天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

捏造説を“捏造”

2014年08月15日 | Weblog
NHK、STAP問題検証番組で小保方氏捏造説を“捏造”か 崩れた論拠で構成、法令違反も Business Journal 8月15日(金)3時0分配信 大宅健一郎/ジャーナリストより抜粋

7月27日に放送されたテレビ番組、NHKスペシャル『調査報告STAP細胞 不正の深層』では、小保方氏が若山照彦山梨大学教授の研究室にあったES細胞を盗み、それを混入させた細胞を実験に使っていたかのような内容だった。本番組には騒動の本質が詰まっているので、ここで番組の内容を検証してみたい。

●異様な番組内容
まず指摘したいのが、この番組の最後にあるべきクレジット(制作に関わった人物名)が一切出なかった、という点だ。NHKスペシャルでは毎回クレジットが流れるのだが、この放送回だけは流れなかった。匿名によるバッシングが公共放送で行われるという、異様さがさらに際立った結果となった。

また、番組タイトルで「不正」という文言が使用されていたが、一般社会で使用される「不正」には、自らの利益を優先した悪意ある行為、という意合いがある。しかし、サイエンスの世界での「不正」とは、作法に間違いがあった、手続きにミスがあった、という意味でも使用される。科学論文の世界では「不正」すなわち「ミス」が見つかることは少なくなく、「不正」の指摘があれば「正し」、さらに検証を受ける、という“手続き”の連続である。それが科学における検証のあるべき姿だ。その結果、再現性がなければ消えていく。科学は、そのような仮説と検証のせめぎ合いで発展してきた。むろん、今回のSTAP論文に画像の「不正」があったことは小保方氏も笹井氏も認めており、科学の手続きに則りネイチャーの論文も取り下げた。しかも「不正」と認定されたのは「画像の加工」であり、捏造を行ったという事実はどこにもない。
しかし同番組では、一般的な「不正」の意味、つまり「自らの利益を優先した悪意ある行為」という意味を含めており、番組構成も科学的検証とは程遠い、事件の犯人を追うような構成となっていた。

番組の冒頭部分で、このような場面があった。理化学研究所の発生・再生科学総合研究センターの見取り図がCGで現れ、小保方氏が実験していた場所へと画面が展開していく。「2人が共同で研究を進めたのは、C棟4階にあった若山研究室。小保方氏がいつもいたのは、壁で仕切られた小部屋。奥まった場所だった。ここで、一人、作業をしていたという。どんな実験をしていたのか…」小保方氏の研究場所を示すことに、何の意味があるのだろうか。

●法令違反の疑い
さらに次の場面で、驚くべきものが映し出される。NHKが独自に入手したという小保方氏の実験ノートのコピーである。これは明らかな秘密保持に対する法令違反である。理研の職員は準公務員であり罰則規定のある法律を順守しなくてはならない。

参考までに、独立行政法人理化学研究所法の第十四条、第二十三条を記載しておく。
・第十四条 研究所の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職を退いた後も、同様とする。
・第二十三条 第十四条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

さらに番組では、笹井氏と小保方氏が交わしたという私的なメールの文面まで公開され、しかも声優によるアフレコまで付けていた。これが「検証」となんの関係があるのだろうか。言うまでもないが、私信の公開は法令違反である。調査資料として秘匿すべき責務を負っている調査委員会からリークされたのは間違いない。罰則規定のある法令違反を犯しても、STAP論文の「不正」をゴシップ的に報道する理由はなんなのか?

ここで、NHKスペシャルの決定的な「誤り」を取り上げる。小保方氏による「ES細胞窃盗および捏造説」へとミスリードした内容である。番組では、論文執筆者の一人である若山氏が登場する。論文関係者では唯一インタビューに応じていた。そして、若山氏の3カ月に及ぶSTAP細胞検証実験の様子が映し出され、タイミングの良いことに、カメラは「STAP幹細胞が若山氏の渡したマウス由来でない証拠」が見つかった瞬間を捉えていた。さらに番組では、小保方氏の研究室の冷凍庫から容器が見つかった、と写真付きで解説し(この写真も内部からのリークである)、若山氏のもとにいた留学生の“証言”も放送された。留学生はES細胞を若山氏の研究室で作製し、若山研究室が理研から山梨大学に移った際に持っていったはずだと言い、次のように証言した。「びっくりした。小保方氏に渡したことはない」そして、ナレーションは次のように結んだ。「なぜ、このES細胞が、小保方氏が使う冷凍庫から見つかったのか。私たちは小保方氏に、こうした疑問に答えてほしいと考えている」NHKはこの質問の答えを求めて、ホテルで小保方氏をトイレまで追い詰めるという取材を行い、全治2週間の怪我を負わせた。

