深い森の中に、子供時代に誰でもが頭に浮かぶビジョンを、一人実現し続けている。こうなるとアート作品、ジェーコブ(Jacob W. H.)自身の言葉によると「住まうことができる彫刻」と言った方が良いかもしれない。日々アーテストが作品づくりに取り組むように、太平洋に面したワシントン州オリンピアの奥深い森の中、魅惑的なスモールキャビンを作り続けている。現代にも、コツコツと拾い集めた石で理想宮を作り上げた郵便配達員シュヴアルのような、夢につかれた人がいる。 →郵便配達員シュヴァル←
最初に紹介しているスモールキャビンの外観は、周りのアメリカ杉に覆われた森の景観ともマッチして、ファンタジーノベルにでも出てきそうな雰囲気。上からの映像を見ると分かるが、全体の構造は十字架状をしており、鋭い傾斜角の屋根とともに、まさしく森の中のカテドラルといった感じである。室内の屋根の真ん中には十字架が取り付けられており、さりげなく彼の信仰の在り処を語っている。材料は街の建物から集めて来た廃材を用いているが、屋根には、森から集めて来た苔をベールのようにかけていて、それが妖精の住まいのような趣きを醸している。
今、建築中の最新のキャビンは、八角形の建物で、特徴的な屋根はピラミット型で王冠のようにも見える。近くを散歩する人が、木々の間に振り仰いで見て、唐突にこれら不思議な建物に出会い、驚いて喜んでくれることが何よりも嬉しいという。「手を見つめた時に、この手が何を成し遂げて来たか、私の歴史が浮かび上がってくる」と、創り続けることから生まれる喜びを、目を輝かせて語る彼の表情がいい。何の利害や作為もなく夢に取り組む、名もなき者でありながら、彼は本当の意味でアーティストの名に値する
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