風 雑記

建築とその周辺で感じたこと、思ったこと

軽井沢

2011-10-16 18:43:54 | インポート

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レーモンド「夏の家」

10月12、13日軽井沢であった.。もくよう連主催「ゆるがないデザインを学ぶ」へ、13:00集合150名程の参加者で大型バス3台の見学会でした。

12日はアントニン・レーモンドの「新スタジオ」(写真掲載不可)と「夏の家」、吉村順三の「カニンガム・ハーモニーハウス」を見学、「新スタジオ」はレーモンドに師事された方が所有されて、50年経ているとは思えないほど良く手入れされ、気持ちの良い空間でした。12角形の居間兼スタジオ(中央にコンクリートの暖炉がある)で夏季の2ヶ月間ここで設計作業をし、スタッフは離れの建物で寝起きし自炊していた話や暖炉の影で仕事をしてレーモンド氏と目を合せないようにしていたと言う話は当時の雰囲気を感じさせる楽しい話でした。(目が会うと傍に来て、怒られることが多かったそうです)そして、家具の配置が変わることも注意され、違う家具があると外に出させたと言う話には建築デザインの完成度に対する厳しさを感じました。

「夏の家」前回訪れた時はペイネ美術館としても使われていて、窓は全て雨戸が嵌めてあり薄暗い空間でしたが、今回建築としての展示になって光と空間の使い方が良く解ります。V字屋根は吹抜空間とスロープとの関係が無ければ日本の気候には合わない気もしますが、ル・コルビジェのデザインに触発されて作りたくなったのでしょうか。

Karuizawa 吉村順三「軽井沢の山荘」

吉村順三の「軽井沢の山荘」は今回外観だけの見学でした。以前敷地の外から眺めたことはあったのですが、近くに寄って見る事が出来、これまで図面は飽くほど見て、インターンシップの学生にも図面を写させていたのに本当には解っていなかった事が解りました。写真方向から見たプロポーションが凄く良く、1階RC部分と2階部分のボリュームやバランスには惚れ惚れしました。やはり建築は見なければ解らないとつくづく思うと同時にこの建築の高い評価を再認識しました。それ故、内部を見れなかったのは重ね重ね残念です。

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見学会が終り、吉村先生のお墓に参りました。軽井沢の駅からそれほど遠くない墓地の一隅にあります。シンプルでプロポーションの良い墓石に筆書き文字が掘り込まれ、基壇の横には名刺入れがあります。(墓石のデザインも生前にされていたそうです-名刺入れ..ました)

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レーモンド「聖パウロカトリック教会」

聖パウロカトリック教会、前回は結婚式の最中で見れませんでしたので、今回はゆっくり内部を見ました。教会としては小さいのですが丸太組の空間は伸びやかで丸太の長椅子が素朴さと親近感を感じます。丸太の架構をじっくり見ましたが、部材もあまり大きくなくクロス部分は相欠きなのでしょうかスッキリ納まっていて、軽やかに見えます。

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小屋組丸太の母屋と梁部分は以外に複雑で、仕口がどうなっているのか良く解りません。日光東照宮の修営に携わった大工さんを連れて来たと聞きましたが、さりげないですが難しい架構のように感じます。難しい架構の場合、職人さんの技量が大きく影響します。77年経た今もしっかりしているので相当腕の良い大工さんだろうと思いました。

最後に奥村昭雄氏設計の星野山荘に行きました。奥村先生も来られていて話を伺い、挨拶し、少しだけお話が出来ました。今回の参加の目的は奥村先生にお会いすることでした。14年前からOMソーラーを手掛け、これまでに28棟の建物に採用し、風設計室の大切な設計コンセプトになっています。その感謝とお礼を言いたかったのです。「シンプルで良いでしょう」と言われました。私も建て主に「シンプルさが良いんです」といつも言いますので、お墨付きを頂けました。

またOMソーラーの初期から機器のシステムを開発、工夫されてきた環境創機の友さんと見学バスで隣合せになり、開発の苦労話や考え方など興味深い話が聞けたことはラッキーでした。(友さんは大分出身で中学途中まで人吉で暮らしていたそうで、同郷の方でした)

自然エネルギー研究室(旧OM研究所)の方とも知り合え、紅葉の軽井沢も堪能し収穫の多い旅でした。