2年前に、『ENEMIES OF REALITY』がリリースから20年を迎えたという話をココで書いていた。
あれからもう2年が経ったのかと、加齢による速度にビックリするわ(苦笑)。
まァそんな事は良い。
あの時の投稿で宣言した通り、このアルバムも今年で20年となるので、挙げさせてもらう。
2000年代に入ってからのNEVERMOREは、確実にシーンに楔を打つ様なアルバムをリリースしてきたと思っているが、この『THIS GODLESS ENDEAVOR』もその一つであり、バンドが最も勢いを増していた時でもあった。
『ENEMIES OF REALITY』はリリース後に、サウンドプロダクションの酷さをメンバーが非難していた(後にリミックスヴァージョンがリリースされた)が、個人的にはあの凄まじいブルータリティを表現し得ていたのは、サウンドの濁りによる混然一体の猛進のお陰であると思っており、『DEAD HEART IN A DEAD WAORLD』から進化したバンドの姿を示したものだと今でも思っている。
バンド自体がそこを反省点として踏まえながらも、当時の音楽的方向性に間違いは無いという自信により生み出されたのが、『THIS GODLESS ENDEAVOR』である。
切れ味鋭くも、冷たさと暗さを纏わせた音楽がNEVERMOREの特徴であり、その特性を最大限に発揮したのが『DEAD HEART IN A DEAD WORLD』であったが、『ENEMIES OF REALITY』はある種反対の位置にある、あからさまな熱を帯びた怒りを纏わせた勢いが印象。そこは裏打ちされたテクニックが全体の暴走度を高めていた事も挙げておかなければならない。
そんなアルバム2枚を経たからこそ、『THIS GODLESS ENDEAVOR』はバンド史上最高傑作と言われるほどの内容を包括したものとなっている。
折しも当時はメタルが世界的にも再燃期であり、特にそこからの5、6年ほどは、独自性を帯びたバンド達がいよいよシーンの表舞台に躍り出てきた時でもあったと思っている。
NEVERMOREも無論その一つ。
アルバムリリースされれば国内盤は軒並み発売されてきたにも関わらず特に人気を博していたとはお世辞にも言えない奇妙な立ち位置だったが、方々の宣伝(特に元BURRN!の奥野氏とARCH ENEMYのマイケル・アモット)とアルバムリリースのタイミングが合致した末に、日本では漸く広まった感じだ。
そして評価を得るには勿論、バンドの演奏内容が必須。
その点に於いては、このアルバムは完全武装していたと言える。
前2枚の傑作を経て作られたアルバムは、その2枚を合わせた様なものと捉える事が出来るし、テクニカリティの応酬という点で言えば、『THE POLITICS OF ECSTASY』 もバンドの歴史でも際立つアルバムだったかと思うが、それすらも越える程の強烈さを提示している。
特に1曲目の「BORN」が、このバンドの当時の勢いを如実に表している。
NEVERMOREを語るなら、という点でこの曲ほど適したものはないだろうと思わせるほど、魅力を詰め合わせた内容となっている。
当然、バンドとしてもその確信はあったと思えるし、ソレはライヴでも必ず演奏された事が物語っている。
以降の楽曲も、NEVEMORE節全開で進んでいく。
このバンド、ひいてはこのバンドメンバーでないと表現し得ない楽曲が展開されていく。
NEVERMOREで何がおススメできる?と問われれば、オレ含めて多くのファンがこのアルバムを挙げるんじゃないかと思う。
今聴いていても、このアルバムの存在感は彼らの中でも際立っていると感じるし、改めてNEVERMOREに代わる様な存在は居ない、とも感じる。
2005年当時は、OPETHとツアー回ったりと、独自性/孤高性を備えた両バンドが世界的にも注目を集めたのもこの辺りだったんだよな。
NEVERMOREをリアルタイムで触れ得た事は、オレにとっては実に大きかった。
そんなNEVERMOREが解散をして久しいが、前回BURRN!でARCH ENEMYのダニエル・アーランドソンが発言した事がちと気にかかってる。
彼曰く、「ジェフ・ルーミスはまたNEVERMORE再編を考えている」という。
正直なところ、この話はオレはそこまで信用していない。
ジェフの脱退理由は家族との時間を持ちたいってのが第一の理由であるが、もう一つの本音としては自分の持っているアイディア表出の時間を持ちたい、って事だったんだろうと推測している。
ただ、ソレがNEVERMOREとして向けられてるものではない、とも思っている。
やるとしたらソロとしてだろう。或いはオレ個人の願望として、NEVERMOREに代わるバンドを始動させるため、とか。
ダニエルがうっかり口にしちまったのかどうかは定かではないが、もしNEVERMOREとしての活動なりをするのであれば、ソレは特に黙っておく必要はないとも思うし(今は亡きウォレル・デインがその権利を持っているでもない限り)、それであればNEVERMOREファンを名乗っているマイケル・アモットがその事に言及している筈だと思うんだよね。
ただ、やはりジェフがバンドで動くとするのであれば、そこには期待はしたい。
別にNEVERMOREの曲をやってもらわなくても良い。
メンバーであったジム・シェパード、ヴァン・ウィリアムスとまた手を組み、NEVERMOREの様な音楽を新たに生み出していってくれるなら、オレは応援したい。
ウォレルの件を交えた現実的な話をすると、もう時間も長く残されているワケじゃない。
20年前の歴史的名盤を聴いていて、当時と今を見つめると、そう思ってしまうね。
元メンバー各々の活動も止まっているようだし、動き出すのであれば、今なのではないかな。