祐さんの散歩路 Ⅱ

日々の目についたことを、気ままに書いています。散歩路に咲く木々や花などの写真もフォトチャンネルに載せました。

・ モンサント保護法の削除

2014-06-11 03:22:57 | 健康
ネット上にモンサント保護法に関する記事がありましたので、転載します。
アメリカでもモンサント社の遺伝子組換えは問題視されていたんですね。まともな議員もいて、まともな仕事をしているんですね。日本の自民党を初めてとする国会議員とは大違いのようです・・・・・

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


朗報です。遺伝子組み換え企業保護付帯条項を削除する法案が米国上院で審議されていたのですが、これが先日に米国議会で可決されました。
GM企業保護付帯条項が付いている法案の正式名称は「包括予算割当法案」で、第735条に「健康を害する懸念がある遺伝子組み換え作物の種子でも、法的に差し止めることができない」と書かれていることから、モンサント保護法と言われています。

ロシアでは遺伝子組み換え食品の全面禁止を検討していますし、EUや南米などでも同様の動きが出ており、遺伝子組み換えへの反発は世界規模に拡大中です。
ただし、日本は例外で、遺伝子組み換えの輸入緩和を考えています(苦笑)。

当初、アメリカの議会はモンサントを支援する動きを見せていたようなのですが、米国民の反発が予想以上に強烈だったことから、オバマ大統領が署名をしたモンサント保護法を破棄する方向に話が進み、今月に達成することが出来ました。

海外の報道によると、「9月30日頃を目処にモンサント保護法は完全撤廃されるだろう」とのことで、今月中には米国からモンサント保護法が消滅する方針のようです。
もっとも、小国でクーデター騒ぎを引き起こすほどの権力を持っているモンサント社が、このまま黙っているとも思えませんが・・・。


☆The People Triumph Over Biotech: Monsanto Protection Act Defeated in Senate
URL http://www.theorganicprepper.ca/the-people-triumph-over-biotech-monsanto-protection-act-defeated-in-senate-09252013
引用:
Finally, it seems like we have the attention of some of the members of Congress. As the result of an enormous outcry, the Senate voted down the rider that was recently approved by the House of Representatives. The rider would have continued Big Biotech’s immunity against prosecution resulting from their toxic farming practices and questionable crops.

As of September 30th, the so-called Monsanto Protection Act will be dead. This is a major victory for anti-GMO activists as it is the first time that Congress has decided in favor of the constituents as opposed to companies like Monsanto, Sygenta, Bayer, and Dow.


“That provision will be gone,” said Sen. Mark Pryor (D-Ark.), confirming the change to POLITICO. The Center for Food Safety, a Washington-based non-profit, welcomed the decision as “a major victory for the food movement” and “sea change in a political climate that all too often allows corporate earmarks to slide through must-pass legislation.”

“Short-term appropriations bills are not an excuse for Congress to grandfather in bad policy,” said Colin O’Neil, director of government affairs for the Center. (source)

The Monsanto Protection Act was passed last spring as a rider sneakily put into place by Senator Roy Blunt of Missouri (Monsanto’s home base, incidentally.) It was passed by both the House and the Senate (see who voted for it HERE) , and then signed into law in a final act of betrayal by President Barack Obama, despite public outcry that the rider made the biotech industry untouchable and not subject to legal action regardless of the damage caused.
:引用終了

・ 憲法改正案(自民党の改悪チェック)

2014-06-04 14:21:43 | 日本を変える制度作り
憲法改正案1

安倍政権や自民党のおかしなことがたくさん目につくが、今、自民党が検討している憲法改正案(平成24年4月27日決定案)を見ると驚く・・・・・・何のことは無い、肩で風を切って歩いているチンピラ兄ちゃんと大差ないだろう・・・・

全てをまとめると時間がかかるので少しづつ書いていこう。まず、前文である。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

前文(現憲法)
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に 除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

これに対して、
前文(自民党改正案)
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この前文の段階で、360度違う世界を表示しています。現憲法では1番に「主権は国民にあることを宣言する」といっています。即ち一番重要な事は、主権が国民にあることを強調しています。しかし自民党案は「国民統合の象徴である天皇を戴く国家」であることを優先的に述べています。これは意図的に国民主権より天皇を強調しています。ましてや、天皇に関しては現憲法では前文に一切出てきません。これは、次の第1章で出てきますが、天皇に権力を持たせる考えです。国民主権と短い言葉にして軽く扱い、三権分立で天皇をトップにおいた組織で、国民を統治することを考えているようです。(時代錯誤も甚だしい。明治時代に戻るようです。)

現憲法では「正当に選挙された国会における代表者」を削除しています。今現在が違憲状態で選挙をしていますので、現在の国会代表に施政をする権利はありません。それを誤魔化すために削除しています。もっと後には、衆議員の任期までも勝手に変えられる文言が付け加えらています。要は何をやっても俺の勝手だろう・・・・レベルの内容です。

