AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

来るべき時

2018-01-26 01:05:00 | ノンジャンル
一昨日に、メタルシーンに衝撃が走ったことだろう。

SLAYER、フェアウェルワールドツアーを敢行。
とうとう、このバンドが最後を宣告した。

SLAYERと言えば、スラッシュメタル黎明期に出てきた、当代きっての激烈メタルバンドであり、現在のあらゆるエクストリームな音楽の礎となったと言っても過言ではないバンドである。

スピードとヘヴィネス、そしてアグレッションを禍々しく、ヘヴィメタルとして具象化させたのが彼らだろう。
音として不穏な空気を生み出すその旋律は、後続にあたるデスメタルを生み出し、個人的には禍々しきメタルの権化だと思っている。

基本、このバンドには大きくハズレというアルバムは無い。
「俺たちは変わらない」と言いつつも、その時代に反映されたヘヴィなスタイルを導入したりとかもチラついたりはしていたが、基本はこのバンドでしか出し得ない雰囲気=音楽世界で統一。だからこそ、バラエティの豊かさにも貢献。
不変が売りとされている中にも、変化を確かに感じさせる楽曲はバンドとしての懐の深さを如実に表していた。

だが、そこも恐らく限界に達する時が来たのだろう。
メインソングライターの一人であったジェフ・ハンネマンが亡くなった事は、今になってとうとう治せない傷と気付き始めたのかもしれない。

ジェフはバンドメンバー内ではパンキッシュな奏者で、ライヴだとケリー・キングと比べればかなり荒々しく、ギターソロの際バッキングに徹していると、その粗さがよく判る(笑)。
実際、後年のレコーディングでジェフはリズムギターを弾いておらず、ギターソロのみだったとも聞いている。

ただ、作曲という意味に於いては最重要人物だったと言わざるを得ない。
初期の名曲の殆どは、ジェフから生まれているという事実を知れば納得いくだろう。
あの歴史的名盤『REIGN IN BLOOD』の楽曲の大半を生み出したのが他でもないジェフなのである。

目下最新作で、このままいけば恐らく終作になるであろう『REPENTLESS』は、SLAYERである事に間違いないが、何かが物足りないと感じざるを得ないアルバムだったのは、(オレだけが感じているだけかもしれないが)ジェフの不在が大きかったと思っている。

ケリーが作曲者としてダメというワケではない。が、SLAYERとしてのユニークな楽曲はジェフあってこそで、そこから生まれた世界観をSLAYERブランドとしてしっかり守っているのがケリーの役割だった様に思える。

源泉が失われれば、そこを守り抜く意味は無くなる。
SLAYERの寿命は、ジェフが去ってからその終焉が目に見えていたのかもしれない。少なくとも本人たちにとっては。

今のSLAYERには、オリジナルメンバーが2人だけ。
ジェフは致し方ないとして、デイヴ・ロンバードに関しては残念な離脱である。
現在のポール・ボスタフに技量として不満を唱えるやつは居ないだろうが、それでもSLAYERの楽曲のリズムを独特たらしめているのは、ロンバードの影響もある。

ロンバードとポールのドラミングでは、特有の雰囲気という意味では大きな差がある。

即ち、このバンドは、オリジナルメンバーでこそ本当に真価が発揮されるバンドだったというワケだ。トム・アラヤの様にフロントを務められる人間を、少なくともSLAYERというバンドで代わりになれるやつをオレは知らないし、そうなってほしくもない。

4人が4人強烈な個性を持っていたバンドであるが、ある意味で一体感も備わっていたのも、スラッシュメタル四天王随一だったと感じる。
だからこそ、2人だけではダメだという感覚は否めない。

これから3年半かけてツアーをするというが、その間にアルバムを出す予定があるのだろうか?
メタルシーン最強のライヴバンドの一つとして君臨していたバンドが、とうとう第一線から身を引く。

彼らよりも上の世代であるJUDAS PRIESTやIRON MAIDENは未だ現役活動を表明しているが、これからの3年で果たして彼らもどうなるか・・・・・・

LOUD PARKで一度、オリジナルラインアップでのライヴを観れた事は幸運だったというしかないだろうな。
自分に影響を与えてきた者たちが、次々と去っていく。
彼らと比べるのはおかしいかもしれないが、こんな事態が起こっているからこそ、自分がやっている音楽に対して、もっと手ごたえを掴みたいと尚の事思ってしまう。


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