風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

岡山・倉敷

2011-02-19 19:59:35 | インポート

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2月16日、OMソーラー「施設推進会議」が東京と岡山で開かれ、施設設計の講師として岡山へ行きました。友人が大学に通っている時以来なので40年ぶりです。当時の岡山駅周りは大きな建物も少なくのんびりした雰囲気だったのですが、記憶違いかと思うほど綺麗で大きな街になっていました。

徒歩圏内に岡山城、後楽園など主要施設があり、初めて岡田新一の設計した建築(県立美術館)をじっくり見ました。石とステンレスの使い方が特徴的で、大きな吹抜けにガラスを介して内外部が交差する(写真左下)ディテールはチョット新鮮でした。

その近くに石井修設計の創和設計があります。ガラスのトップライトと屋上緑化が交互に段々上っていく独創的な計画で、最近出来たとしても不思議でないような斬新な設計です。トップライトから木漏れ日が写り込む内部空間は一度入ってみたかったですね。(見学不可)

17日午前中はOM導入された岡山中央小学校を見学させてもらい、午後から倉敷に行きました。

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初めて倉敷に来ましたが、先月行った近江八幡とはまた違って、観光地化はされていますが残っている建物群は質、量共にレベルが高く、江戸期の富の集積があったことを感じます。第二次世界大戦で空襲を受けなければ、このような町並みが日本中に残って建築環境はまた違ったものになっていただろうと思います。(板塀のゼブラ模様が面白く、近寄ってみると和釘の錆の模様です-写真左下)

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アイビースクエア(江戸幕府代官所跡-1889年倉敷紡績工場跡)の入口が分からず一周してしまいました。通用口?の道路反対側の屋根の上にビクターのワンちゃんが沢山乗っています。子供の頃「101匹ワンちゃん大行進」のアニメを見て、何度も犬の絵を描いていたことを思い出しました。

大原美術館もシーズンオフでゆっくり見れましたが、展示作品の量、質とも(印象派から現代美術まで)レベルが高いのは驚きでした。

倉敷の歴史的街並は路地から路地へと拡がりがあり歩いていて飽きませんが、冬の平日なのに観光客も多く、観光シーズンになった時の混雑ぶりを想像するとこの時期に来れたのはラッキーだったようです。

今回久しぶりに新幹線を利用しました。1ヶ月後には熊本駅から直通で一時間ほど短縮されるのですが、乗り継いでもなかなか快適でした。


福井県若狭町三方

2011-02-03 21:23:07 | インポート

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前ブログの続きです。1月28日朝、京都駅から敦賀経由で福井県若狭町三方中学校へ、琵琶湖を過ぎる途中から雪景色となり、それからどんどん積雪量が多くなってきました。

全国大会第一日目は改修が終わった三方中学校の発表と進行中のモデル校五校(横浜、豊田、大阪、京都、水俣)の取組み報告、環境省、文部科学省、日本建築学会からも夫々4、5名参加されて、100名近い会議でした。2日目は改修された三方中学校の温度、照度などを測定してのワークショップ。

断熱改修(外断熱)の効果は明確に出ていて、外気温2℃に対して教室は約12℃で、10℃近い効果が出ています(予想通りです)。未改修部分の外壁側はコンクリートに蓄冷され表面温度は-1℃、改修後の12℃でも寒く感じますので、これまで生徒たちはこの寒さに我慢していた訳です。

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三方湖の朝

全国会議はスケジュールがハードで、旅館に着いた時は真っ暗、朝起きて窓を開けると三方湖が一面に広がっていました。部分的に湖水が凍り付いていて幻想的な景色でした。三方五湖周辺は縄文時代の遺跡が多く、縄文博物館には土偶や瓶、丸木船など展示されています。海が近く、湖があり暮らし易かったんでしょうね。(こんなに雪が多いと大変だったでしょうが)

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日向湖(ひるがこ)の景色 左上の集落が海と湖の境です。

帰りは三方五湖を若狭湾の方へ廻り込み、レインボーラインを通り敦賀へ、写真の日向湖は海と接する海水湖で、魚の養殖が盛んだそうです(ブイなどが沢山見えます)。この先に常神半島が海に伸びていますが、半島は漁業が主な生活の糧で、以前は長男以外は全員外へ出て生計を立てるそうですが、最近魚が減り長男も町に出て働かねばならなくなって、厳しさが増しているとのことでした。そのような話に水上勉の小説を思い出しました。

福井県若狭町に来て一番驚いたのは至るところに古い民家や蔵が残っていることです。雪景色の中でのことで確かではないですが、5割近くが古民家だと思いました。棟の少し下まで杉板張りにし、屋根勾配より緩勾配の山型に漆喰が塗ってあります。(近江八幡も同じでした)古民家が自然に残って景観となっている処は少ないので、戦争被害が少なかったのだろうと思います。

次の日のニュースで敦賀地方は大雪で、利用した特急サンダーハードは雪で立ち往生、道路は動かなくなった車の列、金沢まで足を伸ばそうかと思っていたのを取止めて正解でした。


ヴォーリズ建築を訪ねて

2011-02-02 22:29:31 | インポート

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1月28、29日に学校エコ改修の全国大会が福井県若狭町三方であり、27日に京都に前泊しました。朝一番の飛行機で大阪に行き、以前から予定していたヴォーリズ建築へ、梅田駅に着くと梅田スカイビル(1993年完成)が目に飛び込んできます。20年ほど前に訪れた時と同じような感動があり、原公司氏のすごさを改めて感じました。

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御堂筋をぶらぶら、綿業会館を覗き、HERMESの新しいビルを横目で見ながら大丸百貨店へ、アールデコのネオゴシック様式建築、1933年完成、築78年経ているとは思えません。エレベーター周りや天井のデザインの華やかさは今も健在です。最近のデパートに比べると階高が低いのですが、中二階があり独特のスケール感を持っています。エレベーター周りのデザインや階段親柱に組込んだ照明が親近感を感じさせます。

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ボーリズ記念館

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近江兄弟社学園

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旧八幡郵便局

大阪から近江八幡までは電車で約一時間、駅からは少し距離がありますが、始めにヴォーリズ記念館(自宅)へ、2月2日に記念行事があり見学は出来ないとのことで、外観を見て、周辺を散策しました。すぐそばに近江兄弟社学園(幼、保、小、中、高一貫教育)があり、徒歩圏内に保存改修された旧八幡郵便局、洋風住宅(数棟)などがあります。

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ヴォーリズの建物群も然ることながら近江八幡は重要伝統的建造物群保存地区に指定された日本建築の宝庫のような町です。豊臣秀次が築城した時に碁盤目状に整備された町並みは数百年の時と現代の生活が溶け合っています。景観に合せた新しい建物もあり、土壁を補修している現場など何処を歩いても見飽きません。

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城山のふもとは琵琶湖と通ずる運河が整備されています。この運河によって京都、北陸の物資が行き来し、そのことが近江商人と言われる商人文化を発展させたとのことです。この地にアメリカからヴォーリズ氏が英語教師として来たのですが、近江八幡はある意味日本文化が凝縮したような魅力一杯のところでもあったわけで、ヴォーリズ氏は洋風建築で有名ですが、細部には日本家屋からインスピレーションを受けたと思われるデイテールが沢山あります。近江八幡に来たのは偶然ですが最高の巡り合せだったと思いました。

粉雪が舞い寒かったのですが、とてもホッとな時間でした。