更に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という文言も削除。現状がそうですが、他国の感情を壊すことを政府関係者がしておいて、相手国がさも問題があるような雰囲気を作って戦闘準備に入ろうとしています。先日できたNSCのメンバーで、戦争の決定をするためにも、自民党にとってこの文言は削除しておかねばなりません
そして自民党案には「自ら守り・・・」「家族や社会がお互い助け合って・・・・」と入れています。正に戦争状態になった場合、「自ら兵隊になって戦え」「大変なことになっても、みんなで我慢せよ」と言っています。

国民の代表者がこれを行使し、「その福利は国民がこれを享受する」と現憲法では書かれていますが、これを削除し代わりに、自民党案では「活力ある経済活動を通じて国を成長させる」と入れています。現憲法において代表者は国民のために奉仕をしなさい。努力して得た結果は広く国民が享受するのだと書いていますが、それを自民党案では「国を成長させる」と置き換えています。即ち、代表者は利益の出る企業のみに優先的に活動し、国民の生活が苦しくなっても関知しないと言っている訳です。これを見ると、現状の流れがよく分かりますね。中小企業以下で働く国民が圧倒的に多い中、そこの企業は利益が出ないので無視しておいて、大企業のみが利益が出る仕組みを作っていますね。法人税はどんどん下がるが、国民の保険料や税金は上げる一方・・・尚且つ円安に強引に持ち込んで、輸出企業は大儲けしているが、国民の生活は物価が上がり実質的にはレベルダウン・・・・・・官僚・政治屋・大企業がつるんで利権にありつこうとしている訳です。

最後に「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成」とある日本の平和や世界平和を願う文言を削除しています。自民党案には「平和主義」という似た臭い文言が入っていますが、その内容は全く違いますね。現憲法では、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有すること」の目標に向かう事を誓っていますが、自民党の平和主義は意味が全く違います。積極的平和主義と言葉をきれいに見せていますが、その意味はどんどんこちらから武力を持って規制して行こうという事です。紛争が起きそうであれば、それを感知して事前に武力で持って抑え込もうというのが、積極的平和主義ですね。要は、その結果武力衝突が起きても、相手にやられるよりは被害が少ないという考えですね・・・・・・

前文だけで、これほどの違いを変更しようとしています。この後、憲法11章の百項目以上を見ていくと気が遠くなりそうですね・・・・頑張ろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第1章 天皇(現憲法)
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

次に自民党改正案を載せる
第1章 天皇(自民党改正案
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以前に元首相の鳩山は「宇宙人」と呼ばれたが、安倍のボンボンはそれを遙かに超えていますね。もうほとんど「猿の惑星」レベル。一挙に明治時代へ逆行・・・・・
現憲法では主権を国民において、天皇は象徴であるとしていますが、自民党案は明治憲法(=帝国憲法)の「元首」に戻しています

元首の発想は国家有機体説からであり、その意味は「国家をひとつの生物であるかのようにみなし、その国民は生物とみなした一部分を分担するものである」という考えです。その生命体の頭の部分が元首だという事です。すなわち頭(元首=天皇)が言ったことを、国民は言われた通りすればよいという事になります。更に、一部の国法学者によると「単に法的組織だけでなく、文化的多様性をもった歴史的存在としての論理的・精神的な生命体」としています。この考え方は「前文」にもあります。自民党改正案の前文に「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち」と書き始め「天皇」に結び付けています。

「国民に主権があることを宣言する」と謳っている現憲法から見ると、完全に正反対の考え方です。これが、長年研究し続けてきた自民党の最新版なのです・・・・・・理解できないですね!というより、自民党とはこのような党であり、全ての言葉をオブラートで包んでいるが、その実態はとんでもない政党であるという事でしょうね。「前文」「第1章」でこのレベルですから、第11章までには信じられないことがたくさん出てくるのでしょう・・・・・・

・ 日本のみかん輸入禁止

2014-06-04 14:03:11 | 健康
My News Japan に国産ミカンの危険性について書かれた記事がありました。通常、国産は安全と思っていましたが、必ずしもそうでなくなってきていますね。農薬の扱いや放射能汚染による基準などはEUの方が、国民の健康を守るための基準がしっかりしているようです。転載します。


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


安全な国産みかんはこう選べ!――EUが禁止した危険農薬検出で台湾が日本産みかんを廃棄、大一つで子どもに健康リスク

05:00 03/30 2014   植田武智


台湾で農薬が検出された日本産みかんでは、子どもにみかん1個以上で健康リスクが出る量。その農薬「メチダチオン」は世界的に製造中止になったものを、全農が独自に製造販売し続けている。商品名は『スプラサイド』。

農薬
 

 今年2月、台湾に輸出された日本産みかんから多量の農薬「メチダチオン」が検出され廃棄処分となった。子どもが1個以上食べると急性参照用量を超える残留量だった。欧州連合(EU)はこの農薬を2004年に使用中止とし、2012年には輸入モノの基準値を日本の250分の1にまで厳しく下げた

ところが、消費者の健康より農家・農協の利益を重視する日本は、台湾の5倍、EUの250倍という甘い基準を放置。その製造元・スイスのシンジェンタ社は、世界的な使用量減少で2011年に製造中止したが、日本国内だけは全農(JA)が登録・製造・販売の権利を買い取り農家に提供し続けている。5大産地県の農協に取材すると、いずれもメチダチオンを使用。安心をうたう生協&宅配業者の間でも、「大地を守る会」は不使用、「らでぃっしゅぼーや」は使用、など対応が分かれた。海外並みの安全安心を確保したいかたは、一覧表にまとめたので消費行動に反映してほしい。

