Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

カズオ・イシグロ/Nocturnes (邦題 『夜想曲集』)

2012年07月13日 | 

カズオ・イシグロの短編集。

全部で5本の短編は、いずれも何かしらの形で音楽がかかわっています。

その狙いはよく分かりますし、あくまでも個人的な感想でしかありませんが、正直、途中で何度も読むのをやめてしまいそうになりました。

これは前回の The Remains of the Day の印象が鮮烈過ぎたからかも知れませんが、カズオ・イシグロの文章はどちらかと言うと、細かいことを丹念に紡いでいくような、そして粗い目を少しずつ埋めていくような、そんな重層的な表現には向いていると思います。

その反面、限られたスペースの中で絶妙な間隔でポツ、ポツと言葉を置いていくスタイルでは、彼の文章の良さが十分に出てこないような気がします。

また、テーマや舞台は違っても、結局この5編は同じスタイル、同じペースで書かれているような印象があり(それが狙いなのかも知れませんが)、飽きっぽい私にはちょっとしんどかったです。

繰り返しになりますが、あくまでも個人的な感想ですゆえ・・・。

Kazuo Ishiguro,
Nocturnes
(Faber & Faber)

コメント    この記事についてブログを書く
« 龍力 (兵庫) 純米吟醸 山田... | トップ | アバド&モーツァルト管弦楽... »

コメントを投稿