天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

法律の制定、川口順子

2010年05月27日 | まつりごと
 まず、この基本法の施行日でございます。本来、法律の施行期日というのはその法律によって定められる。それから、政令にゆだねる場合がないわけではないですが、その場合であっても、例えば上限を決めて、いつまでにとか、あるいは公布後何年あるいは何か月を超えない範囲でというふうにはっきり書いて政令に委任するというのが通例であるというふうに私は認識をしております。

 法律の施行日、その国会を通した法律があるとして、その法律がいつから施行されるかというのは、まさに国会の決めることであるからということなんです。法律事項なんです、これは。だから、無条件に政令にゆだねるということはほとんどない、あるいは全く皆無とは言いませんけれども、それはそういうことを逸脱しているからであります。その場合においても、条件あるいは理由を非常に明確にしているということであって、まさに大臣おっしゃった安定性、これがその理由でして、法律を決めて、その法律がいつから施行されるか分からないということであれば、民主主義社会において国会が何をしたか、全く無意味になってしまいます。
 ですから、政府は、あるいは政府で決めることというのは、政府は法律の執行するところですから、その執行する期日は法律がちゃんと示唆をする、決める、指示する。法律自体で決めるか、あるいは、そういう条件だったらば決めなさいということを、こういう条件でしたがっていつまでに決めなさいとか、そういうこともはっきり言うということでして、法律は自己完結的でなくてはならないということが通常の政府あるいは国会、日本のガバナンスの問題として、これは憲法にも書かれているということであります。
 それで、この法の十条第一項の規定の施行期日ですけれども、これをこの法律はまさに政令に委任をするということをやっているわけです。施行日はまさに法律事項でありますから、これを政令に委任をしてしまうというのは非常におかしいということであります。いつから執行するかということまでその法律が政令にゆだねてしまうということは民主主義にそぐわないということで、これは法律を作る立場のバイブルのように使われている、例えば吉國一郎さんとか、そういう人たちの書き物、著書についても言われている。そういう意味で、この法律は非常に例外的なケースをやってしまったということであります。

 施行期日の定めというのをいつまでにという上限も付さないで、ある条件、条件を書いてそれで政令に委任をした立法例というのは今までないんです。本邦初演をこの基本法はやったということでございます。

 民主主義社会において法律というのは国会が決めるものである。したがって、その施行日においても国会が自ら決めるか明確な条件を付したときに決められる、付して政令に委任をするということからいえば、これは全くそれに反している。まさに条件は明確でないというのを大臣今おっしゃったわけですから、ですから明確ではないということで、このような法律は、最初の例だとおっしゃいましたけれども、本来あり得ない法律、違憲である法律であるということを私は申し上げているわけです。非常に問題な法律であるというふうに私は思います。法律の体を成していない法律であるというふうに思っております。

 内閣法制局がいいと言ったからいいんだということでございます。内閣法制局は確かに内閣に法令の解釈についてアドバイスするところではございますけれども、ここは国会でございます。国会は法律を作るところ。作る立場からおかしいのではないかということを言っている。法制局がいいと言うからそれで、国会はそれでいいと言えというのはおかしいということが第一点です。

 ですから、私が申し上げているのは、明確でないことを前提条件に、ある法律の、十条一項ですけれども、それの施行を行うことに法律で書いてあるというのは、まさに全く無条件に政令でこの法律の施行はやっていいですよと言っているのに今の時点では等しいんです。
 明治のころに、勅令で定める日から施行しなさいというような法律はたくさんできたわけですね。これは明治の時代でございまして、今は平成の、しかも民主主義がきちんと機能している国会を持っている国会での議論、そこに何か、何だかよく分からないけれども、そういうことを条件に法律を決めて法律の施行をさせる、これ全く法律としては体を成していない。今までそういう例がないということ自体、それがおかしいからそういうことをやられなかった、そういうことがなされなかったということでして、国会として政府にそこまで白紙委任をするということが本当に適切かどうかというのは、我が国の国会と政府の在り方、民主主義の統治機構の在り方、そういう広い観点から考えて非常に問題であると私は思っております。そういう意味で、この法律は欠陥法律である、あってはならない法律であるというふうに思っています。

 この不明確であるということに国会の持つ法律についての権限を政府が犯しているということを、そういう疑念といいますか、そういう問題があると私は感じていて、それを申し上げているということです。
 それから、更に付け加えますと、これを判断する、その前提条件が満たされたかどうかということを判断する者は政府であるというふうに政府はおっしゃっていらっしゃる。この政府が判断をする、不明確である前提条件を付けて、そしてそれが条件に、満たしているかどうかということを判断するのは政府自身、これぞ、この二つ併せますと、全く国会として政府に法律だけ作ってあとはもう好きにやってちょうだいというふうに白紙委任をしたそれそのものであるということであると私は考えております。
 内閣法制局長官が明確な基準があると考えたというふうにおっしゃっていらっしゃいますようですけれども、今は何も答えられない、基準について何にも明確に答えられない、いつになったら明確になるということすら言えない、そういうような条件でありながら、条件が明確だからこれは合憲であると法制局長官がおっしゃられた、この判断について私はまさに疑問を呈しているわけです。国会議員として疑問を呈しているということでございます。
 ですから、この法律が基本法、冒頭言いましたように、温暖化対策をするについてその基本法は大事ですけれども、この基本法、大事な基本法がこのような欠陥商品の基本法であるということについて、私は、遺憾を超えて、憲法上の大問題、政府による国会議員、国会の立法権の侵害であるとすら申し上げておきます。

