天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

法の神髄

2012年04月25日 | 不易
 関西電力の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、大阪市の橋下徹市長と大阪府の松井一郎知事は24日、藤村修官房長官と首相官邸で会談し、原発の安全性に関する8提案を受け入れるよう直談判したが、藤村氏は「再稼働は妥当」との政府の判断に変更はないと伝えた。10分の予定だった会談は25分に及んだ。
 「政治家が安全宣言をしたのは絶対におかしい。原子力安全委員会に安全性のコメントを出させるべきだ」。再稼働の撤回を求める橋下氏に、藤村氏は「政治家が安全を宣言しているわけではない。安全性はあくまで専門的、技術的な観点から判断されている」と反論。議論は平行線に終わった。

 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚が6日に「安全性に関する判断基準」をまとめてから、橋下氏は批判を強めていった。安全宣言を出した後の13日には「再稼働にストップをかけるためには、国民が政権を倒すしかない。次の選挙で民主党政権に代わってもらう」「慌てて作った暫定的な安全基準だ」(6日)「安全宣言した手続きがおかしい。統治機構の危機だ」(16日)
 「国民はだまされちゃいけない。安全宣言は、科学者や原子力安全委員会のチェックもないまま政治家が作った手続きを進めている。国家運営の危機だ」橋下氏は藤村氏と会談した後、頬を紅潮させ手ぶりを交えながら、記者団に「国家の重大危機」「国家崩壊ですよ」と激しい言葉を繰り返した。

 政府が再稼働を妥当と判断した今月13日、橋下氏は批判のトーンを一気に強め、「これで吹っ切れた。一人でも(政権への)反対運動をする」と記者団に語った。橋下氏の勢いに押されるように、大阪維新の会も翌日、衆院選で民主党と対決する方針を決定した。~毎日より抜粋。


 中世の英国スチュアート王朝時代、ジェームス1世は絶対主義の権化として王権神授説を信奉し、裁判所に代わり自ら裁判を行うなど、コモンロー(判例法)を無視する挙に出た。これに対しサー・エドワード・コークは、先人の言葉を引用して「国王は何人の下にもあるべきではない。しかし神と法の下にあるべきである」と直言した。「法の支配」の精神の神髄を表す歴史の一こまとされている。
 ここでいう『法』は個別の法律や条文を意味するものではない。正義の精神である「根本法」あるいは「高位法」といわれる「幻の法」である。「法の支配」は、国王や独裁者による恣意(しい)的権力行使(人の支配)を否定し、個人の自由を保障するものとなる。この『法』は、時として個別事件の裁判を通じてコモンローという形になって現れ、時として議会の審議を経て制定法となって姿を現す。それ故、英国は憲法という成文法を持たずに、立憲民主主義大国の地位にあり続けているのである。
 わが国も、立憲民主主義国として「法の支配」の原理の下にある。憲法の最高位性を認め、憲法で自由と人権を保障し、行政訴訟をも含めすべての裁判を司法権に委ね、裁判所に違憲立法審査権を認めていることなどが、その原理に立脚したものとされている。
 原発の安全の問題は、政治決断の問題ではない。だからこそ法は、中立的・専門的立場から原発の安全性を審議する機関として「原子力安全委員会」を設置し、その学問的知見に基づく安全審査指針の策定などを委ねてきたのである。ところが政府は、経済産業省の原子力安全・保安院に「安全基準」なるものの策定を命じ、原子力安全委員会に諮ることもなく、政治家だけでその基準を了承し、安全との結論を出した。政府は『法』にのっとり、せめて国民がやむを得ないと判断できるように適正な手続きをとり、原発再稼働を図るべきである。
 「下問を恥じず」(論語)という心構えを持って、国民の姿勢に学んでもらいたいと願うのみである。

 以上、2012.4.25 03:12産経【山河有情】「国民に学ぶべき政治権力」元検事総長・但木敬一(ただき けいいち)より抜粋。

 日本国憲法第10章第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
 第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
 2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
 第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 人間の共同体を一つに結びつけている正しさは一つであり、それを定めたのは一つの法であり、この法は命じたり禁じたりする正しい理性である。この法を知らない人は、この法の書かれているところがどこかにあろうとなかろうと、不正な人である。~キケロ「法律について」より

 自然法に反する実定法もまた無効です。法、正しさを認識するのは理性です。

タンパク質合成を終了させるコドン

2012年04月13日 | 科学
 東北大学は、遺伝病の原因となる異常タンパク質の合成を抑制する機構として、異常な「mRNA(メッセンジャーRNA)」の分解を促進する新しい品質管理機構を発見したと発表した。成果は、東北大学大学院薬学研究科の稲田利文教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、4月12日付けで米科学誌「Molecular Cell」に掲載された。

 ヒトの体を構成する約60兆個の細胞は、多種多様な機能を持つ。ヒトの遺伝子の数は2万数千個に過ぎないが、最終的なタンパク質の種類が数10倍程度まで増えることで、多様な細胞の機能が担われている。これは、タンパク質を合成する際の鋳型となるmRNA(タンパク質合成の設計図となる遺伝情報を持つRNA(リボ核酸))の種類を増やす仕組みが存在するからだ。
 しかし、このmRNAの種類が増加する際には、エラーも同時に起こる。エラーの結果によって生じた異常なmRNAからは異常なタンパク質が合成され、細胞機能に悪影響を及ぼす可能性があるのだ。
 このような危険を回避するために、細胞は品質管理機構を持っており、異常なmRNAを認識して排除することで、異常タンパク質の合成を抑制している。今回、研究グループでは、異常タンパク質の合成を抑制する新たな品質管理機構を明らにした。

 タンパク質合成を終了させる「終止コドン」(コドンは3つの連続した塩基からなり、それぞれ1つのアミノ酸に対応しているが、終止コドンには対応するアミノ酸がなく、タンパク質合成を終了させるコドンとして機能している)を持たないmRNAは細胞内に多く存在し、かつ遺伝病の原因となる。
 これまでに、この終止コドンを持たないmRNAからは、タンパク質がほとんど合成されないことが明らかにされてきた。その分子機構について解析を行った結果、タンパク質とRNAから構成される巨大な装置「リボソーム」(それぞれがタンパク質とRNAから構成される大小2つのサブユニットからなり、mRNAの持つ遺伝情報に従ってアミノ酸同士を結合させてタンパク質合成を担う)がmRNAの末端で停滞した場合に、特異的なタンパク質複合体「Dom34:Hbs1複合体」が結合し、リボソームを解離させることを見出したのである。
 また、リボソームが解離する結果、終止コドンを持たない異常なmRNAが、速やかに分解されることも明らかになった。なお、mRNAは直鎖状の構造をしており、細胞内のmRNAは、複数のタンパク質が集合してできた複合体の酵素である「エキソソーム」によってその末端から効率よく分解される仕組みだ。

 この研究成果により、細胞の持つ新たな品質管理の仕組みが分子レベルで明らかになるだけでなく、遺伝病の原因となるさまざまな異常タンパク質の合成を効率的に抑制する治療薬の開発にも貢献することが期待されると、研究グループはコメントしている。また、この新発見は教科書における品質管理機構の記載について、書き換えを迫るものだとした。~マイナビニュース

太陽、満月、そして桜

2012年04月07日 | 春はあけぼの
明日午前4時頃、満月です。そして、イースター。
イースターに桜が観られる年は貴重のような。
太陽、満月、キリストの復活。そして桜とともに大和も。

治まれる 大和の國に 咲匂ふ
幾萬世の 花の春風
徳川家康

敷島の 大和心を 人問はば
朝日に匂ふ 山桜花
本居宣長