風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

ミラーホーム・サローホーム

2008-04-05 22:40:24 | インポート

Photo Photo_2 4月4日、風設計室の南に隣接する社会福祉法人慈愛園の子供ホーム(児童福祉施設)2棟が完成。竣工式が神水教会で沢山の参列者の中、賛美歌やお祈り、子供達による「キッズソング)の合唱、テープカットがありました。

「キッズソング」は慈愛園のオリジナルソング、楽しくリズミカルで園内風景をそのまま歌にしたような曲です。

 1.さくらの花がそよ風に揺れている

   路面電車がゴトゴト笑っている

   小鳥がさえずりひまわりが咲きみだれ

   それをお陽様が照らしてる

   ジローが歌い にわとりが手拍子

   クルミの実もカチカチリズムをとっている

   ここは(この場所は) あなたと(あなたと)

   わたしのふるさと(ふるさと)

   いつでも(いつまでも) 笑顔が(優しさが)

   あふれてる慈愛園

 2.子どもたちがグラウンドではしゃいでる

   ドングリたちも一緒に泥だらけ

   ゴエモン風呂できれいさっぱりになれば

   夕焼けにまた明日

   木の葉があたりをうめつくし

   もうすぐみんなが楽しみなメリークリスマス

   春でも(春でも) 夏でも(夏でも)

   秋でも冬でも(毎日)

   元気な(元気な) 笑い声(笑い声)

   聞こえるよ慈愛園

   ここは(この場所は) あなたと(あなたと)

   わたしのふるさと(ふるさと)

   いつでも(いつまでも) 笑顔が(優しさが)

   あふれてる慈愛園 あふれてる慈愛園

ジローは園に居るポニーの名前で、数年前までニワトリが放し飼いされていて(タヌキにやられたとのこと)、お風呂は新しいホームもゴエモン式で薪焚き(誰かの世話によってお風呂に入れることを伝えるため)です。園内はこの歌詞のまま一昔前にタイムスリップしたような懐かしい風景を持っています。その環境のおかげで90名の子供達は良く日中運動したり、外遊びに夢中で、その姿は懐かしさを感じます。色んな事情を持って園に来て当初引篭もりがちで暗い表情をしてる子もその内我慢できずに外遊びを始めるそうです。だんだん顔の表情も明るく元気になってくると園長は言われます。それは子供達の遊ぶ姿を見ていると良く解ります。今、一般の家庭の子でも周りの環境が悪く、家に閉じこもり勝ちでその事がこころに様々な影響を与えているのを感じます。それが広い慈愛園内に色んな遊び場があることで、遊びの工夫をしている子供達を見ると、環境さえあれば私の子供の頃(50年程前・・・半世紀前か....)とほとんど同じ様に子供達は遊ぶんだと改めて解ります。

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8年前にエスターホームを改築、今度ミラーホーム・サローホーム(以前来られた宣教師の名前)と3棟の改築設計が完成し、3棟が並んで建つことになりました。エスターホームは同じ場所に建っていた70年前の建物のデザインをコピーし、屋根は古い瓦を再利用しました。今度の新しい建物は赤いレンガ色の金属板葺きと白い漆喰塗り壁で、園内に赤瓦の建物が多く、その中に建つ為、赤い屋根にすることを当初から決めていました。

Photo_4 Photo_5 この日から沢山の子供達や関係者、ボランティアの人達に祝福され新しい子供ホームが私達の手から離れます。慈愛園創設者の宣教師モード・パウラス先生は創設時から小人数の家庭的小舎施設での児童福祉を推奨され90年程経過します。園内の子供達の笑顔や気さくさにその事が如何に大切であるかを気付かされます。近年児童福祉行政もも少人数の小舎施設を推奨するようになって来ました。

新しい建物を造るには建て主も設計者、施工者も並々ならぬエネルギーが必要です。ミラーホーム・サローホームも完成まで3年ほど掛り、心配事や時間との戦いなど様々な問題や障害を経てきましたが、建物が完成する頃それまでの苦労は一気報われた気持になってきます。

今回の設計の願いであり、コンセプトは「慈愛園の風景に馴染んでくれること」です。様々なパッシブソーラーの工夫(OMソーラー以外も)を盛り込み、自然の日照、通風利用など新しい試みや工夫も多く取入れましたが、一番の願いは「何時建ったの、以前から在ったの、私のふるさとの家」と言ってもらえる事です。