 国際交渉をするのはもちろん政府です。だけれども、その国際交渉の結果、それが協定、協定じゃなくて、行政協定は別ですけれども、条約であれば、それを締結をするのは国会の承認が必要なんです。国会が認めなければ条約にならないということでして、政府はそういう交渉をする権限はもちろん持っているということです。でも、それは国会が認めるということです。
 ですから、この法案を少し私の申し上げた観点から改善をするためには、じゃ、その条件、それが成就したかどうか、こういう理由で政府としてはその条件が満たされたと考えます、したがってその十条一項は施行しますということについて国会の意見を聴く必要がある。国会の意見を聴いて、国会がそれでいいということを言うのであれば多少は改善をされるというふうに思いますが、不確定な、不明確な基準を作っておいて、それについて何も説明できない状況で政府がそれがその条件を満たしているかどうか判断をするということを含めて国会が政府に白紙委任をするということが適切かどうか、合憲かどうか、私はそういう法律を作る気持ちは全くないということを申し上げさせていただきたいと思います。

 二〇〇九年度には、第一約束期間全体の排出量見通しを示し、総合的に評価することになっている。これをなさいましたかということを聞いています。これは閣議決定されていることですから、それをやらないということを別途閣議決定をしない限り、そして、別途そういう閣議決定をすることが京都議定書にコミットしている我が国の在り方として正しいと私は思いませんが、そういうことをしない限り、これは政府はやらなければいけないことなんです。それをサボったということを正直にお認めになったらいかがですか。

 政権が異なるといっても、閣議決定は閣議決定、日本の行政機構として、政府として決めていくことなんです。それを守らなかった、違うやり方をするということを考えたからそういうふうにやりますということが許されるわけはない。これはもう統治に対する、統治のメカニズムあるいは統治の秩序に対する挑戦であると思います。

 政権が替わるというのはこれからもあると思います。一つの内閣があるいは一つの政権が閣議で決めた、政府の決定として決めているわけですね。それを別な閣議決定で変えるということはあり得るだろうと思います。だけど、その閣議も開かないで、要するに政府の機構、政府の決定というのを、政権が替わったからといって黙って覆していいというものではありません、ということを強く申し上げたいと思います。

たくさんのやじ

2010年05月25日 | まつりごと



 10年5月25日衆院農水委、江藤拓議員の質疑より。

 もう四回目になりますので、本会議を入れると五回目ですが、たくさんのやじをいただきまして、皆さん大変ありがとうございました。
 厳しい、本当に苦しいこの一カ月間でした。みんなと肩を抱き合い、時には一緒に昼飯を食い、涙を流したこともありました。だけれども、この苦しい期間の中、最初のうちは物すごく士気が高かったんですよ、何とか最小限でおさめようと。国からは消毒薬は届かなかったけれども、手持ちの消毒薬でとにかくやろうと一生懸命やりました。ところが、広がっていった。だんだん途中で心が折れそうになってきた時期がありました、正直言って。でも、そこでもみんなが支え合って、ここでおれたちが折れたらどうにもならぬ、頑張ろうやないかということで頑張りました。そして、一カ月たって、ワクチン接種ということになったわけであります。
 思い返すといろいろなことを思い出しますけれども、道半ばなんだろうと思います、まだ途中だろうと思います。ですから、ぜひ、この委員会ではいろいろな議論を皆さん方としていきたいと思います。
 ただ、救いもありました。最初のうちはマスコミでの取り上げもほとんどなくて、認知度がほとんどなかった。ところが、ネットの世界でいろいろな方に興味を持っていただいて、そこから広がったのか、大手も今は毎日、テレビで放送するようになりましたね。テレビの方々、お見えになっていらっしゃいますけれども、もっと早く放送してほしかったですよ。確かに、風評被害の問題はありました。私も、最初は、余り大ごとで広めてほしくないという気持ちはあったけれども、やはり、豚に感染した時点でもうステージは変わりましたから、あれぐらいからメディアの方々にはもうちょっと関心を持っていただきたかった。まあ、あなた方に文句を言ってもしようがないですけれどもね。
 今、私は、これまで殺処分されていった牛たち、豚たち、毎日その冥福を祈りながら日々を過ごしております。そして、これからワクチンが打たれることによって、健康にもかかわらず、殺処分される運命が決されてしまった、そういう牛や豚たちのことを思うと非常に胸が締めつけられる。
 きのう、ファクスをもらいました。あの水牛が発生した牧場の隣保班、隣保班というのはわかりますか、皆さん。いわゆる御近所ですよ、隣組。隣保班の農家でも、一頭もまだ疑似患畜が出ていない農家がきのうの夜の時点でいるんですよ、実は。いるんです。その人から電話をいただいて、拓さん、何とかうちも経過措置にしてもらえぬやろうか、助けてもらえぬやろうかと泣きながら訴えるわけですわ。だけれども、どんなに家伝法を読んでも、これからの蔓延防止法を読んでも、一市六町、町長がワクチン接種を受け入れたことを読んでも、相談はしていますが厳しいですと正直に言いました。非常につらかったですよ。そういった日々が今送られております。
 また悲しいニュースが入ってきました。高鍋農業高校、これは優秀な学校で、将来の畜産を担う子供たちが一生懸命勉強している学校なんです。この間、二〇〇七年、畜産共進会では農林水産大臣賞をとったんです。高校生がつくった牛ですよ。これは快挙です、すごいことですよ。ここにも感染が確認されてしまいました。これも全頭殺処分。学生たちの絶望と悲しみを思うと、何ともやりきれない。そしてまた、その学校に通学がこれからできるんだろうかと。発生した場所ですからね。いろいろな問題がこれからさらに広がっていく。幅広の議論をしていかなきゃならぬと思います。