※「大地を守る会」は取材に対し、現在は不使用と答えたものの、公式な使用禁止農薬リスト内で、メチダチオンを「『果樹』『パイナップル』のみ使用可」と発表していることから、突然、使用を再開するリスクがある。(2014年4月2日編集部追記)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【Digest】
◇台湾で日本産みかんから農薬メチダチオン検出で廃棄処分へ
◇日本のみかんの残留基準値では急性参照用量の4.8倍超過
◇EUでは残留基準値を250分の1に
◇世界的には製造中止も、日本だけ全農が製造販売続行
◇有田みかんも愛媛みかんも、メチダチオン使用
◇大地を守る会は不使用、パルシステムは選択式、残りは…
◇厚労省「急性参照用量」を正式決定
◇クロチアニジンの基準値案の慢性・急性ばく露評価試算
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

台湾で日本産みかんから農薬メチダチオン検出で廃棄処分へ 今年の2月6日に台湾で日本産みかんからメチダチオンという農薬が1.4ppm(みかん1㎏あたり1.4㎎)検出された。台湾での残留基準は1ppmだったため、廃棄処分となった。

台湾での日本産みかんの残留農薬量では、急性参照用量を超過。筆者試算。
その同じ農薬残留量の日本産みかんを、一度に大量に食べた場合のリスクを検討したものが、下図である。
農薬残留

ミカンの国民全体の最大摂取量(※一度に食べる量)は326.4g(大体3~4個分)に設定されており、その量を食べた場合、急性参照用量(ARfD)の1.35倍になる。1~6歳の小児に限定した場合、3.8倍にもなり大幅に超過する。

※これは、下記に紹介する3月8日に厚労省が正式に導入を決定した急性参照用量の評価制度に基づいて、筆者が試算したもの。大人の場合、だいたいLサイズのミカンを4個、子どもではLサイズ1個と少し、で健康への影響が懸念されることになる。


◇日本のみかんの残留基準値では摂取許容量の4.8倍超過このメチダチオンという農薬の、日本でのみかんへの残留基準値は5ppm(みかん1㎏あたり5㎎)だ。
台湾の基準値は1ppmであったため廃棄処分にされたが、同じものが日本で売られていても、違法にはならない

ミカンは皮をむけば大丈夫では?と思われるかもしれない。確かに残留農薬は皮の方に多く残っていると考えられる。しかしこの農薬メチダチオンは浸透性があり葉から植物の中に入って殺虫効果を持続させる。下記に紹介する欧州連合(EU)での評価でも、皮を取り除くことでの農薬の減少率のデータが無いので、安全側に立って減少率なしと仮定して評価してある。ちなみに日本の残留農薬検査法では、みかんだけは皮を向いた可食部で検査することになっている。台湾の検査法がどうなのかは不明だ。


EUでは残留基準値を250分の1に
そもそもこの農薬は世界的には使用削減の方向にある。欧州連合(EU)では2004年に登録を抹消し、使用できなくなった。ただその後もEUでは、輸入かんきつ類に対する残留基準値は、日本と同様の5ppmが設定されていた。

しかし2010年に人への健康影響を再評価したところ、5ppmでは急性参照用量やADIも超えてしまうことが判明。2012年に残留基準値を大幅に引き下げた。かんきつ類の残留基準値は250分の1である0.02ppmにまで引き下げられた。


世界的には製造中止も日本だけ全農が製造販売続行
世界的に使用量が減少したため、製造メーカーのスイスのシンジェンタ社は、2011年に、製造中止を発表した。しかし、なぜか日本でだけは、販売が続いている。と言うのも全国農業組合連合会(全農)が、このメチダチオンは、日本のかんきつ類などの果樹栽培や茶栽培でのカイガラムシ防除には必須だとして、日本での登録・製造・販売の権利を2012年1月にシンジェンタ社から買い取ったのだ。

2012年10月からは、全農の子会社であるクミアイ化学工業(株)が製造し、全農を通じて販売し続けている。農業協同組合新聞では、その農協の対応の早さをほめたたえる記事を掲載している。

全農は日本の農産物は世界一だと豪語するが、ミカンは世界一危険かもしれない。消費者の安全より農家の利便性を優先するJAの体質がよく表れている。


有田みかんも愛媛みかんも「メチダチオン」使用
食品添加物と違って、栽培中の農薬の情報は、商品には表示されていない。消費者としてはどのような対策が可能だろうか?以産地による差や、こだわりの農産物宅配会社を取材した結果が、以下である.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。





・ 大飯原発運転差し止め判決

2014-06-03 03:28:05 | 原発事故
2014年5月21日に大飯原発運転差止判決が出されました。その判決文は非常に明快に問題点を指摘し、憲法に照らして「直接的に基本的人格権が侵害される危険がある」としています。その内容は、事実を元に国民の権利と安全性を確保するために分かり易く説明されています。以下にその判決文を掲載します。


