天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

トキメキ

2009年04月15日 | Weblog
 使命感、やりがいをもってことにあたるのが「プロ」。「プロ」とは「アマ」の極致。血管外科医・大木 隆生(46)の言葉。

 人に喜んでもらえる仕事をしたいと医者になった大木は、32歳で無給医としてアメリカに渡り、生まれて間もないステントグラフトの開発に携わり、その技術を進化させた。手術不可能と言われた患者たちを次々と救い続け、「ベスト・ドクター・イン・ニューヨーク」の血管外科医部門に4年連続で選出された。そして、渡米後わずか10年で、名門医科大学の教授となり、年収は1億円に達した。しかし、日本からアメリカに治療にくる患者がいることのもどかしさ、母校からの要請があったことなどから、年収が10分の1になる、帰国を決断した。大木を突き動かしたのはひとつの信念「人間を動かすのは金じゃない。“トキメキ”だ」。母校のため、母国のために生きることのほうが、より強いトキメキが。「お金や権力などは、それが無いときは良いと思えるけれど、いざ手に入れてみるとたいしたものではないとわかった」という。
 帰国後も、喜んでもらうために「おまかせください」とリスクに挑む。
 大事なことは、人間として本当のことを見極めること。「喜び」は、何も外科医の仕事だけから感じるのではなく、例えばボールペンの貸し借りで感謝の言葉を掛け合うといった、日常のちょっとしたことにも喜びはある。人間としての本質的なことを大事にするという姿勢が、結局はその人のためになるし、社会のためにも国のためにもなる。

 心臓外科医でバチスタ手術の第一人者、須磨久善も言っている。「医者というのは患者のためにいる。地位や名誉などどうでもいいことです。生きる希望が一筋でもある患者を見捨てることはできない。
どんな薬よりどんな手術よりやっぱり生きたいという気持ちが大切だ。
『なんのために生まれてきたのか』と言ったら、人を喜ばせて、人が喜んでいるのを見て自分も嬉しいと思える人生でありたいと思うんです。
人間って、本当に命の瀬戸際まで来ても、やっぱり自分のことだけじゃなくて、誰かのために何かできることはないかなと思う生きものだと思います。」

 「プロ」「アマ」を分けるのはカネ。人の「トキメキ幸福感」は、そういうこだわりのないところにある。「プロ」「アマ」両極を知ると、本質が見える。