 私、今、ブログをやっておりまして、一日二百件ぐらいの書き込みがあります。この中の一つだけ、嫌かもしれませんが、紹介をさせていただきます。
 私は、新富町に住む繁殖農家の娘です。生まれたときから牛の鳴き声を聞きながら育ちました。嫁いだ今でも、毎日実家に行って、牛たちの世話をしています。この前の十三日に、私の初めて買った牛に子牛が生まれました。去年の三月に宮崎の子牛の競りで初めて買った三頭のうちの一頭です。大きな元気な雄の赤ちゃんでした。出産は大変でした。ですから、四人がかりで引っ張って出産をいたしましたと。
 多分、忠富士の種ですよ、これだけ体がでかいということは。
 あとの二頭も、六月と七月に生まれてくる予定です。この一年間、無事に生まれるのを毎日楽しみに世話をしてきました。でも、その子牛の顔を見ることができない。何の罪もないこの子供たちも殺される、この怒り、悲しみはどうすればいいんですか。この子たちを守るために、これまでの一カ月間、毎日毎日一生懸命消毒の努力を重ねてきました。簡単に十キロ圏内殺処分と言うな。感染拡大を食いとめるためとはわかってはいます。それでもやりきれません。毎日この子たちを見ていると涙がとまりません。なぜここまで拡大する前にとめてくれなかったんですか。私は一生許しませんと。
 この中にもかなり激しい言葉がありますが、私の独断で割愛をさせていただきました。そこには家畜に対する愛があるんですよ、愛情が。ですから、大臣、嫌かもしれませんが、私の今のこの文の紹介を受けて、もう一度お答えをいただけませんか。

反省がない

2010年05月25日 | まつりごと



 10年5月25日衆院農水委、谷公一議員の質疑より。

 私は、十五年前の阪神・淡路大震災を初め、さまざまな災害、大規模事故、福知山線の事故もございました、それらを経験し、遭遇し、復旧復興に携わった者として、今回の口蹄疫の問題について、基本的な認識、また対応がおくれたのではないか、小出しし過ぎたのではないか、そして、今後の取り組み、目標、そういったものについて、以下お尋ねしたいと思います。

 基本的な認識といいますのは、口蹄疫というのが一たん発症して広がると、どういうふうな影響、また国民経済に影響を及ぼすのかというのは、さまざまな前例があります。
 十五年前、阪神・淡路大震災のときは、戦後五十年、日本であるいは世界で大都市を襲った直下型地震というのは皆無でありました。今回、口蹄疫はそうではありません。二〇〇一年、イギリスでは七百万頭を超える家畜が殺処分をされ、一説によれば間接的な経済への影響も含めて一兆七千億を超える損害を与え、総選挙も延びたようにお聞きしております。
 そういう認識を、大臣、しっかり持っておられましたか。発症前からこのことは御存じでしたか。あるいは、発症してから勉強してわかりましたか。そこをお尋ねしたいと思います。

 私がお聞きしたかったのは、特にイギリスの例です。九年前に七百万頭を超える殺処分を出して、国の経済がおかしくなるんです。私が質問するのは、そういう危機意識、また認識を、最高責任者たる大臣がきちんと持っておられたかどうかというのを疑っているからなんですよ。
 ですから、その後の四月二十日に初めて国の方に報告があって、その後どういう行動をとったかというと、大臣は、対策は万全と考えて国外出張をされた。それはいろいろ委員会でもやりとりがありました。大臣は、これは国益のために必要なんだと言われた。その必要性については、ここはこの場では議論いたしません。
 一つ、もう一度大臣にお伺いします。
 大臣は、外国に行ったとしても、対策について何も差し支えなかったですか。外国に行って差し支えがあったのかなかったのか、そのことをお尋ねします。

 どうも認識に相当ずれがあります。この委員会でも、あるいは本会議でもたびたび言われましたけれども、最悪の事態、これは災害です。危機的な状況なんです。そういう認識をしっかり持っていれば、最高責任者は外国に行ったりしちゃいけないんです、これは当たり前です。直ちに現地に行くというのが通常の姿で、阪神・淡路でもそうでした。それ以降のさまざまな災害でもそうだったじゃありませんか。中越でもそうです。福知山線の事故でも直ちに行った。そういう初動の対応について、私はどうも政府側の答弁には納得できない、今なおできない。
 過去の議事録、私も、農林水産委員会の委員ではございませんのでいろいろ調べてみました。山田副大臣は、「初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。」初期の対応は万全だ。あるいは別の委員会では、それなりの対応を十分にさせていただいていると。
 問題はないんだ、こういう認識、その認識は、大臣、まだ変わらないんですか。今でも初動の態勢に全然問題はなかったと。




