農村ライフ 日々是好日

山形・庄内平野でお米を作る太ももの会広報部長の農村日記

黒塗りの外車

2020-07-01 19:15:37 | 日記
昨日のあおり運転の記事から連想して思い出した話をもう一つ。
あおり運転ではありませんが、それに近いような怖い?体験をしたことがありました。

車を運転中、交差点で信号待ちしていました。
右折レーンです。
右向きの矢印信号が青く点灯しました。
さあ発進。

ところが同じレーンで信号待ちしていた前の車が動き出しません。
(矢印信号なので分かりづらい?)
好意的に考えるとそうとも理解できますが、
その時は少し急いでいたのかも知れません。

(さあ、行こうぜ行こうぜ!)
思わずクラクションを鳴らしていました。
この時点で私は前の車を「あおった」ことになるのでしょうか。

次の瞬間はっとしました。
前に停まって信号待ちしていた車は、黒塗りの外車だったのです。
走っている車の大半が軽自動車のような田舎ではめったに見かけることのない高級車です。

(やばー)
そのうちに青の矢印信号は消え赤信号になってしまいました。
信号が次に青に変わる前の停車状態。
前の黒塗りの運転席が重々しく開いて黒服の強面が降りてこっちへ近づいてくる、
という恐ろしい展開にはならずに、信号が青になって車は発進しました。
安堵。

しかし何を思ったのか前の黒塗りは右折後、左のウインカーを上げて路肩に寄って停まったではありませんか。
道路は広い片側2車線です。
私はこれ幸いと右から追い越して先を急ぎました。

遠ざかる黒塗りをサイドミラーで確認すると、
運転していた男が車外に降りて、停車させた車のボデーや下をのぞき込んでいるのが見えました。
(後ろの車が鳴らしたクラクションは、自分の車の異常を知らせる合図だった?)
また好意的に考えるとそうとも理解できますが、
その時はもう二度と関わりたくない黒塗りからおさらばしようとアクセルを踏みました。

1kmほど進んだ次の交差点の信号は運悪く赤でした。
停車して気になるのは後ろの状況です。
果たしてあの黒塗りを首尾よく撒くことができたのか?
ドキドキしながらルームミラーで後方を確認します。(悪いことしていないのに)

そうです、ここで話は終わりません。
事態は悪化します。
一度は離したはずのあの黒塗りが接近してくるではありませんか。
そしてとうとう赤信号で停車中に追いつかれてしまいました。
しかも真後ろです。
なんという間の悪い展開。
まるでテレビドラマのようです。

私の車を追いかけてきたというのか?
すぐ後ろに停まった黒塗り。
(早く青になれ!)
なんと長い信号なんでしょう、まだ赤のまま。

(えっ!!!)
事態はさらに悪化します。
なんと黒塗りの運転席のドアが開いて男が出てきたではありませんか!
今度はもちろん車の点検ではありません。
まっすぐこちらに近づいて来ます。
もう逃げも隠れも出来ません。
万事休す・・・

(続く)



そうテレビドラマだったら、もったいぶって次回に続く場面です。
これはドラマではなかったので先を書きます。
民放のようにCMも入れません。

コンコン
男が私の車のドアガラスをノックしました。

とうとう最悪の事態になってしまいました。
数分前何気なく鳴らしたクラクションで事態がここまで進行するとは、
人生何が起こるかほんと分かりませんから。

観念して恐る恐る窓ガラスを少し下げる私。
「さっきなんでクラクション鳴らしたの?」
そう尋ねる男の声は意外と威圧感がなく特段怒っているようではありませんでした。
黒服でも強面でもなく、ふつうのおじさん然としたたたずまいです。

この人意外と普通人?
さらにまた好意的に考えるとそう捉えられないこともありませんが、
しかしふつうのおじさんが、果たしてここまで執拗にシロートを追い詰めるか?

怒鳴り声ではなかったことに少し救われた感じがありましたが、
すっかり気持ちが動転していた私は、
「ああ、あれは赤信号だったんですけど・・・青の矢印が・・・
点いていたので・・・行けたんです・・・よ、ほんとは・・・」
もうしどろもどろ。(悪いことしていないのに・・・ですよね)

この返答に納得したのか?
それとも信号が青に変わるのでもういいやと思ったのか?
男は「ふん」と鼻を鳴らして車に戻って行ってくれました。

いやいや、最悪の状況でなんとか事なきを得ましたが
こんなにドキドキしたことはありません。

皆さん、車を運転中信号待ちなどでイライラするとつい鳴らしがちですが、
クラクションを鳴らすのはやめましょう。
相手のためにも自分のためにも。
どうしても鳴らしたいときは、どうぞ前車のグレードの確認を怠りなく。