りゅーとライフ

(MiddleTown Dreams)「りゅーとぴあ」と「ビッグスワン」をフランチャイズに新潟生活を楽しんでいます。

佐渡裕指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団 新潟公演 「感動は値段次第?」やっぱり佐渡さんはSS席で聴くべ

2011-10-29 11:21:00 | コンサート

Sado

  佐渡裕指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団コンサートを聴きにりゅーとぴあに足を運ぶ。

 佐渡さんと言えばこの3月にBBCハーモニックと辻井伸行さんとの新潟公演が東日本大震災で中止になったので、今回の公演は新潟の佐渡ファンにとって待望のコンサートと言ったところ。(本当の佐渡ファンって新潟にどのくらい居るのは分からないけど…。)

 プログラムは下記のとおり、まさに王道路線。モーツァルトのピアノ協奏曲は若きブルガリア人ピアニスト、エフゲニ・ボジャノフ。

 ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 Op.72b
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
 チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64

 SS席19,000円、S席16,000円…という高額チケットながら、S席以外は完売、ほとんど満員…と言うのは流石佐渡さんの人気は凄い…といったところ。私は「佐渡さんってまだ生で聴いたことがないし、ここらで1回行っておくか…。」と言う不純?な動機を反映して3階正面、最後列のA席で聴く。(それでも定価13,000円、りゅーとぴあ会員価格で11,700円ですけどね。)

 で、肝心の演奏の方なのだが…。こんな事を書くと佐渡ファンの方の怒りを買いそうで怖いのだが、思い切って書くと

 「う~ん、何か大したことないな…。この演奏でこのチケット代は高すぎるよ…。」と言うのが正直な感想。

 まぁ、これは佐渡さんというよりベルリン・ドイツ交響楽団の責任のような気がする。

 出だし、ベートーヴェン序曲「レオノーレ」、「なんか、凄くナローレンジというか、音の密度のないオケだな…。」というのが第一感。別にベルリン・フィルではないのだから圧倒的な音圧、密度感を期待して行った訳ではないのだが、「もうちょっとドイツのオケらしく重厚感ある音聴かせてよ。」というのが正直なところ。これはメインデッシュ、チャイコフスキーの交響曲第5番でも同じ印象で、いろいろ佐渡さんはやっていたのだろうが、なんかオケが追いついて行ってないという感じ。(HPでは「佐渡×DSOのバツグンの相性は見逃せません。楽団員との信頼関係も非常に厚く、ベルリンでも話題の名演を繰り広げている…」とか書いてあったけど。)

 派手な第一楽章もなんか平面的に終わり、その後、第二楽章以下も、もうちょっと重層的にたたみ掛けて欲しい…、もうちょっとめくるめくように演奏して欲しい…と何かもどかしい感じを抱きつつフィナーレ…。ブラボーの嵐とスタンディング・オベーションの中、「なんか乗り切れなかったなぁ…。」という感じの私であった。ちょっと悲しい気分…。(アンコールはチャイコフスキー 弦楽のためのセレナードよりエレジー。これは美しい演奏で救われた感じ。)

 …と言う訳で、本公演で一番楽しめたのが、第1部2曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲。エフゲニ・ボジャノフさんって当然のごとく、聴くのは初めてだったのだが、なんか好き勝手に弾いている感じが痛快。「流石にちょっとやり過ぎだろ。」と思わないではなかったが、自由奔放なモーツァルト、十分楽しませていただいた。ピアノ・ソロのアンコール リストのソネットもダイナミックで「聴かせてくれた。」という印象。

 …とブツクサいろいろ書いてしまったのだが、今回、今ひとつ乗り切れなかった責任は、実は3階最後列のA席をチョイスしてしまった私にあったのかも知れない。

 りゅーとぴあの3階中央のIブロック最後列、オルガンではベストのこの席、はっきり言ってオケの場合、音は通らないし、ナローレンジに聴こえるし、ミスは目立つし…と、全然良い席ではないのである。まぁ、だからA席指定な訳だけど…。(ちなみに現在崩壊、閉鎖中のミューザ川崎の最上階席などは本当に良い音で聴ける。ホールというものは本当に不思議なもである。)

