AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

パンクラ

2013-09-11 01:47:00 | ノンジャンル
ココ暫く「敵は海賊」以降小説読んでなかったが、この2週間ほどは「PANZER CLOWN FACES」を読んでいた。

著者は吉上 亮。コレがデビュー作のようらしく、この作品を発表した段階で24歳という若さ。今でも25、6歳くらいだろう。よく行く書店でも面だしで押している様子だったので(触れ込みで“マルドゥック・スクランブルより10年――”などと書かれていたんで、そこもポイントだった:笑)、気になって手に取ってみた。

あらすじとしては、都市を舞台にヒーローとヒールがぶつかり合うというのが大まかな内容。
ただ、そこに登場する人物たちの皮肉とも言える奇縁な出会いの必然性、更に舞台となる都市が今我々の年代より約30年後の日本であるというのが、個人的に興味を大いに引いた。

今後の日本がこの物語の様になる事は回避してもらいたいところだが、それでも、あの東日本大震災以前より懸念されてきた、東海を中心にした大震災は昔よりも現実味を強く帯びている事を、3月11日のあの大地震により示唆している。
起こるとは思われなかった事が起きる。
これまでやってきた事は最適であっても、完璧ではない。
突如として思い知らされる現実。
自分が認識していたものが、唯々狭い領域での考察でしかなかった事実。

――少なくとも、今の時代、ネット情報という実態として可視化できないものによって溢れ、翻弄されている傾向にある。
人と人が直接的な関わり合いを持たずに思いのものを手に入れる事が可能になっている時代。
けど、そこに人が居るからこそという実態も知っておかなければならない。
端的であるかもしれないが、この作品は、“人”という在り方を、今の時代を生きる人間だからこその訴えとも取れる。

しかし、この作品に関しては、コレを核としながら枝分けした物語がまだ出来そうな気がするね。
例えば、登場人物がそこに辿り着くまでの過去の物語、とか。
もしかしたら、そーいう意味での続編が出るかもね。
こーいう手のやつはケッコーよくあったりするが、もし出たら読んでみたいね。
それくらい、楽しめた小説だった。