エドマンド・クリスピンの Buried for Pleasure(1948年)読了(邦題『お楽しみの埋葬』)。
オックスフォード大学で教鞭をとりつつ素人探偵としても名高いフェン教授。どういう風の吹き回しか、このほど下院議員に立候補することを思い立ち、遊説のために選挙区の農村にやってきた。
宿を決めてそこに出入りする人たちを見ていると、いずれも個性的な面々ばかり。そのなかに、どうもどこかで見た . . . 本文を読む
エドマンド・クリスピンの The Moving Toyshop(1946年)読了(邦題『消えた玩具屋』)。
ロンドン住まいの詩人キャドガン。ある夜ふと思いついて母校のあるオックスフォードに向かったは良いが、途中で電車がなくなり、ヒッチハイクでようやくオックスフォードに辿り着いたのはもう深夜。ふと見ると玩具屋のドアが空いている。興味本位で中に入ると、誰もいない店内で女性の死体を発見する。そして次 . . . 本文を読む
ミッキー・スピレインの The Big Kill(1951年)読了(邦題『大いなる殺人』)。
ニューヨークの私立探偵マイク・ハマーが夜、バーで飲んでいると、赤ん坊を抱いた男が入ってきた。男はずぶ濡れのまま傍らのテーブルに座ると、やがて赤ん坊を置いたまま、また外に出て行った。その光景を見たマイクが続けて外に出ると、近づいてきた車から銃で撃たれ、その男は死んでしまう。
図らずも赤ん坊を預かること . . . 本文を読む
ミッキー・スピレインの I, The Jury(1947年)読了(邦題『裁くのは俺だ』)。
ニューヨークの私立探偵マイク・ハマー。知らせを受けて現場に駆けつけると、戦友のジャックが腹を撃たれて死んでいた。戦争中、自分の片腕を失ってまでしてマイクを助けてくれた親友の死。真犯人が誰であれ、警察ではなく俺が裁くと誓うマイク・・・。
アメリカのハードボイルド小説で必ず名前が挙がるタフガイ。と言っても . . . 本文を読む
ジョエル・タウンズリー・ロジャーズの The Red Right Hand(1945年)読了(邦題『赤い右手』)。
これから結婚式を挙げに行く若いカップルがドライブの途中で拾ったのは、見るからに怪しげな男。やがて新郎が殺されたことを皮切りに、一人また一人と被害者が・・・
たまたま通りかかった医師である「私」が語る文体。それが何とも重苦しく、時系列も行ったり来たり。最後は一応着地するのだが、途 . . . 本文を読む
クレイグ・ライスの Home Sweet Homicide(1944年)読了(邦題『スイート・ホーム殺人事件』)。
カーステアズ家の3人の子供たち。ママは作家で、今日も2階ではタイプライターの音が続いている。とその時、隣の家から銃声が聞こえた。ついで急発進する車の音。とっさに覗きに行くと、隣の奥さんが銃で撃たれて死んでいた。
この事件をママが解決してくれたらさらに売れること間違いなし!と思った . . . 本文を読む
クレイグ・ライスの The Right Murder(1941年)読了(邦題『大あたり殺人事件』)。
大晦日の夜。前作で結婚式を挙げたジェイクとヘレンがハネムーンに旅立ち、マローンは一人寂しく酒場で飲んでいた。とそこへ突然見知らぬ男が現われ「マローン!」と言いながら小さな鍵を手渡し、そして息絶えた。
その後訪れたモーナの屋敷で、招待客の一人が殺された。しかもその彼も死の直前にマローンに連絡を . . . 本文を読む
クレイグ・ライスの The Wrong Murder(1940年)読了(邦題『大はずれ殺人事件』)。
クリスマス間近で賑やかなシカゴの夜、ジェイクとヘレンの結婚パーティが開かれていた。その席上でジェイクは、社交界の花形モーナと賭けをする。彼女が「絶対に捕まらない殺人をやってみせる」と宣言したからだが、やがて本当に殺人事件が発生する。場所は買い物客でごった返すシカゴの目抜き通り。そして同じ場所で . . . 本文を読む
クリスチアナ・ブランドの Death of Jezebel(1948年)読了(邦題『ジェゼベルの死』)。
ロンドンのとある舞台。甲冑に身を固めた騎士が11人、馬に乗って登場する。そして塔のバルコニーに現れたのは女王に扮したジュゼベル。・・・と思ったら、そのまま真っ逆さまに舞台に落っこちた。
実はジュゼベルを含む出演者の何人かに殺人予告が届いており、たまたまロンドンに居合わせたコックリル警部も . . . 本文を読む
高橋英郎『モーツァルトの手紙』(2007年)読了。
短い生涯の割に膨大な手紙を残したモーツァルト。本人はこんな形で残るとは思ってもみなかっただろうが、逆に私たちはそこに生身のモーツァルトの姿を見る。
フィクションと知りつつも慣れ親しんだ映画『アマデウス』が、実は実際のエピソードをあちこちに散りばめていることとか、モーツァルトの手紙とともに史実を辿ると(読みながら自然とそうなる本書の構成は見事 . . . 本文を読む
クリスチアナ・ブランドの Suddenly at His Residence(1947年)読了(邦題『自宅にて急逝』)。
ケントの富豪サー・リチャードの邸宅で毎年行われる親族の例会。集まったのはいずれも孫たちで(なぜか親世代は一人もおらず)仲が良いのか悪いのか楽しいんだか楽しくないのか、何とも気怠い雰囲気。関心はもっぱらサー・リチャードの遺産の行方で、しかもそれを本人の前で持ち出したり悪態をつ . . . 本文を読む
クリスチアナ・ブランドの Green for Danger(1944年)読了(邦題『緑は危険』)。
戦時下の陸軍病院に、地元の郵便配達員ヒギンズが運ばれてきた。簡単な手術が必要になり、3人の医師と看護師たちが見守るなか手術が始まろうとしたその時、ヒギンズの呼吸が突如おかしくなり、そして死んでしまう。
現場にやって来たのは別名「ケントの鬼」と恐れられるコックリル警部。その直後、ヒギンズの死の真 . . . 本文を読む
クリスチアナ・ブランドの Death in High Heels(1941年)読了(邦題『ハイヒールの死』)。
舞台はロンドンの高級ブティック。ここ最近、フランスの新しい支店を誰が任されるのか噂でもちきりだったが、ついにそれがオーナーの右腕、ミス・ドゥーンと判明する。その同じ日、ランチ時に店内でみな揃ってカレーを食べた直後、ミス・ドゥーンが急死する。死因はシュウ酸による中毒死。どうやらその日の . . . 本文を読む
コーネル・ウールリッチの Waltz into Darkness(1947年)読了(邦題『暗闇へのワルツ』)。
ニューオリンズの実業家、ルイス。その日は、文通で知り合ったジュリアという女性が、彼と結婚するために船でやって来る日だった。船着き場で首を長くして待つルイス。ところが、写真で見知ったジュリアの姿はどこにもなく、そこで彼に声を掛けてきたのは、写真とは似ても似つかぬ若い美女だった。送った写 . . . 本文を読む
エラリー・クイーンの Ten Days' Wonder(1948年)読了(邦題『十日間の不思議』)。
ある日エラリーの元を訪れた旧友のハワードは、たびたび記憶をなくしては気付くと全く身に覚えのないところにいると言う。このままだと何をしでかすか分からないので、エラリーに一緒にライツヴィルの自宅に来てほしいと懇願する。根負けしたエラリーがライツヴィルにやってくると、ほどなく不穏な出来事が起こり始める . . . 本文を読む