

朝食後、9時からは講義。

昼食後、午後1時から再び講義。

午後4時30分から夕方のお勤め「日没勤行」。
これは夕食時間まで延々と続きます。
主人公のゼンギョーさんは慣れない長時間の正座に悩まされます。

午後6時、早めの夕食。

そして一日最後のお勤めが「就寝勤行」。

連日このスケジュールの繰り返しが続きます。

そして得度期間中、各食事の後に
「課題」と呼ばれる時間が設けられています。

これはいわば実践テスト。

得度を受けるために必要な「課題」は七つ。

焼香の正しい作法や、
法衣のたたみ方、帯の結び方、
荘厳の正しい知識を覚えているか、
宗門の重要な経文を暗記して唱えられるか、等等、

受講生自ら教官のところに出向き、
一対一で与えられた課題を見てもらうのです。

得度三日目から解禁になる課題を、
加賀氏はなんと初日1日で七つすべてをクリアしてしまいます。
このときの加賀氏のドヤ顔がいいんだなあ。

そのほか物語では、二班の班長であるゼンギョーさんが
晨朝勤行の内陣出勤で単独で句を読んで、
緊張のあまり音程を外したり・・・

実(みのり)女史が色つきの下着を教官から注意され、
事務所で購入した白色肌着が思いっきりデカパンだったり・・・

分刻みのスケジュールに気遣いの細かい
日野灯はひどい便秘に悩まされたり・・・・

と面白いエピソードが盛り込まれています。

「加賀氏、僧侶になるのってつらいなあ・・・・・」

それでもゼンギョーさんたちは、
「得度」という僧侶への道を
ひたすらまじめにがんばり通します。

得度も半分を越えると、勤行がテキスト無しの
「無本」という読経になります。

やっと得度の生活リズムに慣れてきた、
得度九日目で実質上の習礼は終了。

そして得度十日目に迎えるのが「得度式」です。
剃髪式のあと僧侶未満の受講者たちは夕方から得度式に臨みます。

バスで本山(西本願寺)に向かう途中、
10日ぶりに体感する娑婆(俗世)。

本山総御堂での得度式が、このくだりのハイライト。

ゼンギョーさんは得度式で、自我と対峙します。
「無」が在ると意識し、それが「空」というものだと感じます。

ゼンギョーさんが掴んだものは、
得たものは、
そして手放したものは・・・・・



先月札幌で再会したアベちゃんに「月をさすゆび」の
話題をふるのを忘れていましたね。
残念。


「月をさすゆび」
東仏に通い僧侶を志す4人の男女の青春物語。
(もっともゼンギョーさんはもう38歳だけど)

ビッグコミックオリジナルを再び読み始めて数年になりますが、
コミックを注文したのはこの漫画が初めてです。









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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (阿部です)
2016-02-25 14:02:55
詳細な解説ですね。小生もひと月前このマンガをたまたまお見舞いにいった病院で読みまして、まさにそうだったなぁとウン十年前のときを思い出しました。あの時はもっと意地悪な教官がいたような記憶があります。とにかく足が痛かったですね。
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Unknown (ひろの元気村男)
2016-02-27 20:41:29
意地悪な教官ですか。「月をさすゆび」でもかなり言葉の汚い(?)教官が描かれていました。

ちなみに住職になるための教師資格はいつごろ
取りましたか?
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