はなうたまじりにひとりごと

私視線で、観て聴いて♪素直に気ままに我儘に。主に宝塚の舞台のこと、その他諸々?についてお喋りを。

大変遅ればせながら、近松語り

2012-06-08 19:35:49 | Weblog
さてさて、
かなり、今更?な感想文でございますが。
どうも、観劇する時は、いろいろと観る結果になり、
落ち着いて述べにくいことも多く……

というのは、言い訳として。
歌劇誌に、舞台のお写真が掲載されていましたが、
実際は、ずっと美しい出演者の皆さんがほとんどでした。
初日前から、東京に来るまでに…いかに、皆さんがお化粧が上手になるものなのか。

そういうことの積み重ね、と思うと、
日本物の公演に出る機会に恵まれる、恵まれないということは、
そんな意味でも、キャリアに差が出て来るとも言えるかもしれませんね。


では。
このお芝居の、
どこに感情移入をするか。

勿論。素敵カップル二組は、芝居上手、ビジュアルも美しい、
私たちの気持ちを、物語に浸らせてくれるカップルです。

しかし、そのロマンスよりも、
りー氏みーちゃんに釘付けだった私は、女子力、おとめ度が低いのか?

みわっち氏カップルは、
ご本人たちは、それなりにお幸せな結末と言えるかもしれませんけど、
短い幸福、そして、周りじゅうを不幸に陥れちゃう…
そのことは、二人にとっても、当然幸せなことではない、ただそれを、振り切って、
幸福をみつめて、旅立つというだけで…

正直、今の私には、あまりにも遠い出来事で、
どちらかといえば、
はらはらどきどきの、客観視なわけです。

一方のみつる氏カップルは、
最後は、みんなが幸福になるような未来が待っている…(ようにみえる)展開で、
こちらのカップルが描かれているので、
何やら、夢が繋がれるというのか、ほっとするというのか、
憧れるというなら、こちらのカップルかしらん。

ああやって、見守り、
身を呈して、愛し、慕い、、、な人がいてくれて、
羨ましいじゃないの、おきよちゃん。

……夫婦(めおと)として、上手く行くものなのかは、
シビアにみたらわからないけれども、
上手く行くと信じさせてくれる、大きな愛でした。

で、この二組のカップルしか出てこなかったら、
完全に、ちょっとダメなおきよちゃんに移入だったかもしれないのです。
しかし……更にダメな男たち、登場(笑)。

あきら氏は、そりゃ、感情移入するタイプの役割ではないですよね。
しっかりお仕事して下さって、
まぁ、憎たらしいこと!
凛々しいお顔だちが、活きる活きる!(笑)

この人が、ヤな人じゃないと、
主人公カップルが、可哀相にならないので、
とことん、気の毒になったのも、あきらくんのお仕事の成果でしたとも。

それから、
気弱な弟おーとりくん。
お薬を飲んだら、目が治ったかどうかは、よくわかりませんが…
何のために、そんなに兄貴に遠慮しているのか、歯痒い。

そのダメな感じが、
更に兄貴を不幸に追い込むのでいいのですが、
ええいっ、そのまま、女をさらって逃げたらいいじゃないか!!
強引に口説き落としてしまえっ!
と、何度思ったことか……(笑)

いや、、、
人が好い兄貴にして、
優しすぎる弟。
あれこそが、兄弟なのでしょう。
はい、ちゃんと血の繋がりを感じました。

そしてそして。
私のハートをわしづかみだったヒト。
それが、りーさまこと(注:誰もそんなふうには、読んでいません)、春風氏。

はじめは、何でわざわざ、近松一家が出てくるんだろう?
なんて思ったのですが、
いや、むしろ、りーさまを描きたくて、この作品を作ったんじゃないかしら?と思うほど。

恋の傍観者なのかと思ったら、
まぁ、りーさま、深い深い。

演じ方によっては、
確かに本当に、添え物みたいになってしまうのかもしれないけれど、
みーちゃんのお芝居は、、、

観客の誰もが、
りーさまのような想いをしたことがあるだろうと思うんです。
あんなふうに、ぐうたらに逃げ、自分をごまかして生きてない人だとしても、
人間ですから、
懸命な気持ちが、必ずしも報われず、石ころを蹴ったり、
畜生め!と、夕陽に向かって叫んだ…ことはなくとも、
叫びたい衝動に駆られたことは、あるはずです。

そこのところを、
りーさまが、ちく、ちくと突き、
胸の奥を、ぎゅっと掴むんですよ…
お見事、みーちゃん!

強がるところ、
小憎たらしいところ、
父に反抗的なところ、
でも、その父に、逆らいきれないところ…
何かに飢えているところ。

お蝶さんの膝にたどり着くまでの芝居。
そこまでに、観客の中に積み上げられているものが、
お蝶さんの一言で、溢れ出す。
りーさまと一緒に、泣かされた人??
…私だけではないはず。

お蝶さんが、また、素敵でした。
きららちゃんは、確かに美しい人ですが、
新公でも、お芝居でも好印象だったイメージ。
出来るお嬢さんであることを、また、印象付けて下さいました。

この後のりーさま。
だからといって、奮起して、、、というほど単純でないところが、また、リアルで。
最後まで、ずしっと彼の苦しさが迫って来て、切ない。


振り返れば、
どの登場人物も、どこかしらヘタレな部分を抱え、
その為に、歯車が上手い方向へ噛み合って行かなかったり…
辛いことを抱えたり…
という物語。
その中で、必死に生き抜いて…
人によっては、死を選んだり、招いたり。

誰しも、
ヘタレな自分と、向かい合わずには、生きて行かれないもの。

だからこそ、
それゆえに、人物たちが愛おしく…やるせない想いでいっぱいになるんでしょうね。