風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

水俣市立水俣第一中学校ECO改修

2012-02-16 11:06:38 | インポート

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環境省モデル事業の水俣第一中学校ECO改修は昨年7月21日の夏休みを待って工事に入り、12月末に部分的残工事を除いて竣工引渡しを行いました。その間生徒たちには水俣第一小学校に間借りするかたちで2学期を過してもらいました。

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約5ヶ月間に外付耐震フレーム、全面内外改装、屋上防水改修、置屋根、中庭ECOライブラリー増築工事、内外部で複層する工事に2学期間で終れるか施工者も不安を抱えてましたが、突貫工事で頑張ってくれました。

水俣第一中学校周りは古城の森(丘)に囲まれています。昔は海がもっと近くこの周辺が水俣の中心であったようで、比較的古い民家を見かけます。古城の丘は昔の桜島大噴火の火山灰で出来たシラス台地になっていて、掘削すると目の細かい砂で森からの湧水も多く、基礎工事は常に水中ポンプで排水しながらしなければなりませんでした。

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今年1月6日には引越しも終わり、生徒たちは3学期を改修後の校舎で学んでいます。2月3、4日は第一中学校で環境省主催の「学校eco改修全国会議」が一泊二日で開かれ、北は北海道黒松内小学校、京都市立朱雀第四小学校、横浜市立新羽中学校、豊田市立土橋小学校、堺市立堺高等学校など全国からアドバイザー、教師、自治体、事務局、設計者が各校6~12名、環境省、文部科学省、建築学会から総勢約80名が参加して、一日目は改修校舎の見学、各モデル校の取組報告、夜は懇親会と意見交換を行い、二日目は校舎を使ったフィールドワークが行われました。先進校の黒松内小学校の先生から水俣第一中学校eco改修について、生徒たちが工夫して取り組める仕組みが多くてとても良いと評価して頂きました。

環境省モデル事業「学校eco改修」は2005年から全国で20校が取り組み、今年度で終わりになります。環境教育を学校の先生、設計者、施工者一緒に学びながら勉強会をし、その中から設計者をプロポーザルコンペで選定すると言う。環境教育を地域に広めながらeco改修を行うと言う新しい取組でしたが、全国会議に見るような全国への広がりはこれからの時代に必要なものだと思います。文部科学省ではこれから「学校ゼロエネルギー化」や「スーパーecoスクール」などへ取組を進めると報告があり、公共建築の4割を占める学校建築の建設、維持は次世代の大きな課題になってきます。

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休憩時間生徒たちは新しく出来たecoライブラリー屋上ecoデッキに集まってきます。改修前の校舎はある意味無駄がなく必要最小限に作られていて、生徒が憩う場は何処にもありませんでした。eco改修はCO2削減が第一の目標ですがecoの意味は生徒たちの生活環境を改善して始めて意味があるものだと思います。今回のeco改修ではクラスルームの温熱環境改善に徹底して取り組みました。2月12日落成式があり外気温は7℃程度の寒い日でしたが、あるクラスでは昼食のお弁当を全員床に座って食べていました。OMソーラーを利用した床暖房の効果だと思います。アンケートでは「クラスルームが暖かい」と言う感想が大半で太陽熱利用効果を肌で実感しているようです。設計、監理とも大変な仕事でしたが生徒の笑顔を見て、eco改修で目指していた方向が間違っていなかったと再確認しました。


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