●論拠を失った「ES細胞混入説」に基づき番組構成
ここから同番組の決定的な「誤り」の部分だ。放送された7月27日に先立つ22日、若山教授がこれまで主張してきた「STAP幹細胞は若山研究室にないマウスに由来している」という解析結果が間違いだったと発表した。22日の時点で、解析結果が間違っており、STAP幹細胞が若山研究所のマウスに由来する可能性、つまり、小保方氏がES細胞を混入したことを“否定”する可能性を示していたのにもかかわらず、同番組は「ES細胞混入説」で押し通したのだ。ちなみに22日の時点で番組の編集が終わっていた、という理屈は通じない。なぜなら、小保方氏がNHKの執拗な取材で怪我を負ったのが23日だからだ。NHKは、なぜ直前に論拠を失った「ES細胞混入説」に基づき、番組を構成したのか。科学的な検証を行うならば、必ず指摘しなくてはならない矛盾だったはずである。しかも、小保方氏が「あるはずのないES細胞」を冷蔵庫に保管していた、という報道まで行って視聴者を捏造説へとミスリードした責任は大きい。

笹井氏は「不正」発覚後の4月の会見でも、STAP細胞の存在を信じていた。STAP細胞から生まれたキメラマウスにおいて、STAP細胞が胎盤にまで分化していたことは、ES細胞でも実現できないことだと当初から発言していた。笹井氏は再三「STAP現象を前提にしないと容易に説明できないデータがある」と語っていたのだ。
大宅健一郎/ジャーナリスト

幼稚化から退化へ

2014年08月13日 | Weblog
【産経抄】
一億総ガキ社会 8月13日
2014.8.13 03:15 [産経抄]
 例の号泣県議の会見以来、もはやどんな地方議員の失態が発覚しても驚かないはずだったが…。大阪維新の会の34歳の大阪府議が起こしたトラブルもまた、お粗末の一言につきる。
 ▼昨年、地元の祭りで知り合った女子中学生と、無料通信アプリ「LINE」でやりとりを続けてきたこと自体、首をかしげる。やがてグループからはずされると、脅迫まがいのメールを送るようになった。「絶対に許さない」「ただでは済まさない」。幹事長の松井一郎知事は、「大人として成長が足りない」と苦言を呈した。つまり、子供が府議を務めていたことになる。
 ▼議員だけではない。長崎県の小学校では、休み時間中に児童とゲームをしていた男性教諭が、「先生に負けたら窓から飛び降りてもらおうかな」などと発言していた。冗談だったとしても、この教諭は、「命の大切さ」をどのように伝えてきたのだろう。
 ▼日本社会の幼稚化が、指摘されて久しい。クレーマーやモンスターペアレントのように、何でも他人のせいにしたり、すぐに「キレ」たりする大人が増えた。子供時代は不登校やひきこもり、大人になってからは、出社拒否や「うつ」という形で現れる、「打たれ弱さ」も目立つ。危険な薬物への依存症も、深刻な問題だ。
 ▼精神科医の片田珠美さんによると、これらの社会問題の根源には、同じ病理が横たわっている。「自分は何でもできる」という幼児的万能感をいつまでも引きずる、「成熟拒否」の蔓延(まんえん)が、その正体だ(『一億総ガキ社会』光文社新書)。
 ▼片田さんは、成熟した大人になるためには、若い頃から転んでは起き上がる体験を繰り返すしかない、という。もちろん、敗者復活が容易な社会を築くことが、前提となる。

 「成熟拒否」してるうちに、もはや人としての成長システムが失われ、退化してしまいました。依存する知能だけが発達し、バランスは畜生以下。とりわけ、報道機関に依存することにおいて顕著。

この心情が正義です。

2014年08月12日 | Weblog
「疲れ切ってしまった」遺族が遺書とコメント2014.8.12 19:41 産経West

 今月5日に自殺した理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長の遺族は12日、代理人弁護士を通じ遺書の概要とコメントを公表した。遺書の概要として公表した文章は以下の通り。

遺書(概要)

 妻及び実兄宛の遺書として

 今までありがとう、という感謝の言葉と、先立つことについて申し訳ない、というお詫びの言葉が記されていました。
 また自ら命を絶つことになった理由については、マスコミ等からの不当なバッシング、理研やラボへの責任から、疲れ切ってしまったということが記されていました。
 遺書の趣旨は上記のようなものです。
 遺書の原文については、公開をすることは故人の遺志にそぐわないものであり、また、遺族の心情として耐えがたいことから、上記の範囲でのご説明にとどめさせていただきます。

