天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

荒城の月

2011年06月27日 | 花鳥風月


春高楼の花の宴 巡る盃かげさして
千代の松が枝わけ出でし 昔の光いまいずこ

秋陣営の霜の色 鳴きゆく雁の数見せて
植うる剣に照りそいし 昔の光いまいずこ

いま荒城の夜半の月 替らぬ光たがためぞ
垣に残るはただ葛 松に歌うはただ嵐

天上影は替らねど 栄枯は移る世の姿
写さんとてか今もなお 嗚呼荒城の夜半の月



土井晩翠作詞・滝廉太郎作曲

親のストレスが子に遺伝

2011年06月24日 | 科学
 ストレスによって生じた遺伝子の発現の変化が子どもにも遺伝することを、理化学研究所の研究チームがショウジョウバエを使った実験で確認し、24日付の米科学誌「セル」に発表した。
 突然変異などDNA配列の変化が子孫に伝わる通常の遺伝と異なり、環境の変化など後天的な要素が子どもに遺伝するかどうかは、まだ解明されていない。研究成果はこうしたメカニズム解明の手掛かりになると期待される。
 理研基幹研究所の石井俊輔主任研究員らは、ふ化前のショウジョウバエの卵に熱を加えてストレスを与えると、目が赤くなる変化に着目。通常はATF2と呼ばれる転写因子により、赤い色素を作る遺伝子の発現が抑制されているが、ストレスによってATF2が活性化すると、抑制が解除されることを突き止めた。
 さらに、ストレスを与えて赤目になったショウジョウバエと通常のショウジョウバエを交配させると、子どもの世代にも赤目のハエが生まれることが判明。DNA配列そのものの変化ではなく、ストレスによる後天的影響が遺伝していることを確かめた。
 また、親の世代だけにストレスを与えた場合は、子の世代までしか影響は出ないが、親とその子の2世代にわたりストレスを与えると、さらに2世代以上先まで影響が残ることも分かった。(時事2011/06/24-01:14)

藤井聡

2011年06月16日 | まつりごと



 以下、平成23年6月16日参院復興特 藤井聡(京都大学教授)参考人公述より抜粋。

 大震災から三ヶ月以上もの月日が経過いたしましたが、その間の我が国政府の対応の、恐るべき不十分さに対しては、改めて私が指摘するまでもなく、多くの国民が、絶望的な気分を伴う深い憤りを抱かずにはおれない、というのが今日の現状でございます。例えば、全国そして世界中から集められた義援金の大半が未だに被災地に届けられておらず、復興構想会議の議論を待つまでもなく実行できたであろう数十兆円規模の大規模な国債発行とそれに基づく大規模な復興事業の始動は、決して遂行不可能などではなかったということは明らかであります。
 こうした政府の対応の恐るべき不十分さのために、被災地は放置され続け、失われずに済んだはずの数々の人々の命が、本来ならば失われずに済んだはずの地域活力が、数十、数百、数千と失われ続けているのが実態であります。これを不作為の罪と呼ばねば一体、何が不作為の罪なのでありましょうか。数名を殺めるだけで極刑すら免れ得ぬ法治国家である我が国日本には、被災地の放置というこの「巨大なる不作為の罪」を裁く法が不在なのだという不条理の極みと言うべき恐ろしい事実を誠に遺憾ながら理解させられた次第であります。慚愧の念に堪えません。
 ついては、国政に直接間接に携わる皆様方には、今すぐに迅速かつ大規模な復興事業の展開が可能な体制づくりを心から請願せずにはおれません。

休憩

2011年06月15日 | 科学
 ピアノや自転車など体を使って覚える「運動記憶」は、練習の合間の休憩中に小脳の表面で作られるたんぱく質の働きで、小脳の別の部位に移って定着することを、理化学研究所などが突き止めた。

 「学習には休憩が大事」という定説を科学的に証明した成果で、米神経科学会誌電子版に15日発表した。
 人の名前など知識の記憶は海馬や大脳皮質に刻まれる。運動記憶は小脳で維持されるが、どのように身に着くのかは不明だった。2011.6.15

iPS細胞

2011年06月09日 | 科学
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を効率よく作り、がん化するおそれのある不完全な細胞の増殖を抑える遺伝子を、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授や前川桃子助教らのグループが見つけた。山中教授が発見した従来の4遺伝子の一つと置き換えると、iPS細胞の割合がマウスは約20%からほぼ100%、ヒトの細胞では約10%から約50%と純度が5倍になった。山中教授は「魔法の遺伝子だ。臨床応用に向け大きな前進になる」と話している。
 使ったのは、受精前とその直後の卵子で現れる「Glis1」という遺伝子。前川助教が、産業技術総合研究所のデータベースにある1400余りの遺伝子の働きを調べて見つけた。
 iPS細胞はこれまで、体の細胞に4遺伝子を入れてつくっていた。その一つ「c―Myc」はがん遺伝子として知られ、iPS細胞の作製効率を大きく高める一方、iPS細胞になり損ねた不完全な細胞も増やしてしまい、再生医療への応用の壁になっていた。
 マウスの実験で、4遺伝子を入れてできた細胞群のうち、iPS細胞の細胞群の割合は約20%だったが、c―Mycの代わりにGlis1を使うと、3回の実験いずれでもほぼ100%になった。ヒトの細胞でも、4回の平均が約10%から約50%に上がった。