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大飯原発3 , 4 号機運転差止諸求事件判決要旨
主文
1 被告は, 別紙原告目録1 記載の各原告(大飯原発から2 50 キロメートル圏内に居住守る1 6 6 名)に対する関係で,福井県大飯郡おおい町大島1 字吉見1 - 1 において, 大飯発電所3 号機及び4 号機の原子炉を運転してはならない
2 別紙原告目録2 記載の各原告(大飯原発から25 0 キロメートル圏外に居住する2 3 名)の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は, 第2 項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。

理 由
1 はじめに
ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命,身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には,その被害の大きさ,程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは, 当然の社会的要詣であるとともに, 生存を基礎とする人格権が公法, 私法を問わず, すべての法分野において, 最高の価値を持つとされている以上, 本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
個人の生命,身体,精神及び生活に関する利益は,各人の人格に本質的なものであって,その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利で、あり(1 3 条, 2 5 条) , また人の生命を基礎とするものであるがゆえに, 我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって,この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは,人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが, その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき,その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。


2 福島原発事故について
福島原発事故においては, 1 5 万人もの住民が避難生活を余儀なくされ,この避難の過程で少なくとも入院患者等6 0 名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに,原子力委員会委員長が福島第一原発から2 50 キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって, チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。
年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり,どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが,既に20 年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国, ベラルーシ共和国は, 今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え,住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は,放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250 キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが,だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである。


3 本件原発に求められるべき安全性
(1) 原子力発電所に求められるべき安全性
1 , 2 に摘示したところによれば,原子力発電所に求められるべき安全性,信頼性は極めて高度なものでなければならず,万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。
原子力発電所は,電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが,原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条) .原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法2 2 条1 項)に属するものであって, 憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ,大きな自然災害や戦争以外で,この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は,その存在自体が憲法上容認できないというのばが極論にすぎるとしても,少なくともかような事態を招く具体的危険性が万がーでもあれ,その差止めが認められるのは当然である。このことは,土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら,侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば,侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比じても明らかである。
新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから, 新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には,その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を悔める。しかし,技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には,技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから,この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり,危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではなし、かといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは,福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては,本件原発において, かような事態を招く具体的危険性が万がーでもあるのかが判断の対象とされるべきであり,福島原発事故の後において, この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。

(2) 原子炉規制法に基づく審査との関係
(1)の 理は,上記のように人格権の我が国の法制における地位や条理等によって導かれるものであって,原子炉規制法をはじめとする行政法規の在り方,内容によって左右されるものではない。
したがって,改正原子炉規制法に基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電力会社の自主的判断に委ねていたとしても,その事項についても裁判所の判断が及ぼされるべきであるし,新規制基準の対象となっている事項に関しでも新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく, (1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる


4 原子力発電所の特性
原子力発電技術は次のような特性を持つ。すなわち,原子力発電においてはそこで発出されるエネルギーは纏めて膨大であるため,運転停止後においても電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならず, その聞に何時間か電源が失われるだけで事故につながり,いったん発生した事故は時の経過に従って拡大して行くという性質を持つ。このことは,他の技術の多くが運転の停止という単純な操作によって,その被害の拡大の要因の多くが除去されるのとは異なる原子力発電に内在する本質的な危険である。
したがって,施設の損傷に結びつき得る地震が起きた場合,速やかに運転を停止し,運転停止後も電気を利用して水によって核燃料を冷却し続け,万が一に異常が発生したときも放射性物質が発電所敷地外部に漏れ出すことのないようにしなければならず,この止める,冷やす,閉じ込めるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれることとなる。仮に,止めることに失敗するとわずかな地震による損傷や故障でも破滅的な事故を招く可能性がある。福島原発事故では,止めることには成功したが,冷やすことができなかったために放射性物質が外部に放出されることになった。また, 我が国においては核燃料は,五重の壁に閉じ込められているという構造によって初めてその安全性が担保されているとされ,その中でも重要な壁が堅固な構造を持つ原子炉格納容器であるとされている。
しかるに,本件原発には地震の際の冷やすという機能と閉じ込めるという構造において次のような欠陥がある。


5 冷却機能の維持について
(1) 1 2 6 0 ガルを超える地震について
原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流電流によって水を循環させるという基本的なシステムをとっている。1 2 60 ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し,非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり,メルトダウンに結びつく。この規模の地震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告において自認しているところである。
しかるに,我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから,その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって,仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。確かに地震は太古の昔から存在し,繰り返し発生している現象ではあるがその発生頻度は必ずしも高いものではない上に,正確な記録は近時のものに限られることからすごると,頼るべき過去のデータは極めて限られたものにならざるをえない。したがって,大飯原発には1 260 ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。むしろ,①我が固において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022 ガルであり. 1 260 ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること,②岩手宮城内陵地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陵地殻内地震であること,③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず,若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること,④この既往最大という概念自体が,有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると. 1 26 0 カソレを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。