 そういう話はもう委員会で、議事録を読めばわかります。大臣が一生懸命やっていないんじゃないかと私は言っているわけじゃないんですよ。ただ、責任者でしょう。結果責任はどうとるか、そのことを私は問うているわけです。
 常識的に考えて、初動の態勢に問題なかった、初動の態勢に問題ないということは、危機管理の上においては、同じようなことがあったら同じような体制で今後ともやるということですよ。では、同じように、また某県で口蹄疫があった。政府の対策本部、国全体の対策本部は立ち上げないんですよ。農林水産省だけで立ち上げて、現地の対策本部も、いや、これは法定受託事務だから某県の知事がやればいい、現地の対策本部さえ設けず、そこの農政局の幹部をやっているからいい。それが今回の対応でしょう。今回の対応の反省がないということは、同じようなことを同じようなやり方でやるということですよ。そういうふうに理解してよろしいですか。

 反省がないというのは、先ほどのいろいろな答弁、初期の態勢は万全だとか、「初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。」これは山田副大臣の過去のこの委員会での答弁です。また、今までの体制で十分だ、そうも答弁されている。あるいは、大臣みずから、考えられ得るすべてのことを実施しているんだ、薬剤も十分だ、人も対応している、金も万全だと言われているんですよ、今まで。ですから、そのことについて、そう自信を持って言われているから、私は反省はないかと尋ねたら、いや、反省はないことはないと。
 では、もう一度聞きます。
 それは今、事態は進行していますよ。進行していますけれども、万全だ、反省することはないということは、同じような事態になったら同じようなことをやるということですよ。もう一度お尋ねします。

 私は、大臣とどうも少し認識がずれていますね。
 一番の違いは、これは非常事態だ、その認識をしっかり持っていれば、これは法定受託事務だから一義的に知事がするとか、あるいは、過去のこの委員会の質疑でもありましたけれども、自衛隊派遣が必要なら、知事さん、遠慮なく言ってくださいよといって、これは非常に受け身なんですね。現行の仕組みでは、平成十六年の特定家畜伝染病防疫指針で、自衛隊派遣は知事しかできない、それは私も知っていますよ。こんなものは、指針じゃないですか、いざといったら農林水産省で変えれば済むんですわ。これは危機的な、このままでは宮崎県、九州だけではなくて、国全体の畜産業あるいは関連業界ががたがたになって崩壊の危機に瀕するという危機意識があれば、できるはずなんですよ。
 阪神・淡路大震災、あのときは、一月十七日午前五時四十六分でした。二月、三月にどれぐらいの特例法を成立させたか御存じですか。十六本ですよ。十六の特例法を国会でつくったんですよ。百本を超える政令、省令をつくったんですよ。特例法をそのために。なぜ特例法をつくったかというと、現行の仕組みでは十分じゃない、新たな特別措置をしなければこの災害の復旧復興には対処し得ないということで、与野党を問わず、みんなが一生懸命、総力を挙げて頑張ったんですわ。
 ですから、そういう全体の取り組みが私はおくれたと思います。おくれていなければ、五月十七日に政府対策本部を一月近くたって立てるなんということはなかったんじゃないですか。そして、同じ日に山田副大臣を本部長とする現地対策本部ですか、やっと一月近くたって立ち上げた。
 そして、今でもまだ、現行法の縛りを突破できているのかできていないのか、いろいろなやりとりを聞いてももう一つよくわかりませんが、家畜伝染病予防法の枠を超えて今回支援をするおつもりはあるんですか。

 どうも、大臣の御答弁を聞いていますと、平時なんですよ、考え方が。法律がどうのこうのだとか、予算の制約があると。予算、予算と言いますけれども、どれぐらいのことを言われているんですか。新聞では、公明党さんが一千億とか言っていますけれども、それで国家財政がひっくり返るんですか。必要なときは必要な手当てをしなくてどうするんですか。そのことを私は特に強く訴えたいと思います。
 冒頭お話しさせていただきましたように、今回の事態の認識の甘さは、私は、与党議員にも、与党としてどうかと思うような言動もありました。ちょうど四月二十八日、木材利用、私は自民党、公明党の案の提出者でございましたけれども、国土交通と合同審査をした。何とそのときに、米粉パイを御賞味いただきましたかと。もうびっくりしましたわ。口蹄疫がこれだけ流行しているときに、何ですか、この発言。あえて御本人の名誉のために言いませんけれども、名前は言いませんけれども、そういう危機意識で与党が、やはり、これは連休前四月二十八日ですから、いたというのが、政府の、政府・与党なんですから、一体なんですから、対応のおくれの一端の責任があるのではないかと思います。
 私は、認識の甘さ、特に大臣の危機管理の認識の甘さ、対応のおくれ、対策の小出し、そして何かといえば法定受託ということで県の方にいわば責任を押しつける、そして職をかけた、大臣という職をかけた意気込み、そういったものは見られません。大臣として、このままであれば、これだけの動物が殺されて、平成のそれこそ王になりますよ、あるいは平成の殺処分王と言ってもいいかわからないです。何らかの責任を、私は、大臣としてとってもおかしくないと思いますよ。指揮官として失格だと思いますよ、これは。
 大臣みずから、前の答弁で言われているんじゃないですか。どういう表現でしたか、江藤先生のやりとりは五月十一日でしたね。私が一人いなかったからといって、いささかも支障はあったというふうには理解しておりません。そういう大臣ですから、責任をとっておられなくても何ら差し支えはないんじゃないですか、理論的に言いますと。