「今は絶望しか見えません」遺族コメント
 笹井芳樹氏の遺族の代理人弁護士が明らかにした遺族のコメントは次のとおり。

 この度は、STAP論文問題及び笹井芳樹の突然の死去に関しまして、皆様には多大なるご迷惑と混乱を引き起こしましたことを深くお詫び申し上げます。
 1週間経った今も、私どもは心が混乱し、あまりに突然の出来事を受け入れることができないでおります。深い悲しみとショックで押しつぶされそうです。この半年があまりに長く、私どもも疲れ切っております。今は絶望しか見えません。
 理研及びCDBの職員・研究者の皆様には、このようなことになり、お詫びのしようもございません。皆様の動揺を思うと、胸がつぶれるほど辛いです。今は一日も早く、皆様に研究・業務に専念できる環境が戻ることを切に願うばかりです。
 理研の先生方、職員の皆様にはお一人お一人お会いしてお詫びの気持ちをお伝えしたいのですが、どうぞご無礼をお許しください。
 この度のことで、私どもも大変傷つき苦しんでいます。報道機関の皆様には、私どもの心情をどうかご理解いただき、またプライバシーにもご配慮いただき、これ以上の取材等は控えてくださいますよう、どうかお願いいたします。

 正すことができるのは、橋下氏しかいないように思われます。橋下さん、お願いします。

笹井氏自殺 直前放送のNスペが影響か

2014年08月08日 | Weblog
2014.8.7 20:58 産経izaより

笹井氏自殺で広がる波紋 直前に放送のNHKスペシャルが影響したのか…

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長(52)の自殺をめぐり、直前に放送されたNHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」の影響が取り沙汰されている。同番組は笹井氏が実験の不備を把握していた可能性をにおわすなど責任を追及。小保方晴子研究ユニットリーダー(30)にけがを負わせた強引な取材手法も問題となり、結果的に笹井氏を追い詰めたのではないかとの見方がある。

 NHKスペシャル「STAP細胞不正の深層」(7月27日放送)は論文問題を深く掘り下げ高評価を得たが、放送直前の23日に小保方氏を追いかけ回し、全治2週間とされるけがを負わせる“事件”を起こした。

 「科学文化部のエースのデスクが陣頭指揮を取り、かなり力を入れていた番組です。それなりにいいネタは入っていたが、パンチに欠けるという話になり、小保方氏か笹井氏の独占インタビューを柱にしたいとなった。それであの“小保方事件”が起きたんです。笹井氏にも何度も手紙を書いたり、メールを送ったりしていたが、メールが一通返ってきただけだった」(NHK関係者)
 小保方氏への直撃シーンは放送されなかったが、番組では、小保方氏の実験ノート2冊や2000ページに及ぶ内部資料を入手し、100人以上の関係者に取材をしたとして問題に斬り込んだ。
 笹井氏について、「論文執筆の天才」で交渉力に優れ、CDB全体の予算獲得を握っていたと紹介。3度掲載を断られた小保方氏の論文が英科学誌ネイチャー誌に掲載されたのは、笹井氏の協力が大きく、その背景には米国特許の本申請の締め切りが迫っていたことがあるとした。
 また、専門家らがSTAP論文を検証し、140あまりの画像やグラフの約7割に疑義や不自然な点があると指摘。キメラマウスに対して万能性の直接証明になる「TCR再構成」の詳しい記述がなく、専門家らは「何でこのデータを調べないのか」と指摘し、笹井氏が実験の不備を知っていた可能性をにおわせた。
 独自入手した小保方氏と笹井氏のメールの中身も公表。笹井氏の「小保方さんとこうして論文準備を出来るのをとてもうれしく、楽しく思っており、感謝しています 笹井」というメールに対して、小保方氏が「寒い日が続いておりますが、お体いかがでしょうか?(中略)Figの仮作りが出来そうですので、また近いうちにご相談に伺わせていただけないでしょうか?」と返信したものだ。男女のナレーターが読み上げ、生々しくやりとりを再現させた。

 理研関係者によれば、3月に1カ月ほど入院し、最近では電話にも応じないなど、心身が一層不安定な状態にあったという笹井氏。メールの公表などがショックとなり、自殺の引き金の一つになった可能性はあるのだろうか。

 精神科医の和田秀樹氏は、自殺の背景について、こう指摘する。
 「笹井氏は心身のバランスを崩し、鬱状態にあったとみられる。NHKの番組で悲観して自殺した可能性は否定できないが、世の中には知る権利があり、笹井氏が病気だと公表していなかった時点で、論文問題の責任を追及されるのは仕方がないだろう。ただ、科学界では、仮説を立てた人が、それを証明した人よりも価値を認められることがある。一連のSTAP細胞報道では仮説の価値が全く評価されず、笹井氏の研究的野心などばかりがクローズアップされてしまった」~抜粋ここまで

 普通、病気だと公表するのでしょうか。小保方氏と笹井氏の状態は同じ人間なら容易に想像できます。プライベートなメールの公表は、了解を得ていないものと想われます。
 こんなことされて、おかしくならない人はいないでしょう。そんなことさえ、わからない社会です。
 人をけがさせ、死に追い遣り、それが自分のせいでも、誰も何も思わない社会です。