(2) 700 ガノレを超えるが1 260 ガルに至らない地震について
ア)被告の主張するイベントツリーについて
被告は. 700 ガルを超える地震が到来した場合の事象を想定し,それに応じた対応策があると主張し,これらの事象と対策を記載したイベントツリーを策定し,これらに記載された対策を順次とっていけば. 1 260ガルを超える地震が来ない限り,炉心損傷には至らず,大事故に至ることはないと主張する。
しかし,これらのイベントツリー記載の対策が真に有効な対策であるためには,第1 に地震や津波のもたらす事故原因につながる事象を余すことなくとりあげること,第2 にこれらの事象に対して技術的に有効な対策を講じること、第3 にこれらの技術的に有効な対策を地震や津波の際に実施できるという3 つがそろわなければならない。

イ)イベントツリー記載の事象について
深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を招いたり,事象が重なって起きたりするものであるから,第1 の事故原因につながる事象のすべてを取り上げること自体が極めて困難であるといえる。

ウ)イベントツリー記載の対策の実効性について
また,事象に対するイベントツリー記載の対策が技術的に有効な措置であるかどうかはさておくとしても,いったんことが起きれば,事態が深刻であればあるほど,それがもたらす混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原子力発電所の従業員に求めることはできない。特に,次の各事実に照らすとその困難性は一層明らかである。

第1 に地震はその性質上従業員が少なくなる夜間も昼間と同じ確率で起こる。突発的な危機的状況に直ちに対応できる人員がいかほどか,あるいは現場において指揮命令系統の中心となる所長が不在か否かは,実際上は,大きな意味を持つことは明らかである。

第2 に上記イベントツリーにおける対応策をとるためには、いかなる事象が起きているのかを把握できていることが前提になるが,この把握自体が極めて困難である。福島原発事故の原因について国会事故調査委員会は地震の解析に力を注ぎ,地震の到来時刻と津波の到来時刻の分析や従業員への聴取調査等を経て津波の到来前に外部電源の他にも地震によって事故と直結する損傷が生じていた疑いがある旨指摘しているものの,地震がいかなる箇所ほどのような損傷をもたらしそれがいかなる事象をもたらしたかの確定には至っていない。一般的には事故が起きれば事故原因の解明,確定を行いその結果を踏まえて技術の安全性を高めていくという側面があるが,原子力発電技術においてはいったん大事故が起これば,その事故現場に立ち入ることができないため事故原因を確定できないままになってしまう可能性が極めて高く,福島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない。それと同様又はそれ以上に,原子力発電所における事故の進行中に、いかなる箇所にどのような損傷が起きておりそれがいかなる事象をもたらしているのかを把握することは困難である。

第3 に,仮に、いかなる事象が起きているかを把握できたとしても,地震により外部電源が断たれると同時に多数箇所に損傷が生じるなど対処すべき事柄は極めて多いことが想定できるのに対し,全交流電源喪失から炉心損傷開始までの時聞は5 時間余であり,炉心損傷の開始からメルトダウンの開始に至るまでの時間も2 時間もないなど残された時聞は限られている。

第4 にとるべきとされる手段のうちいくつかはその性質上,緊急時にやむを得ずとる手段であって普段からの訓練や試運転にはなじまない。運転停止中の原子炉の冷却は外部電源が担い,非常事態に備えて水冷式非常用ディーゼル発電機のほか空冷式非常用発電装置,電源車が備えられているとされるが,たとえば空冷式非常用発電装置だけで実際に原子炉を冷却できるかどうかをテストするというようなことは危険すぎてできようはずがない。

第5 にとるべきとされる防御手段に係るシステム自体が地震によって破損されることも予想できる。大飯原発の何百メートルにも及ぶ非常用取水路加一部でも700 ガルを超える地震によって破損されれば,非常用取水路にその機能を依存しているすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が稼動できなくなることが想定できるといえる。また,埋戻土部分において地震によって段差ができ,最終の冷却手段ともいうべき電源車を動かすことが不可能又は著しく困難となることも想定できる。上記に摘示したことを一例として地震によって複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり故障したりすることは機械というものの性質上当然考えられることであって,防御のための設備が複数備えられていることは地震の際の安全性を大きく高めるものではないといえる。

第6 に実際に放射性物質が一部でも漏れればその場所には近寄ることさえできなくなる。

第7 に,大飯原発に通ずる道路は限られており施設外部からの支援も期待できない。

エ基準地震動の信頼性について
被告は,大飯原発の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最大数値が700 であり,そもそも, 700 ガノレを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。しかし,この理論上の数値計算の正当性,正確性について論じるより, 現に, 全国で2 0 箇所にも満たない原発のうち4 つの原発に5 回にわたり想定した地震動を超える地震が平成1 7 年以後1 0 年足らずの間に到来しているという事実を重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてしまった理由については, 今後学術的に解決すべきものであって,当裁判所が立ち入って判断する必要のない事柄である。これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原発の地震想定が基本的には上記4 つの原発におけるのと同様, 過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず, 被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。