 やはり、クラシックは席のグレード、ぶっちゃけ言えば「感動は値段次第なんだな…」というのが、今回のコンサートの教訓という感じ。とりわけ佐渡さんのように派手なアクションで、聴くだけでなく魅せる指揮者の場合は、やはり奮発してSS席で楽しむのが正解だったのかもしれない。…と、今ひとつ悔いが残った初佐渡体験。今度、いつ佐渡さんのコンサートに行けるか分からないが、その時は奮発して良い席で聴くことにしたい。

 (でも最後に一言。「SS席 19,000円って高すぎるよ…。」)


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ほんとに席選びというのはホールによっても違うの... (シーマ)
2011-10-29 17:28:12
ほんとに席選びというのはホールによっても違うので難しいですね。私は前から四列目でしたが、オーケストラ全体が見えないし音は頭の上をとうり過ぎていく感じであまり良くなかったです。近いから迫力がある感じもしませんでしたし・・それにしても富士以外はどのホールもアンコール曲が用意してあるのに、拍手が少なかったせいかボジャノフさんは弾いてくれないし、うーん・・・
 シーマさん、コメントありがとうございました。 (りゅーと)
2011-10-29 23:50:20
 シーマさん、コメントありがとうございました。
 
 ご指摘のとおり、席選びは確かに難しいですね。今回のコンサートでは、1階席11列目前後がベストだったでしょうかね。

 佐渡さんというと、ポスターみたいに、派手な動きでもっと盛り上げるのかな…と思っていたのですが、落ち着いた演奏だったと思います。これはオケの個性に合わせた…というところだったかも知れません。

 これからもよろしくお願いします。
確かに席の問題はあると思いますが、私も佐渡さん... (beaver)
2011-10-30 20:39:26
確かに席の問題はあると思いますが、私も佐渡さんの指揮は初体験で、これは指揮者に問題があると思いました。ベルリン・ドイツ交響楽団は昔、聞いた
アシュケナージの指揮の時よりははるかに鳴っていましたが、佐渡さんはその楽章の迫力や、音色などは作れても、どうしてそういう楽想なのか、内的な構造が音楽に伝わってこない指揮だと感じました。好漢自重すべしです。指揮で飛び上がってもいいですし、キューを与えるだけの瞬間があっても結構です。でも全体の流れを構成しなければ、やはり交響曲は難しいです。さらに言えば、ピアノのボジャノフさんはまだモーツアルトの純粋な音を獲得しているとは思えませんでした。というわけで、会場の大喝采にもかかわらず、冷めていた人はけっこういたのではないかと思います。佐渡さんに話を戻せば、チャイコフスキーの第2楽章などもっと心からの音楽を
奏でてほしいと思いました。ちなみに長岡の演奏会も聞きましたが、ベートーベンの7番でも、これは佐渡さんの得意の曲目とのことですが、楽章ごとに演奏がぶつ切れという感じで、とにかく全体を見て欲しいという感じを重ねて持ちました。
 ベルリンフィルの指揮に初登場したということで、
初めて接した佐渡裕さんの指揮でしたが、とにかく
ここがスタートであってほしいと切望するような指揮でした。ちなみにわたしが好きなのはアバードやヤンソンスは別格として、シャイーや、最近ではボロ-
ニャ歌劇場を振ったボニングの指揮でした。
 beaverさん、コメントありがとうございました。 (りゅーと)
2011-10-31 07:27:58
 beaverさん、コメントありがとうございました。

 モーツァルトは難しいですね。今回のボジャノフさんの演奏は面白かったのですが、「モーツアルトの純粋な音を獲得しているとは思えませんでした。」というのは同感です。と言うか、生でモーツァルトの演奏に本当に感動したことは本当に少ないのです。モーツァルトのピアノ協奏曲は難易度が高いのかも知れません。

 佐渡さんなのですが、席が遠すぎて細かい動きはわからなかったのですが、beaver言わんとしていることは分かるような気がします。「会場の大喝采にもかかわらず、冷めていた人はけっこういたのではないかと思います。」、私も終わった瞬間の大喝采に「えっ?」と思ってしまったのですが、私だけではなかったみたいですね。

