福島木工家具店

製作した家具の紹介と日記

漆の塗り立て

2015-06-04 23:16:52 | 製作記録
弁当箱の漆の塗り立てをしてみました。


一言に、漆塗りといっても、様々な塗り方、技法がありまして、

初心者にとっては、なかなか難しいものです。


入門として、一番手がつけやすいのは、摺り漆、または拭き漆という技法というものがありまして、

これは、摺り漆用の漆を使うのですが、漆を塗った後、乾かないうちに専用紙(摺紙)で拭き取る方法です。

そして、漆が乾いたら、高い番手の耐水ペーパー等を使って水研ぎして、漆塗りした表面を綺麗にします。

この工程を何度も繰り返すと、漆の厚みも重なってきて、綺麗な仕上がりとなります。

*注意 知ったかぶって書いていますが、漆塗りの知識経験はほとんどありません。



摺り漆で3~4回塗った弁当箱(綺麗な光沢が出ています) ↓







次のステップとして、塗り立て(または花塗り)という技法があります。

塗り立てとは、塗り放しということで、このまま仕上げとなります。

塗り立ての漆には油が入っているので、その仕上がりは漆独特の艶と光沢になります。

塗った後、何もしないのは楽チンなのですが、

専用の漆刷毛で綺麗に塗らなければならず、また、塗り厚も均一に、

そして何よりも埃が出来るだけつかないように塗って乾燥させることが難しいですね。

塗って乾燥させた後、些細な埃でもすごく目立ってしまいます。



朱色の塗り立て(2回塗り) ↓






摺り漆とは、また違った仕上がりです ↓









写真では判りにくいですが、細々とした埃が表面についています。

細心の注意を払って塗ったのですが、今の仕事場では作業環境が厳しいので、この仕上がりが精一杯です。

やはり、埃対策をした塗装部屋を設けて、仕事するのが望ましいです。



正直、仕事として安易に手を出すのは大変なことになります。

ちゃんと準備期間を設けて、それなりの作業環境を整えて、練習を重ねて、

工程と工数を把握して、計画的に進めていかなければいけません。


普段しているオイル塗装に比べますと、漆塗りの手間は何倍、

否、慣れていないのも合わさって10倍くらいかかったかもしれません。

今回は、小さな箱ですので余計に時間がかかりました。

器とか、箸とか、お盆でしたら、もう少し早く出来るでしょう。


あと、おまけですが、かぶれます。

ここ2カ月間、毎週のように漆塗りをしていたので、大なり小なり、ずーっとかぶれが続いています。

漆塗り職人になるためには、最初の2~3ヶ月間我慢すれば体が慣れてくるから大丈夫とは聞きますが、

ホンマやろか?

本当に慣れたらウレシイです。

漆塗り、ずーっとやって行きたいです。

こんな綺麗な塗装方法を諦めるのは勿体ないです。

ただ、コストがかかりますのでご理解頂けるお客様がいなければ仕事になりませんが・・・

こちらも色々と試行錯誤しながら、コストを下げて、魅力ある漆の作品を作って行きたいと考えています。


こんなビビットカラーの漆もあります → 色漆 透明色漆

色んなアイデアが浮かんできそうです。


この漆を扱っている(株)箕輪漆行さんでは、フローリング用の漆も取り扱っています。


特徴として、


 「天然塗料、塗膜には抗菌、殺菌性があり衛生的、

 酸、アルカリ、シンナー、アルコールなどいかなる薬品にも侵されません、

 高分子なので拭けば拭くほど艶が出てきます」


ご要望がありましたら、施工前のフローリング板への漆塗りの検討も致します。


この先、新たな漆塗り作品の可能性を探っていければと考えております。



コメント
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