国会議員の皆様方

2010年05月20日 | まつりごと
 10年5月20日衆院本会議、江藤拓議員の質疑より。

 しかし、今、早急にやるべきことは、このことではないはずではありませんか。
 口蹄疫の発生した地域では、日々恐怖におびえ、耐えがたい不安の中で、将来を絶望する人が、今、この瞬間もふえ続けているんですよ。
 きょうで、口蹄疫発生から、はや一カ月がたってしまいました。蔓延は全くとまりません。五月十八日には東国原知事が非常事態宣言を発動されました。けさの段階で、発生した市と町は五つとなり、発生戸数は百四十六戸に上っております。家畜伝染病予防法に基づいて殺処分をもうしていなければならない家畜の総数は、十二万五千二百六十六頭にもはね上がってしまいました。
 殺処分の現場、埋却の現場、これは、皆さん、筆舌に尽くしがたい修羅場ですよ。まさに地獄であります。作業員の中には、精神的にも完全に参ってしまっている人も多数出てしまっております。みんな、もう本当に、ぎりぎりのところでやっと踏ん張っているというのが現状なんであります。どうか御理解ください。
 谷垣総裁には、東国原知事が上京して要請された次の日に、すべての予定をキャンセルされ、急遽、朝の一番便で真っすぐ現場に向かっていただきました。現場にですよ。そして帰りの便も、予定がありましたけれども、すべて日程をキャンセルして、農家の方々から意見聴取をいたしました。すべての意見が出尽くすまで、この会議は続きました。総裁は、御自身でメモをとり、誠実に御回答されておられました。
 また、自民党では、四月二十二日、三十三項目の申し入れを行い、四月三十日には、四十二項目、申し入れを行いました。五月の六日にも追加対策の申し入れを行いました。既に党内に家畜伝染病予防法改正等PTを立ち上げ、急ピッチで改正法案の提出に向けて議論を今進めているところでございます。
 それに引きかえ、そのとき、政府は、特に赤松大臣は、あなたは一体何をしていたんですか。
 大臣が初めて宮崎入りしたのは、五月の十日。現場の皆さんが切実な訴えを直接訴えようと待っていたにもかかわらず、現場から遠く離れた宮崎市までしか足を運ばれませんでした。そのとき川南町では、大きな失望と、国に我々は見放された、そういう声を私はたくさん聞きました。
 五月十一日の農林水産委員会で、私は、赤松大臣が四月三十日から五月の八日まで外遊されたことについて、そもそも行くべきではなかった、そして外遊中に、日々蔓延が拡大する中で、途中帰国することをあなたはお考えにならなかったんですか、そうお尋ねをいたしました。
 私は、大臣から、反省しているとまでは言わないまでも、せめて、今となると、途中帰国を考えるべきであったと思います、そういうお返事が当然いただけるものだと思っておりましたが、大臣の答弁は一体何ですか。私一人がいなかったからといって、いささかも支障があったとは理解しておりませんと。
 対策本部長ですよ。何という責任感の欠如ですか。まさに、開き直り、自己正当化以外の何物でもありません。これでは、現地で苦しんでいる農民は救われません。
 当時の対策本部長であった大臣が、農民や地域の人たちの苦しみを御自身の痛みとして感じることができなかった、そのことが蔓延拡大の大きな原因の一つであったということを私は確信いたします。
 そもそも、民主党という政党は、基本的におかしいと思いますよ。
 BSEが発生したとき、農林水産大臣は武部勤代議士でした。自民党内で、BSE対策会議が開かれるたびに、大臣は、不眠不休の努力を重ねて、対応に追われましたけれども、それでも、自民党の議員から、身内から、毎回毎回厳しい追及を受けました。激しい議論がそこではなされました。それがあったからこそ沈静化に向かったのであります。
 そういった激烈な議論の場は、この民主党にはあるんですか。あるんですか。
 初動のおくれ、蔓延の防止に失敗した、とうとうワクチンまで使わなければならなくなってしまった。二十二万頭の子牛を誕生させた伝説の種牛、安平まで殺処分の対象となってしまったことに対しても、民主党内で問題視する声が全く上がらないことを、私は、極めて不自然で不健全な体質である、そう思います。
 現対策本部長の鳩山総理は、十八日の朝、記者からの質問に対して、国の一定の責任を認める旨の発言をされました。まだ前本部長に比べれば正直かもしれません。
 その後行われた赤松大臣の記者会見は、愕然とするものでありました。初動がおくれたとか、やるべきことをやらなかったことはない、私がやってきたことは、全く、反省するところ、おわびするところはないと。まさに信じがたい発言であります。反省なくして、新たな対策、そういったことを打てるんですか。まず反省に立って、そして対策を見直す、これが基本だと私は思います。
 大臣、今も、そのお気持ちは変わりませんか。お答えください。
 私は、野党の一代議士でありますが、地域の皆様におわびを申し上げながら日々を過ごしてまいりました。それが政治家としての、普通の、ごく当たり前の感覚だと私は思いますよ。
 議員の皆様、大臣の発言を、どのように、正直に、率直に受けとめられましたか。
 この報道を見て、国民の政治家への不信はますます高まるばかりであります。政治家は自己保身のことしか考えていないと。何が国民の生活が第一ですか。自分の身が一番じゃありませんか。