オ安全余裕について
被告は本件5 例の地震によって原発の安全上重要な施設に損傷が生じなかったことを前提に,原発の施設には安全余裕ないし安全裕度があり,たとえ基準地震動を超える地震が到来しても直ちに安全上重要な施設の損傷の危険性が生じることはないと主張している。
弁論の全趣旨によると,一般的に設備の設計に当たって,様々な構造物の材質のばらつき, 溶接や保守管理の良否等の不確定要素が絡むから, 求められるべき基準をぎりぎり満たすのではなく同基準値の何倍かの余裕を持たせた設計がなされることが認められる。このように設計した場合でも,基準を超えれば設備の安全は確保できない。この基準を超える負荷がかかっても設備が損傷しないことも当然あるが, それは単に上記の不確定要素が比較的安定していたことを意味するにすぎないのであって, 安全が確保されていたからではない。したがって,たとえ,過去において, 原発施設が基準地震動を超える地震に耐えられたという事実が認められたとしても, 同事実は,今後, 基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しでも施設が損傷しないということをなんら根拠づけるものではない

(3) 700 ガルに至らない地震について
ア施設損壊の危険
本件原発においては基準地震動である70 0 ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ, かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあると認められる。

イ施設損壊の影響
外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1 の砦であり, 外部電源が断たれれば非常用デイーゼル発電機に頼らざるを得なくなるのであり, その名が示すとおりこれが非常事態であることは明らかである。福島原発事故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による被害が事故に直結することはなかったと考えられる。主給水は冷却機能維持のための命綱であり,これが断たれた場合にはその名が示すとおり補助的な手段にすぎない補助給水設備に頼らざるを得ない。前記のとおり, 原子炉の冷却機能は電気によって水を循環させることによって維持されるのであって, 電気と水のいずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必至である。原子炉の緊急停止の際,この冷却機能の主たる役割を担うべき外部電源と主給水の双方がともに700 ガルを下回る地震によっても同時に失われるおそれがある。そして,その場合には( 2 ) で摘示したように実際にはとるのが困難であろう限られた手段が効を奏さない限り大事故となる。

ウ補助給水設備の限界
このことを, 上記の補助給水設備についてみると次の点が指摘できる。
緊急停止後において非常用ディーゼル発電機が正常に機能し,補助給水設備による蒸気発生器への給水が行われたとしても,①主蒸気逃がし弁による熱放出,②充てん系によるほう酸の添加,③余熱除去系による冷却のうち,いずれか一つに失敗しただけで, 補助給水設備による蒸気発生器への給水ができないのと同様の事態に進展することが認められるのであって,補助給水設備の実効性は補助的手段にすぎないことに伴う不安定なものといわざるを得ない。また,上記事態の回避措置として,イベントツリーも用意されてはいるが,各手順のいずれか一つに失敗しただけでも,加速度的に深刻な事態に進展し,未経験の手作業による手順が増えていき,不確実性も増していく。事態の把握の困難性や時間的な制約のなかでその実現に困難が伴うことは( 2 )において摘示したとおりである。

エ被告の主張について
被告は,主給水ポンプは安全上重要な設備ではないから基準地震動に対する耐震安全性の確認は行われていないと主張するが,主給水ポンプの役割は主給水の供給にあり,主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿であって,そのことは被告も認めているところである。安全確保の上で不可欠な役割を第1 次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして,それにふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解に苦しむ主張であるといわざるを得ない。

(4) 小括
日本列島は太平洋プレートダオホーツクプレート,ユーラシアプレート及びフィリピンプレートの4 つのプレートの境目に位置しており, 全世界の地震の1割がが狭い我が国の国土で発生する。
この地震大国日本において,基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上, 基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば, そこでの危険は,万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。


6 閉じ込めるという構造について(使用済み核燃料の危険性)
(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況
原子力発電所は,いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから,その構造は堅固なものでなければならない。
そのため,本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方,使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており, その本数は1 000 本を超えるが,使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない

(2) 使用済み核燃料の危険性
福島原発事故においては4 号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り,この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち,最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり,他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると,強制移転を求めるべき地域が1 7 0 キロメートル以遠にも生じる可能性や,住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250 キロメートル以遠にも発生する可能性があり, これらの範囲は自然に任せておくならば,数十年は続くとされた。

(3) 被告の主張について
つん
被告は,使用済み核燃料は通常4 0 度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが, 以下のとおり失当である。

ア冷却水喪失事故について
使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり,その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない
福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に固まれていなかったにもかかわらず4 号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと, あるいは瓦磯がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったことは誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。

イ電源喪失事故について
本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3 日を経ずして冠水状態が維持できなくなる。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず, 全交流電源喪失から3 日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが,堅固な設備によって閉じ込められていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。

(4) 小括
使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ,使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え,国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく, 深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。


7 本件原発の現在の安全性
以上にみたように, 国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると,本件原発に係る安全技術及び設備は,万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず,むしろ,確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めざるを得ない。