 好きな指揮者>
 ヤンソンスは私も好きですね。毎年のように来日してくれているのに、まだ、生で聴いたことがないのがないのが残念です。(チケット代も高額ですからね)来年あたり狙いたいと思っています。

 これからもよろしくお願いします。
たった今、サントリーホールでチャイ5を聞いてきま... (ぽこ)
2011-10-31 23:12:26
たった今、サントリーホールでチャイ5を聞いてきました。それも19000円の席で。(笑)
スタンディングオベーションの会場を後に、なんか違うんだよなぁと、煮え切らない気持ちを抱えて、他の人はどんな感想を持ったんだろうと思い検索してこのサイトに辿り着きました。

違う日の演奏でも全く同じ感想を持たれた人がいることに驚きを感じるとともにちょっと安心しました。
(笑)
私の感性が悪いのかと思ったので。

ホント、メディアの力は大きいですね。
佐渡さんの名前とベルリンという名前だけで満足してる人がたくさんいるんだと思いました。


やっぱりチャイ5はロシアオケでないとダメですね。
 ぽこさん、コメントありがとうございます。 (りゅーと)
2011-10-31 23:35:07
 ぽこさん、コメントありがとうございます。

 スタンディング・オベーションにブラボーの嵐、会場は興奮のるつぼ…でも自分的には「えっ、スタンディング・オベーション?マジ? 違うんじゃないか、これは…。」と言う時はやっぱり不安になりますよね。自分の感性はおかしいのではないかと…。(笑)。
 
 今回のコンサート、いろいろブログを観ましたが、本当に賛否両論…という感じですね。私は席も悪かったので、あんまり自信はないのですが、やはり、「う~ん、やっぱりあのスタンディング・オベーションにブラボーはないんじゃないかな…」と今でも思いますね。別に佐渡さんに偏見を持っている訳ではなく、ニュートラルで聴いた正直な印象です。

 ドイツのオケって割とあっさりとチャイコフスキーを演奏する印象はありますね。「やっぱりチャイ5はロシアオケでないとダメ…。」という気持ちはわかります。独特の粘りというか重厚な音で鳴らしますからね。マリンスキーの「1812年」とか良かったなぁ…。

 たまに遊びに来て下さい。今後ともよろしくお願いします。
りゅーとさん、早速ありがとうございます! (ぽこ)
2011-11-01 00:03:20
りゅーとさん、早速ありがとうございます!

感動された方のために補足すると、今日の演奏者の1人1人はとてもうまい人たちだと思いました。特にソロはノーミスでクラも、オーボエも、ファゴットも、ホルンも、フルートもとても見事でした。金管も良く揃ってましたし、弦もきれいなアンサンブルでした。加えてティンパニも。

私の場合はチャイ5が聞きたくて行ったので、気合いが入りすぎていたのかもしれません。しかも私の好きなのはスヴェトラーノフとかゲルギエフとかちょっと異端的な演奏が好きなもので、そのせいもあって物足りなかったのかと思います。

加えて私の席も2階席の斜め上だったんです。どこか見下ろす感じで、冷静に聞くことができたのかと思います。


こんなたとえをすると余計に叱られるかもしれませんが、ラーメンに例えると、麺もうまいし、具の一つ一つもうまい。スープもうまい。でも食べたいのは東京ラーメンじゃなくて、旭川ラーメンなんだよなぁ。極寒の地で脂の乗った熱いラーメン。わかってもらえるでしょうか。(苦笑)


私がチャイ5に求めているものが北の地の厳しい苦しみから立ち上がるような演奏だったのかもしれませんね。

 ぽこさん、コメントありがとうございました。 (りゅーと)
2011-11-01 22:56:51
 ぽこさん、コメントありがとうございました。

 自分の好きな曲は、要求水準が高くなってしまいますし、やはり、こう言う風に演奏して欲しい…って言うのがありますからね~。なかなか、実際のコンサートで満足するのは難しい気がします。

 ゲルギエフ>
 ゲルギエフ、私も好きですよ。生演奏は2回しか経験がありませんが、オーラというか、存在感が違いますからね。

 これからもよろしくお願いします。

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