 初動のおくれはないと言われますが、現場に国から消毒薬のクレンテが届いたのは四月の二十八日、ソーダ灰が届いたのは二十九日ですよ。発生から一週間もたってしまっていました。どこが迅速な対応なんですか。三日目からは、ビルコンS、車にかける消毒薬を使いました。これは、町、農協、それから宮崎県経済連、宮崎県畜産協会、こういった方々が現場で東奔西走してみずから集めてきた薬品であります。
 そして、さらに指摘させていただきたいことがあります。今回の初動がおくれた大きな原因の一つに、行き過ぎた政治主導があったのではないかと私は思います。
 十年前に口蹄疫が発生したとき、七百四十頭の殺処分で封じ込めに我々は成功いたしました。とにかく、国も県も自治体も農協も、すべての皆さんが、総力を挙げることを要請し、早急に百億円を用意いたしました。そして、何か不手際があったら、初めてのこと、だれも経験がないわけでありますから、最後にはすべての責任は政治家がとる、そのことをみんなに約束して、一斉に動き出したのであります。だから初動が早かったんですよ。だから七百四十頭で済んだんです。
 今は、何かといえば三役にお尋ねをしなければ、みんな動けないんでしょう。(発言する者あり)
 皆さん、やじもわかりますけれども、どうか、宮崎の苦しみを理解してください。畜産農家だけでなく、その他の農産物や観光を初め、多岐にわたる産業にも大きな影響が出ております。
 私の息子の修学旅行も中止になりました。商店街は、ひっそりと静まり返り、売り上げは七割、八割も下がってしまいました。このままではもう店を閉めるしかないという悲痛な声がたくさん上がっております。全国で有名になりました、「朝ズバッ!」でも採用されましたあの軽トラ市も、もうやれなくなってしまいました。
 現場の人たちは、国が具体的で農家が納得のできる対策を早く示していただくことを望んでおります。
 私は、口蹄疫発生初日から連休が明けるまでの間、毎日のように、自分の目で見て、自分の耳で聞き、感じてきたこと、この短い時間の間ではとても皆さん方にお伝えすることはできませんが、その一部だけでも御紹介させていただきます。
 あるおばあさんは、牛を殺処分するならば私も一緒に埋却してほしい、埋めてほしい、そうおっしゃいました。この牛がいたからこそこれまで生きてこられた、そして、何よりも私たち老夫婦にとっては生きがいであった、子供同然であった、これがいたから子供たちにお年玉を上げることもできた、そういうことをもうできなくなってしまった、そう言って、私の手を握って泣かれました。私も一緒に泣くしかありませんでしたよ。
 このことは、委員会で大臣にお伝えをしましたね。しかし、そのとき大臣の胸には、全く響くことはありませんでした。
 ある酪農家では、最後に、一番うまい最高のえさを与えてやり、体をブラッシングしてやって、乳房をふいてやって、その後、一頭一頭に最後の別れを告げて、その目の前で次々と殺処分されていったんですよ。畜産農家の目の前で倒れていったんです。その気持ちがわかりますか。
 その後、私に電話をいただきました。大臣をこの場に連れてこい、そして一頭一頭、大臣の手で、銃で撃ち殺させろ、そうすればおれたちの気持ちも少しは伝わるだろうと声を震わせておられました。
 養豚農家では、殺処分が決まっても、埋却地も見つからず、獣医も足らず、一週間以上待たされてしまいました。その間、えさを与え、世話も続けてまいりました。
 まだ感染していない農家におきましても、これまで必死に防疫の努力をしてまいりました。
 今回、ワクチンを投与するということが突然飛び出してきて、これまでの努力は一体何だったんだという憤りが宮崎には今たまっております。
 政府は、十キロ圏内の計八市町で二十万五千頭にワクチンを投与した上で最終的には殺処分をするという方針を決めました。
 ワクチン接種の同意を得ることがおくれれば、蔓延はますます広がってしまいます。
 疫学的な調査もサンプリングもしないで、十キロ圏内はすべて処分するから対策は万全だと言いますが、現場では、十キロ圏内で本当に大丈夫なのか、その外に出たら一体だれが責任をとるんだという声が既にたくさん上がっております。
 三十二万頭もの殺処分が行われれば、想像を絶するほどの土地が必要になりますよ。これまで見つけた埋却地は、すべて県や町が自分たちの努力で見つけた土地であります。国が示された土地は、使い物にならないものばかり。これのどこが十分な対応なんですか。
 鳩山総理は、十八日の会見で、経済、経営のことはしっかりと政府がやる、そう述べられました。これは、生活の補償、農家の経営再建、従業員の給与、関連産業、地域経済が受けたすべての損失を政府が責任を持って補償する、そう理解してよろしいですね。御答弁を求めます。
 大臣は、五月十日、宮崎に来られました。そのときに、法定受託事務だということを言われましたが、もうその時点で、その限界は既に超えていたんですよ。宮崎県を批判する声がありますが、全くお門違いだと私は思います。
 私は、五月十一日の農林水産委員会で、今、大臣の責任を追及したからといって畜産農家が救われるわけではない、蔓延がとまるわけではない、だから今は休戦をしましょうということを提案いたしました。
 ですから、最後に皆様方に、心を込めてお願いをいたします。一刻も早くこの大惨事を終息させるために、すべての国会議員の皆様方の御理解、お力添えをどうぞ賜りますようにお願いを申し上げまして、私の質問にかえます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

