前から見たかった日生劇場の内部を見せてもらいました。事前に見学予約をし、建築設計とは直接関係ない友人を誘い待ち合わせました。(男同士の有楽町待ち合せはあまり絵になりませんが)
私は本の知識があるので、そのまま眺めるのですが、友人の方が直感的に見たまま褒めるし、疑問も持つので細部まで一緒に新鮮な目で見れました。
日生劇場は子供達や青少年にいい劇場で質の高いミュージカルを鑑賞してもらいたいと言う施主の思いがコンセプトになっていることを初めてしりました。築46年を経て劇場内部は少し手が加えられていますが、子供に合わせた階段や手すりなどのディテールは今もしっかり守られています。
劇場内部のアコヤ貝の天井模様も近くで見るのと遠くから見るのでは印象も変りますが、1階席からの眺めは圧巻です。フランクロイドライト設計の帝国ホテルが正面に見える大き目の取って置きの窓が作ってあり、村野藤吾が帝国ホテルとの調和にとても気を使っていたとの事ですが、現帝国ホテルとのギャップが大きすぎて悲しくなります。でも逆に言えば旧帝国ホテルがあったからこそこの日生劇場がある訳で、それには感謝しておきます。いたるところに村野藤吾の手の感触が残っていて、改めて素晴らしい建物だと思いました。
案内してくださった方は両親が熊本出身とのことで親切にして頂きました。最近スイスからの見学者が多いとのこと、スイスでは日本建築ブームが起きていて、そのスイス人は「村野藤吾の建物は全部見て帰りたい」と言われていたとか。
日生劇場の方達が大切に使われていることが伝わってきますが、「チョットしたことも村野事務所に相談しないと変えることは出来ません」と言われてました。そうしなければ46年も完成時に近い今の状況を維持できないはずと思います。それでも細部のディテールでもう作れない取手や手摺子があり、左右似て非なる取っ手を見ると技術がドンドン退化している現実に愕然とします。
今度いつか上演されている日生劇場に来たいと思っていますが、9月は宝塚、10月はジャニーズ公演で、見たい観劇チャンスがあるかどうかは微妙です。
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