風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

冬の寒さと太陽熱パッシブソーラー

2021-01-06 11:32:54 | 日記

明けましておめでとうございます。

今年の冬はとても寒いらしく、コロナの影響もあり自宅で過ごす時間も多いかと思います。

風設計室は20数年、太陽熱空気集熱パッシブソーラーの設計を数多く手掛けています。

設計する建物には出来れば全て取入れたいとも考えています。

自宅で過ごす時に住まい全体が温かいことは、安心とやすらぎをもたらしてくれると思っています。

太陽エネルギーは無尽蔵であり、ある意味地球の自然は太陽エネルギーによる恩恵で成り立っています。

太陽熱空気集熱パッシブソーラーは金属屋根の下に3cmの空間を造り、軒先から入った新鮮空気を暖め、その空気集めて床下の基礎コンクリートに送り蓄熱します。そして住まいの外壁側の床から室内に循環します。

冬の快晴の日は最高50~60℃の棟温度になります。その空気を床下に送ることで、家全体の床表面温度が20℃程に保たれます。蓄熱された熱は少し時間をおいて効果が出ますので、夕方から夜にかけて室温も温かくなります。

このシステムで稼働するのは一台のファンだけですので、太陽エネルギーは当然タダ、ランニングコストは3,000~4,000円/年程度です。

夏はファンが逆送風し、屋根裏の熱気を軒先から出して屋根の温度を下げるとともに室温も下げてくれます。

もう一つの利点は、常に新鮮空気で換気してくれることです。冬は乾燥しますが洗濯物は室内干しで良く乾きます。温かい空気で換気することでコロナ対策にも役立つはずです。

阿蘇の住まいの12月初旬の一週間の温度記録です。

赤線が棟の集熱温度、青線が室温、緑線が外気温度です。

外気温が零下になっても室温は16℃以上を保っています。家全体がこの温度で維持できれば、くらし易く、ヒートショックも無くなります。

建て主はエアコンはほとんど使わないでも暮らせると言われます。

これまで住宅や施設40棟に取り入れました。建て主は「こんな良いものがなぜもっと広がらないの」とよく言われます。太陽熱空気集熱パッシブソーラーを取り入れることは建物全体に工夫が要ります。そして長く付き合う覚悟が要ります。その覚悟がなかなか難しいのかもしれません。