一丸となって何とか助けてください

2010年05月11日 | まつりごと



 10年5月11日衆院農水委、江藤拓議員の質疑より。

 四月の三十日に日本を立たれて、五月の八日に帰国をされましたね。そもそもこの外遊については、政府の口蹄疫対策本部長である以上、今回は見送るべきだという意見は与野党ともにありましたよ、自民党だけじゃなくて。しかし、予定どおり御出国をされた。このこと自体、地元で御苦労されている方々がどう受けとめたか。中には、われわれは国から見放された、最高責任者が行ってしまった、そう言った方もおられました。そして、四月二十八日には県の畜産試験場で発生した感染が、一番恐れていた豚への感染。一般養豚農家への感染が確認され、帰国されました八日には、三十日には十二例目でありましたけれども、帰ってきたときには五十六例目という爆発的な蔓延になってしまいました。そのときにトップがいなかったんですよ、この日本に。これは皆さん、非常に心細い思いをされました。その状況は、外遊されていましても、当然農林水産省のキャリアを通じて逐次報告がなされていたでしょう。大臣はそれをお聞きになって、これはまずい、予定をキャンセルしてでも途中で帰国しよう、そういうお気持ちになったことはありませんか。

 最高責任者でしょう。最高責任者でしょう、あなたは。リアルタイムなのはわかりますよ、それは。何をにやにやしているんですか。最高責任者でしょう。その人がいないと、役所だって今どうですか、例えば鹿児島の先生方がこの期間中に役所の人を呼んで、こういった対策をお願いしたいといろいろ話をしましたよ。返事は何ですか。政務三役の御承認を得なければ、われわれの判断ではどうにもなりませんと。あなたがいない間、そういうやりとりがなされていたんですよ、休みの間でも。これが現実。
 何でそうやって笑うんですか。どうして笑うんですか。(赤松国務大臣「笑っていないよ、別に」と呼ぶ)にやにやしているじゃないですか、さっきから。
 大体、民主党さんはよく使うフレーズがありますね。今、事業仕分けもやっていますけれども、不要不急のものであると。私、今回の外遊は、今行かなければならなかったものだとはとても思えませんよ。
 メキシコの、EPAですか、これはもう十六年に署名済みです、十七年には発効しています。そして、四年、五年には見直しを行いますけれども、これは事務レベルの話でしょう。大臣が行かなければ決着しない話ですか。キューバへ何をしに行ったんですか、カストロさんに会いに行ったんですか。コロンビアへ何をしに行ったんですか。それは国会の承認を得たかもしれない。でも大臣が、農林水産行政のトップとして、畜産農家と苦労をともにして涙を流して。狭い地域だからこれは悲劇じゃないんですか。三キロだからハッピーなんですか。
 私は、この連休中も毎日毎日足を運んで、私が行ったからといって蔓延防止に何の役に立つわけじゃありませんよ、それは。でも、畜産部長の前に座って、随時入る報告、口蹄疫が発生したというと、畜産農家はデジカメで写真を撮ってパソコンで送ってくる。それをパソコンの画面で見て、これは水疱じゃけんど、どげじゃろかい。口蹄疫じゃろかどげじゃろかは、まだわからぬね。だけれども、危ないから一応そういう覚悟をしてくれ。そういうやりとりをずっとこの連休中、見てきたんですよ。
 私は、農林水産大臣の資質というものは、農民、農村、農家、畜産家、林業家、水産業、何でもそうですけれども、この業界で働く人のために一緒に涙を流す、その気持ちを持ってくれないと、みんな救われませんよ。あなたが来てくれるのを待っていたんですよ、川南町の人たちは、私なんかよりも。大臣が来てくれて、そして、御苦労だね、大変だね、だけれども国はあらゆる対策、万全の対策を講じるから、くじけずに頑張ってくれと。
 私はこの間の委員会で言いましたよ、心のケアが一番必要だと。一番の心のケアができるのはあなたなんですよ。私なんかじゃないんです。大臣がお越しをいただいて、直接生産者の方々の声を聞いてくださって、肩をたたいて、一言、しっかり頑張れと言ってくださったら、今みんなの心はここまでは折れていない。川南町の人たちは今もう希望を失いつつありますよ、本当に。悲しくて悲しくてたまりません。

