幻の月 2003年02月28日 | 花鳥風月 あかいくだものをがりりと噛みました 濡れたくちびるがぬらぬらと光ります 柔らかい布でからだを拭きました こぼれる雫は誰の涙でしょうか 幻の月の影をぼんやりと眺めてます あらがえぬこの想いに心はくすぶります 雨が降る前の匂いを嗅ぎました 気付かれぬ花がひとりで咲いています のどにながれる水の冷たさ なだらかな坂の上をカラカラと歩いてます かわかない髪のままで何かを冷ますように 幻の月の影がどこまでもついてきます 鎮まらぬこの思いに心もあかくなるのです オカモトサダヨシ(2002)