AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

郷愁を越えて

2015-06-12 02:56:00 | 音楽・ライヴ
ちょっと前になるが、実家にてLUNA SEAの結成25周年ライヴを見た。
BS放送でやっていたという事で、親が録画していた(因みに、オレの家のテレビではBSが見れない)。

恐らく、全部のライヴを放送したワケではないだろう。時期としては『A WILL』がリリースされた直後のライヴだから、あのアルバムの中でもシングルになった曲や、ハイライトと捉えられている曲を軸に、それ以外は正にグレイテストヒッツな内容の演奏だった。

これでも元SLAVEだったので、今でも彼らの動向はそれなりに追っている。
過去の彼らは勿論知っているので、現状のLUNA SEAでのライヴというのはまた興味深いものがあった。

インディーズ時代にリリースした1st『LUNA SEA』を、リレコーディングした事により、更に一段深みを増した事を確認し、自分達の中で変わらない核となる部分を再確認したのもあるだろう。
ソレを剥き出しにした彼らのライヴは、既にいちヴィジュアル系バンドという概念は吹き飛び、純粋なLUNA SEAというロックバンドとしてのライヴとして真に機能していた。

年老いてなお盛ん、というのは些か失礼かもしれないが(笑)、今のバンドは、過去に纏っていた妖しさを取り払い、元より音楽に備わっていた神秘性という唯一無二の雰囲気をより肉迫した感覚で押し出すといった、以前とは異なるアクティヴさが見える。
全員まだまだ衰えてないのは当然だが、特にINORANと真矢の見せ方の変化は著しい。

かつてのINORANは、SUGIZOと対比する形で、アルペジオやアコースティカルな、所謂クリーンサウンドをじっと紡ぐといった佇まいの印象が強かったが、今の彼はその頃と比べるとかなり攻撃的にギターを演奏している。ライヴでの佇まいは、軽快さが目に付いた。
真矢に関しては、元よりパワーと堅実なリズム感に、ドラムキットとその見た目の派手さで目を惹いていたものだったが、再始動~解散を経た現在は、これまでで最も力押しと思えるくらいのぶっ叩き具合が印象的だった。
勿論ダイナミズムを心得ている人なので、押し引きのバランスを伴いながらという話であるが、昔であれば音源に忠実に再現していたであろうフレーズを、今はどれだけヘヴィ且つパワフルに客席に音を届けられるかといった叩き方に変貌している。
ソレを知って残念がる人も居るだろうが、“今”を生きるバンドとしての変化、手加減をしない姿勢の「今の彼ら」は、実に清々しい。

核が変化をしていない。そして、ソレを見せる事に対して全く臆目を見せないどころか、晒す方向へ進んだバンドであるから、音楽の根本的魅力に揺るぎが無い。
しかも、「自分達を見せる」という事も把握しているだけあり、昔の様な黒服でなくとも、LUNA SEAという音楽の魅力を損なう事のない容姿で聴衆の前に立つ事を心得ている。

彼らこそ世界に出るべきだ。
ソレは今実現し、日本のロックが誇る唯一無二の存在を、現役バンドとして歩んでいる。

このライヴ放送を見て、笑みが出て懐かしさはあったが、「あの頃の方が良かったな・・・」といった郷愁を感じる事は無かった。
オレは郷愁(ノスタルジーな)で活動を行う様なバンドは嫌いである。再結成して単発的にライヴ活動してながら、曲を作らない、つまり先へ進もうとする姿勢を見せないバンドに、興味は無い。

一時のLUNA SEAに対しても、オレはそう思っていたが、今の彼らは郷愁を越えたところに居る。
メンバー各人は今、ソロ活動なども並行して活動している為、LUNA SEA一つにかかりきりになっているワケではないが、それでも彼らはLUNA SEAである事を選択した。
この歩み方がどこまで続くのかは判らないが、前に進む事を決めた彼らをオレは支持したい。

最早オレが命を懸ける演奏/音楽とはかけ離れ、影響となる部分は無いバンドだが、今でも好きなバンドであるのは、確かである。