 あるお年寄りは、うちの繁殖母牛、この子のおかげでうちは生計が成り立ってきた、孫にもお年玉をやれた、飯も食えた。でも、殺処分せにゃいかぬかもしれぬ。拓さん、そのときは、私は老い先短いんやから一緒に埋めてくれと。ある酪農家は、新聞でも報道されましたけれども、最後に一番上等なえさを食わせて、頭をなでてやって、乳房をふいてやって、そして最後の別れをして、それで目の前で殺処分されていくんですよ、大臣、目の前で。その悔しさがわかりますか。わかってくださいよ、大臣。彼は私に、大臣を連れてこい、大臣に鉄砲を持たせて一頭一頭撃たせろ、そうしたらおれたちの気持ちがわかるわい、そう私に訴えられましたよ。こんな話は枚挙にいとまがない。
 大臣、私は、地元からは物すごい怒りの声を聞いています。すぐにでも大臣の解任を求めてくれ、不信任を国会に提出してくれという声もたくさん受けとめましたよ。でも、私はそうは思わない。今はそんなときではない。あなたをやめさせたからといって、畜産農家が救われるわけじゃない、蔓延が防止できるわけでもない。今は、だから、休戦しますよ、あなたの責任を追及することはしません。
 だけれども、どうか政務三役の皆さん、民主党の皆さん、わかってください、現場の本当の苦しみを。家庭からは火が消えたようになっている。お父さん、飼料代を払わにゃいかぬけれども、もう預金はこれしかないよ、そげなことはわかっちょるわいと夫婦げんかになる。子供を学校に行かせたいけれども、もしかしたら口蹄疫のウイルスを持って帰ってくるかもしらぬ、学校にも行かせたくない、家庭訪問もお断りだ。飲みに行くなんてとんでもないと。修羅場ですよ、修羅場。本当に戦場ですよ。




 言葉がきつくて気分を害されたかもしれませんけれども、彼ら、ほとんどの発生農家の人たちは私の昔からの友人たちです。大変、地域のリーダーだった人たちもたくさんその中には含まれています。みんなまじめにやってきた。そして、川南町は特に、こういった家畜伝染病を撲滅することに九州でも一番努力をしてきたところですよ。なぜこんなことになるんだ、どうしてなんだ、夢であったら覚めてほしいと。そして、毎朝畜舎に行くのが怖い、牛の顔を見るのが怖い、そういう眠れない毎日を過ごしているということを、どうぞ大臣、副大臣、政務官、わかってください。この委員会一丸となって何とか助けてください。
 殺処分したくても、埋却処分地がないから殺処分できずに、どんどんどんどん豚舎の中で口蹄疫が広がっているんですよ。殺処分したいんですよ。埋める場所がないから。豚は一日で腐りますよ。すぐ腹がぽんぽこりんに膨らんでしまいます。それでも養豚家はそういったことの治療をするんですよ、どうせ殺処分しなきゃいけない豚も。かわいそうだから、少しでも苦しみを和らげてやろうと。
 そういった畜産家の気持ちになって、ぜひ議論しようじゃありませんか。ですから、国対にもお願いしました。不信任、とんでもない、今そんなことをしている場面じゃないと。とにかくわれわれは今の執行部体制のもとで一丸となってこのことに取り組んで、そしてけりがついた後、それは国対が判断することでしょう、私がどうこう言うつもりはない。大臣、ぜひお願いをいたします。私の気持ちは少しは通じましたでしょうか。

 先ほど、川南町長がぐずぐず言うから国有林に埋められないとおっしゃいましたね。水が出たら埋められないんですよ。三メートル掘って出たらもう埋められないんです。そんなことは地元の人間が一番よく知っているんですよ。海岸線の国有林でしょう。
 今何が足りないかって、何を悠長なことをおっしゃっているんですか。もう二十日以上たっているんですよ、二十日以上。今宮崎県で言われているのは、川南、都農では済まないだろうというのがほとんど通説になっています。どんどんどんどん近づいています、隣の町に。どんどんどんどん小丸川に近づいていっています。越えたら佐土原町です、その先は宮崎です。えびのなんというのは、隣は熊本です。熊本の先生もおられます。鹿児島だってそうですよ。今何が足りないかという議論をしていること自体がおかしい。
 私は、大臣と今までいろいろ議論させていただきましたけれども、私にいろいろ言葉をかけていただきました。大臣の、前の討論の中で、一緒にやりましょうと言っていただいたことがありますよね、与野党関係ありません、知恵を出し合ってやりましょうと。私は素直な人間ですから、それをまともに受け取りましたよ。ですから、すぐに、まず三十二項目、これが必要だと、地元の声を体した形で、宮腰部会長と一緒に提出させていただきました。受け取っていただきましたよね。その後、さらに四十数項目を追加で出させていただきました。五月に入ってからもさらに、これが足りないという部分も出させていただきました。私たちは一緒にやりたいという気持ちでいるんです。国有林じゃだめですよ、大臣。
 殺処分したら、なるべく移動距離の短いところに埋めないと蔓延の原因になるんです。できれば隣がいいんですよ。売ってくれるかどうかは別にして、金に糸目をつけずにそこを買ってください、国が。買ってくださいよ、国有林とかいう話じゃなくて。そうでないと、一部、長距離を移動させて埋却をしました、それが原因だというような説も流れています。原因はわかりませんよ、そうとはわかりません。