MACHINE HEADは、『THE BURNING RED』で知って以降、今でも追いかけている。
バンドの歴史からしたら、このアルバムはヒップホップスタイルにも手を出し、時代背景的に流行に則ったヘヴィミュージックをしていた感があり、ファンから賛否巻き起こしたアルバムである。
オレはそこから前2作もちゃんと聴いており、『BURN MY EYES』はPANTERAのサウンドをヒントとしたスラッシュメタルという感触で、ヘヴィネスとスピードの合わさり具合がたまらない刺激だったし、『THE MORE THINGS CHANGE...』はそこからより徹底した重み/暗さに注力した内容で、スラッシーさはもとより、メタルとも少し離れた質感のサウンドとなっている感じはしたものの、それでもこのバンドでないと放てない猛烈なエナジーは、寧ろ後追いとなったからこそその変化も楽しめた。
実際、バンドのキャリア初期にあたるこの3枚は今でも好きなアルバムであり、1990年代という空気が充満した、HR/HMとしては苦々しくも、ヘヴィミュージックとしては百花繚乱の時代であり、その中でも燦然と輝く名盤だと思っている。
言うまでもなく、MACHINE HEADはヴォーカル/ギターのロブ・フリンが中心であるバンド。
アルバムの方向は、彼のその時の感覚によって、変容を呈する。
その感覚はいかにもアーティストらしく、風見鶏的になり時には賛否両論を巻き起こすアルバムを発表したりするが、オレとしてはそんな状態も楽しみだったりする。
8thアルバム『CATHARSIS』なんかは、このバンドからしたらポップな感触の楽曲がそこかしこに入っていた事により「MACHINE HEADがそんなことするんじゃねぇ」みたいな非難も出たアルバムだったが、オレとしちゃそういった硬派な中に見えるバラエティを楽しみたい為、思い入れが強いワケではないが、良いアルバムと思った(まァ、『THE BURNING RED』でバンドを好きになった様な人間だからね:笑)。
その後の9th『OF KINGDOM AND CROWN』は、前作の反動もあってか、コンセプトアルバムというのも含めて硬派至極なMACHINE HEAD流メタルが展開された。
アーティストとしては当然、過去に作られた様な内容をまた模倣していく行為はとりたいと思わないだろうし、ロブも「常に自分にとって違った感触となるものを探している」と言ってる故に、このバンドのブレというのは出て然るべきものというのはファンならば許容すべきものだろう。
ただ、個人的見解としては、MACHINE HEADは5th『THROUGH THE ASHES OF THE EMPIRE』で、今日までのバンドの核と言えるサウンドが確立されたと思っている。
それは、今回リリースされたアルバムにも言える。
10thアルバム『UNATONED』。
前作より、約3年振りとなる。
このアルバムから、またメンバーが変わっている。
ドラムのマット・アルストンは『OF KINGDOM AND CROWN』からのメンバーなのだが、当時は事情がありレコーディングに参加できず、今回から漸くアルバムにも携わる形となった。
ギターはDECAPITATEDのヴォッグが去年に脱退し、リース・スクラッグスという人物が加入。
ヴォッグに関してはまァ時間の問題だとは思っていたケドね。
正直、彼にはDECAPITATEDに専念してもらいたかったというのがあるので、これで良かったと思う。
で、
そんなメンバーチェンジが起こった事でアルバムにも変化が出たかと言えば、出てはいる。
前作がこれでもかと言うほどにMACHINE HEAD流のメタルアルバムであったのと比べると、今作は昨今のメタルコア的な曲調もありつつ、アンビエントサウンドも取り入れた、ちと「おや?」と感じさせる内容。
楽曲の時間もこれまでと比べるとかなり短くまとめる事に意識を置いた感じがあり、アルバムトータルもこれまでのアルバムで最も短い40分台。
前作のヴォリュームと比べると相当にあっさりさせた様にも思える。
ま、結局この辺りの変容というのも、ロブがどう感じてアルバムを作る事にしたかという意向がモノを言っている。
ぶっちゃけ、オレもまだここに来てちゃんと聴き足りてないなとは思っているが、今回も特に「ダメだこりゃ」とは思わないアルバム。
その時その時で自分にとって正しいと思った舵取りで猛然とぶち当たっていくロブの感性は、アーティストとしての純粋な歩みとして支持できるし、そんなMACHINE HEADは何だかんだで無視できないんだよね。