現場の母屋にはおばあさんが一人で暮らしています。

僕らが現場に到着すると、待ってましたとばかりにゆっくりと歩いて出てきて、お話をしてくれます。
昔、この場所は牛小屋だったということ。
3頭飼ってて「こっこ取り」をしていたということ。
その産まれた仔を売って、お家を建てたということ。
それらの話をね、毎回ループでお話ししてくれます。
驚きなのは一度の会話の中で何度もループすること。
その都度、初めて聞いたように「へぇそうなの?!」とお返事をしています。
「お昼食べたの?」
「お昼は食べずに仕事してんの。毎日そうしてるんだよ。」
「お腹いっぱいになっと、ダレっからね。」
「うん。その代わり早く帰るの。(笑)」
「あらららら(笑)」
そんな話をしてたんだけど、
「これ、食べなさい。お昼まだだすぺ?」
と『食材』を頂きました。
「わぁ、ありがとう!」
とは言ったものの、食材なんです。

はて。
どうしようか。
「夜にでも食べたらいいさ。アタシが作ったわけじゃないからね。農協のやつ。持ってきてくれんの。食べきれないからさ。」
それでは、大切に頂きます。
おばあさん、ありがと。
「色んなことがあったけどね、いい思い出ばっかり。」
おばあさんはいつもそんな風に話します。
小さい頃、親方が川で溺れて亡くなったこと。
自分は婿をもらったってこと。
草刈機の扱いは誰にも負けないってこと。
色んな話をループでしてくれるんだけど、毎回毎回楽しかったんだよと締めくくります。
おばあさんだって少女だった頃があって、ときめく乙女だった頃がもちろんあったのだ。
そして、その全てにおいて「色んなこと」があったにせよ楽しかったんだよと話す。
「吉田川はいつも氾濫するの。」
と遠い目で話す。
でも、その片付けもそれはそれで楽しかったんだって。
牛の世話は大変だったけど、家を建てたと誇らしげに話してくれます。
「娘ばっかりだったけど、男の子ってのはやっぱり優しいね。」
よかった。
おばあさんの男の子のイメージを崩さなくて。
他の業者さんはおばあさんが来ると逃げてしまうけれど、僕と千田くんは話を聞きながら作業を進めます。
「あんだ達は高校生すか?」
「違うね(笑)」
「違うの!」
人を軽んじてはいけないと思う。
何回も同じやりとりをすることは面倒くさいのではなく、同じ本を何度も読むのと変わらない。
決して薄くはない「おばあさんの本」を今日も何度も読み返してます。
そうだね。
僕もいつか誰かにループで誇らしげに話せるように生きていきます。
おばあさん、ごはんありがと。

僕らが現場に到着すると、待ってましたとばかりにゆっくりと歩いて出てきて、お話をしてくれます。
昔、この場所は牛小屋だったということ。
3頭飼ってて「こっこ取り」をしていたということ。
その産まれた仔を売って、お家を建てたということ。
それらの話をね、毎回ループでお話ししてくれます。
驚きなのは一度の会話の中で何度もループすること。
その都度、初めて聞いたように「へぇそうなの?!」とお返事をしています。
「お昼食べたの?」
「お昼は食べずに仕事してんの。毎日そうしてるんだよ。」
「お腹いっぱいになっと、ダレっからね。」
「うん。その代わり早く帰るの。(笑)」
「あらららら(笑)」
そんな話をしてたんだけど、
「これ、食べなさい。お昼まだだすぺ?」
と『食材』を頂きました。
「わぁ、ありがとう!」
とは言ったものの、食材なんです。

はて。
どうしようか。
「夜にでも食べたらいいさ。アタシが作ったわけじゃないからね。農協のやつ。持ってきてくれんの。食べきれないからさ。」
それでは、大切に頂きます。
おばあさん、ありがと。
「色んなことがあったけどね、いい思い出ばっかり。」
おばあさんはいつもそんな風に話します。
小さい頃、親方が川で溺れて亡くなったこと。
自分は婿をもらったってこと。
草刈機の扱いは誰にも負けないってこと。
色んな話をループでしてくれるんだけど、毎回毎回楽しかったんだよと締めくくります。
おばあさんだって少女だった頃があって、ときめく乙女だった頃がもちろんあったのだ。
そして、その全てにおいて「色んなこと」があったにせよ楽しかったんだよと話す。
「吉田川はいつも氾濫するの。」
と遠い目で話す。
でも、その片付けもそれはそれで楽しかったんだって。
牛の世話は大変だったけど、家を建てたと誇らしげに話してくれます。
「娘ばっかりだったけど、男の子ってのはやっぱり優しいね。」
よかった。
おばあさんの男の子のイメージを崩さなくて。
他の業者さんはおばあさんが来ると逃げてしまうけれど、僕と千田くんは話を聞きながら作業を進めます。
「あんだ達は高校生すか?」
「違うね(笑)」
「違うの!」
人を軽んじてはいけないと思う。
何回も同じやりとりをすることは面倒くさいのではなく、同じ本を何度も読むのと変わらない。
決して薄くはない「おばあさんの本」を今日も何度も読み返してます。
そうだね。
僕もいつか誰かにループで誇らしげに話せるように生きていきます。
おばあさん、ごはんありがと。