風 雑記

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FRMF共同企業体  南小国町役場新庁舎プロポーザル

2012-12-04 15:18:25 | インポート

Aso

大分県境の一目山からの眺望 南小国の草原と遠く阿蘇五岳を望む (通称:涅槃像) by tama

  

122日(日)南小国町役場新庁舎のプロポーザルの二次審査が南小国町の自然休養村管理センターのホールで行われました。私たちのチームは残念ながら決選投票で一票差で次点となりました。最優秀は東京の㈱環境デザイン研究所でした。

FRMF共同企業体と言う名前は、地元熊本市のアトリエ事務所チームの頭文字によるもので、F-㈲風設計室、R-㈲来夢建築設計事務所、M-丸岡建築事務所、F-フジモトミユキ設計室の4事務所 からとっています。小さいながら、建築に真摯に向き合い、依頼主の思いに寄り添った設計をするお互いに尊敬できる設計者同士です。

最近プロポーザルコンペが多くなりました。応募要件に組織力や同種建物の実績、経験が求められる為、小さな事務所は応募しにくくなっています。

今回の南小国町役場新庁舎プロポーザルは規模180020002、工事予算5億円、平屋の木造建築が求められ、目的として「南小国町新庁舎の建設にあたり、優れた設計者を選定するとともにその選定方法の公平性、透明性を図るため、公募型プロポーザル方式により広く提案を求め、この業務に最も適した設計業務委託候補者を選定することを目的とします。」とありました。

私たちもどうにかこの要件に応募できる条件が揃っていました。

一次審査(非公開)で34社の中から5社が選ばれ、5者による二次公開審査方式です。

「本プロポーザルの目的は、優れた設計が出来る設計者を選定することにあります。提案者は、本設計にあたっての考え方を、「ヒアリング用技術提案書」に、文章で効率かつ簡潔・明瞭に表現して下さい。なお、文章を補完するための写真、イラスト、スケッチ、イメージ図は使用できますが、(着色、彩色可)、具体的な設計図、模型は使用できません。」

私たちは二次審査に文章、写真、スケッチだけでA3 10枚の技術提案書を提出しました。

プロポーザルで大切にしていることは主催者が求めている提案への思いを読み解き、その思いを設計者として、10年、20年、50年後までを見据えた日本社会、地域社会、歴史文化、環境、変化に対応できる建築を提案し、その裏づけとなる設計知識、実施力、経験があるかどうかだと考えています。

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二次審査では5社それぞれが20分説明を行い、10分間の質疑応答がありました。私たちは一番目の提案説明でした。

質疑応答の時、「他の提案者はみな平面やパースなど具体的提案があるのになぜ貴方達はないのかと問われました。」キツネにつままれた思いです。私たちも質疑に答えるために模型や平面、立面も検討し、それをもとに手書きのスケッチを起こしましたし、ゾーニング図は設計図に近づかない様なるべくデフォルメして描きました。

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その後残り4社の提案を傍聴することが出来たのですが、みな平面図、立面図、断面図があり、一社は模型も出されました。

応募要綱を正直に守った私たちが甘かったのかもしれません。しかし設計案を出せばどうしても設計者よりプランを選ぶことになります。目的趣旨から外れてきます。

私たちはプランなしに決選投票まで行き一票差で次点になったことに悔いはありません。

今回の結果について、最優秀設計者は㈱環境デザイン研究所の仙田満氏です。私も仙田氏の子どもの施設設計などは素晴らしいと思います。町民に愛される町役場を作られると思います。

帰り際、数名の町民審査委員の方から、「私たちはあなた達に頼みたかった」と言って貰いました。その言葉がとても嬉しく、モヤモヤした思いはありましたが、将来の南小国町にとって良い庁舎が出来ることを願って取組んだプロポーザルです。そのことを大切にしたいと思いました。

地方の小規模な事務所の思いが今一歩結果につながらなかった今回のプロポーザルでした。


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