風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

京町家 無名舎

2007-03-03 22:25:04 | インポート

28日午後からOMセミナーのオプショナルツアーで3ヶ所の建築見学へ行きました。最初が京呉服の問屋街「室町」の京町家「無名舎」で、座敷で40人ほどの見学者に持ち主自ら説明。

京都の商人の心意気がこの町家に凝縮されていて、無駄を省くこと、規格化することが徹底され、畳から規格化された寸法は簡単な間取り図で建てることが出来、障子や建具も規格化され他所から持ってきてもピッタリ合うようになっていると、冬の寒さには厳しいが夏の暑さ対策は様々な工夫がされていること。建築に携わる者はこの町家の良さが判らなくてはいけないと、京町家と京都の文化に愛着を持って暮らしていると語られました。日本建築が規格化を得意としたことが町並みの景観形成に役立ち、木割寸法が部材の共通化を発展させ、日本建築文化をより素晴らしいものにしたのですが、その得意な技術は現代のプレハブ住宅の発展にも通じているようで、景観的には逆効果もあり少し皮肉な感じもしました。

Photo_71 1_262_203_9 表通りは祇園祭のコースであり、2階から眺めることが出来る祭りの特等席となっている。玄関横に14畳ほどの通りに面した部屋は以前の白生地問屋の店舗部分であり、住まいへは一度奥の外部へ出て、右に玄関があり、来客はそこから座敷に通される。玄関は第一中庭に面している。

4_3  5_2 6_1 玄関左手に中庭に面した縁側があり、そこを通り8畳と床の間付10畳2間続きの和室が冠婚葬祭や正月の挨拶のハレの場であり、奥に広めの中庭があり、奥の間と続く、座敷は2つの中庭に挟まれ、開け放つと開放的で夏の風通しの工夫がされている。

7_2 8_1 9_1 2階は1階間取り同様、畳の8畳と板張りの10畳があり、床付の板張り10畳は能の練習をする部屋との事、通り土間は2層分の吹き抜けで木組みの梁が美しく、高窓とトップライトから光が差し込む、吹き抜けは火災時の防火対策も兼ねているそうである。通り土間には昔から使っている棚や食器、かまどがそのままあり、ガスコンロも使われているが他は昔のままの道具を今も使われているようである。

座敷は火鉢が2つ置かれていたことや、道具や建具も昔のままで、京都でも最も良い状態で維持されている町家の一つだと思います。


京都 2/27、28

2007-03-03 19:15:34 | インポート

Photo_66 1_23 Photo_67 27日の8時台の新幹線で京都へ移動、今回は「OMソーラーセミナー」に参加するの がもう一つの目的です。OMソーラーを最初に設計に取り入れたのが1998年で、その後風設計室の設計の7割にOMソーラーが採用されています。今年の暖冬は地球温暖化傾向を顕著に表しています。暖冬になればOMソーラーは向いてないのではと訊ねられますがそれは全く逆でOMソーラー技術を勘違いされているのだと思います。オール電化やエコキュートーなど省エネルギー的な技術が話題になりますが、どちらも電気を使うことや廃熱することに変わりはありません。OMソーラーは屋根に降り注ぐ太陽熱で暖められた空気をそのまま利用し、暖房やお湯取りを行い、55Wの太陽光発電パネル2枚で自立運転させます。CO2や廃熱することはありません。他にもっと効率的な方法は無いだろうかと何時も探していますがなかなか見当たりません。地球温暖化と関係無く一軒一軒の住まいや建物で無料で使えるエネルギーは太陽熱です。太陽光発電も有効ですが、製造時の環境負荷と償却期間がもう少し短縮できないと厳しい気がします。OMソーラーをもっと発展させ踏み込んだ工夫を考え、研究するべきだと思っています。そのヒントを求めて今回のセミナーを楽しみに来ました。

京都に着き、京都駅ビルを見、少し時間があったので東寺へ歩いて行きました。運よく非公開の五重の塔初層内部が見れ、金堂、講堂、国宝の仏像も見応えがありました。それにしても京都も暖冬で、京都、奈良には冬来るのが好きでしたが(観光客が少なく底冷えする寒さの中見て回るのが好きで)拍子抜けな感じです。

セミナーは27日は藤森照信氏の講演、OM地域建築賞の最終プレゼン、講評、審査発表、交流会があり、28日は午前中にテーマ別セミナー、益子義弘氏「世界の住まい環境を測る」、片山和俊氏「山形県金山町まちづくり100年計画」、横内敏人氏「横山敏人の仕事」、道家俊太郎「京町屋-無名舎について」とOM技術に直接関係するものは無かったですが、それぞれ興味深い内容でした。OMは奥村昭雄さん(東京芸大名誉教授)が発案されたものなのですが、藤森さん意外全てのスピーカーが東京芸術大学の教授と出身者だったのは少し意外でした。


東京 2/25、26

2007-03-03 17:38:51 | インポート

Surve2 Surve 2月25日友人と落ち合い銀座にあるお店の製品見学に行き、その後別の友人がオーナーの小金井にある家具ショップ「SERVE」へ、昨年来た時は外が暗くそのまま吉祥寺へ移動、会食したので周りの雰囲気が全然判っていませんでした。今回来て小金井公園入口(77ha)隣で、正面道路は玉川上水の桜並木と並走し素晴らしい環境なのが判りちょっとショック。(武蔵野の雑木林が好きでしたので)

小金井公園は設計事務所(30年前)に勤めているころ、花見に来た記憶があって、その時見た桜は今でも忘れられません。あまりの見事さに狂気に近いものを感じました。駅から延々と続く人並みも...

その日はお店2階の住まいに泊めてもらい、食事は手作り「おしながき」まで作ったフルコース(しめ鯖ではなくしめ鯵、肉じゃがなど)でもてなしてくれました。当然熊本から馬刺、からし蓮根、焼酎(五木の山うに豆腐も)持参。最近男の料理が話題ですが、友人2人は最近よく料理をするらしく。いつか自分もやるかな...ビミョー..

3_7 1_21 2_18 26日は朝から小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」を楽しみしていたのに休園日。(そう言えば今日は月曜日じゃないか) 昨日の内に見ておけばと思うのは後の祭り、友人から「また来いってことだよ」と慰められながら、外から見学、茅葺農家のプロポーションが素晴らしく、「千と千尋の神隠し」のモデルとなったお風呂屋や前川国男自邸などが見え隠れしているのを柵越しに見ながら、つい直談判して入れて貰おうかなと思う気持ちをやっと抑えました。(たぶん無理なんですが)

その後吉祥寺へ行き、駅ガード沿いの古びた喫茶店に入りましたが、300号?ほどの大きな「東郷青児」の原画が飾ってあり、赤いビニールの椅子と昭和の雰囲気の残る店内に懐かしさを感じ夕方まで話をして別れました。

東京へ来るといつも点から点へ移動していると感じます。景色は車窓から眺めていますが、繋がりのない広大さは田舎者の私にはチョット向いてないようです。