8 原告らのその余の主張について
原告らは,地震が起きた場合において止めるという機能においても本件原発には欠陥があると主張する等さまざまな要因による危険性を主張している。しかし,これらの危険性の主張は選択的な主張と解されるので, その判断の必要はないし,環境権に基づく請求も選択的なものであるから同請求の可否についても判断する必要はない。
原告らは, 上記各諸点に加え, 高レベル核廃棄物の処分先が決まっておらず,同廃棄物の危険性が極めて高い上,その危険性が消えるまでに数万年もの年月を要することからすると, この処分の問題が将来の世代に重いつけを負おせることを差止めの理由としている。幾世代にもわたる後の人々に対する我々世代の責任という道義的にはこれ以上ない重い問題について,現在の国民の法的権利に基づく差止訴訟を担当する裁判所に, この問題を判断する資格が与えられているかについては疑問があるが7 に説示したところによるとこの判断の必要もないこととなる。


9 被告のその余の主張について
他方,被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性,コストの低減につながると主張するが,当裁判所は,極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり, その議論の当否を判断すること自体,法的には許されないことであると考えている。コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが,たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても,これを国富の流出や喪失というべきではなく,豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり, これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
また,被告は, 原子力発電所の稼動がC0 2 排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが,原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって, 福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害,環境汚染であることに照らすと, 環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。


10 結論
以上の次第であり,原告らのうち,大飯原発から250 キロメートル圏内に居住する者(別紙原告目録1 記載の各原告)は,本件原発の運転によって直接的にその人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから, これらの原告らの請求を認容すべきである。

福井地方裁判所民事第2 部
裁判長裁判官樋口十央明
裁判官石回明彦
裁判官弓二由子








・ 「国連科学委員会」報告に異論相次ぐ。

2014-06-02 02:32:25 | 原発事故
国連科学委員会というところが、福島原発事故による国民への健康被害は無いとする報告書を国連に提出しています。過去のチェルノブイリ事故を見ても、あれだけ健康被害が発生しているのに、理解のできない結論を出しています。この報告書に対して、多くの科学者がその論理のおかしさを指摘します。・・・・・ネット上にある記事を転載します。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


■ 国連科学委員会の報告

10月25日、国連科学委員会は、現在開催中の68会期国連総会に、福島第一原発による放射線被ばくの程度と影響に関する調査報告を提出した。実は、この調査報告書、300ページ以上の別添資料を提出する予定だったが、汚染水問題その他、日本側の情報隠しがあったうえ、内部でとりまとめができず、別添資料の提出は見送られ、本文自体はとても短い。

しかし、とても短い本文についても、問題が多いのである。

一番おかしいと思うのは、以下の部分だ。

・ 「一般市民への被ばく量は、最初の1年目の被ばく量でも生涯被ばく量推計値でも、一般的に低いか、または非常に低い。被ばくした一般市民やその子孫において、放射線由来の健康影響の発症の識別し得る増加は予期されない。」(39パラグラフ)、

・ 「委員会は、福島県の成人の平均生涯実効被ばく線量は10 mSv以下であり、最初の1年の被ばく量はその半分か3分の1であると推定する。リスクモデルによる推定は癌リスクの増加を示唆するが、放射線誘発性の癌は、現時点では、他の癌と区別がつかない。ゆえに、この集団における、事故による放射線被ばくのせいである癌発症率の識別し得る増加は予期されない。特に、甲状腺癌リスクの増加は、乳児と小児において推測される。」(40パラグラフ)。

こんなことを言っている「国連科学委員会」とは何だろうか。

正式には、「原子放射線の影響に関する」科学委員会、という非常に限定された調査を行っている機関で、世界の一握りの科学者によって構成されている。原子力推進の科学者が多く名前を連ねていて、世界の民意を必ずしも正確に反映している民主的な機関とはいいがたい。ところが、その報告は、国連総会に提出され、国連総会で承認されると国際的コンセンサスのような扱われるので注意が必要である。

というのも、日本政府は、福島原発事故の「被ばく影響がほとんどない」とたびたび主張するのだが、その拠り所としてこれまでも、国連科学委員会に依拠してきたのだ。

10月24日に、日本の市民団体64団体は、このような調査結果が客観性・独立性・正確性において疑問があり、被ばくの過小評価が住民の保護や人権尊重に悪影響を及ぼしかねないことについて深刻な懸念を表明し、国連科学委員会と国連総会に対して、見直しを求める共同アピールを出した。

http://hrn.or.jp/activity/topic/post-235/(日本語)

http://hrn.or.jp/eng/activity/area/worldwide/japanese-civil-society-requests-that-the-reports-of-the-united-nations-scientific-committee-on-fukus/(英文・提出版)



そこで、問題点をみていきたい。

■ 調査の独立性の欠如

そもそも、国連科学委員会は、福島原発事故後、原発事故周辺地域に公式の事実調査に訪れたことはない

同委員会による放射性物質による汚染や公衆や作業員等の被ばく、健康影響について予測は、日本政府、福島県等から提供されたデータのみに基づいて行われている。

日本の市民社会や各種専門家は、日本政府の提供したデータとは異なる独立した調査や測定を実施しているが、委員会がこのような、政府から独立したデータ等を収集したり、独自の測定等を実施した形跡は認められない。これでは、日本政府から独立した客観性のある調査とは認めがたい。

福島県が全県民を対象に初期被ばくを推測する行動調査を実施したが、回答率は20パーセント程度にとどまっており、そのようなデータで初期被ばくについて推測することは到底できないはずである。また、政府が公表している放射線測定データについては、実態を反映していないとの強い批判が住民から上がっており、この点については、国連「健康に対する権利」特別報告者のアナンド・グローバー氏も、福島での現地調査の結果、モニタリングポストと現実の放射線量の乖離について指摘をしている 。

昨今の汚染水に関する事態が示す通り、日本政府の情報開示の姿勢には重大な問題があり、情報開示に関する透明性が確保されているとは認めがたい。政府のデータを信用して、被ばく影響を断じていいのだろうか? 科学委員会の調査は独立性を欠いている



委員会の結論が正確性を欠くこと

(1) 国連科学委員会は「一般市民への被ばく量は、最初の1年目の被ばく量でも生涯被ばく量推計値でも、一般的に低いか、または非常に低い。」とし、「福島県の成人の平均生涯実効被ばく線量は10 mSv以下最初の1年の被ばく量はその半分か3分の1であると推定する」という。

しかし、日本政府は、年間外部線量20mSvを下回ると判断された地域について避難指示を出していないのであり、事故後、相当数の人が既に年間で10mSvを超える外部線量に晒されてきた。委員会がいかなる根拠で上記のような推定をしたのか、根拠は今のところ示されていないが、この推定は現場の実態を正確に反映したものとは認めがたい。 

また、実効被ばく線量の平均値を根拠として、集団全体について健康影響がないと決めつけるのは、平均より高いリスクを負う人々への影響を、予断をもって切り捨て、検討対象から外す点で不当だ。

福島事故で放出された放射性物質は、広島型原爆の168.5倍と当初言われていたが、その後拡大を続けている。
汚染水に関しては、今年8月20日に東電が貯蔵タンクから300トンもの汚染水漏れがあったことを報告した。漏れた水の空間放射線量は毎時300ミリシーベルトだったと発表されている。こうした深刻な実情も十分に反映されていない。

(2) また、国連科学委員会は、乳児と小児の甲状腺がんリスクの増加を推測する一方、他のがんリスクの向上を「予期されない」とするが、これは、最近の疫学研究が低線量被ばくの健康影響を明確に指摘しているのに矛盾するものである

放射線影響研究所は広島・長崎の原爆被害者の1950 年から2003 年までの追跡結果をまとめた最新のLSS(寿命調査)報告(第14報、2012年) を発表している。この調査は、全ての固形がんによる過剰相対リスクは低線量でも線量に比例して直線的に増加することが指摘されている。 

カーディスらの行った15ヶ国60万人の原子力労働者を対象とした調査で、年平均2ミリシーベルトの被ばくをした原子力労働者にガンによる死亡率が高いことが判明している

BEIRをはじめとする国際的な放射線防護界は、100mSv以下の低線量被曝についても危険性があるとする「閾値なし直線モデル」(LNT)を支持しており、100mSv以下の被曝の健康影響を否定していない。

さらに、今年になって発表された以下の2論文は、低線量被ばくの影響について重大な示唆を与えている。

まず、オーストラリアでなされたCT スキャン検査(典型的には5~50mGy)を受けた若年患者約68万人の追跡調査の結果、白血病、脳腫瘍、甲状腺がんなどさまざまな部位のがんが増加し、すべてのがんについて、発生率が1.24倍(95%信頼区間1.20~1.29倍)増加したと報告されている 。また、イギリスで行われた自然放射線レベルの被ばくを検討した症例対照研究の結果、累積被ばくガンマ線量が増加するにつれて、白血病の相対リスクが増加し、5mGy を超えると95%信頼区間の下限が1倍を超えて統計的にも有意になること、白血病を除いたがんでも、10mGy を超えるとリスク上昇がみられることが明らかになった 。

科学委員会の見解は、低線量被ばくの影響を過小評価するものであるが、最近の疫学研究の成果は明らかにこれと反対の傾向を示している。科学委員会は最近の疫学研究を踏まえて、低線量被ばくについて、より慎重なアプローチを採用すべきであろう。 



■ 他の研究との整合性の欠如
健康影響がほとんどないとする科学委員会の見解は、WHOが2013年に公表した福島原発事故の報告書の予測とも著しく異なる

WHO報告書は、それ自体問題が多いと指摘されているが、それでも、「福島県で最も影響を受けたエリアは事故後一年の線量が12~25mSvのエリアだとして、白血病、乳がん、甲状腺がんとすべての固形がんについて増加が推測される。子どものころの被ばく影響による生涯発症リスクは男性の白血病で7%増加し、女性の乳がんで6%、女性についてのすべての固形がんで4%、女性の甲状腺がんで70%上昇すると予測される」とし、事故後一年の線量が3ないし5mSvの地域でも、その1/3ないし1/4の増加が予測される、としている。さらにWHO報告は、低線量被ばくに関する科学的な知見が深まれば、リスクに関する理解も変化する、と結論付けている。

さらに、科学委員会は、今回の国連総会に対する報告で、福島原発事故の影響と並んで、子どもに関する放射線影響に関する研究( Scientific Finding B. "Effects of radiation exposure of children")を紹介している。この研究は、子どもに対する放射線被ばく影響については予測がつかないことから、より慎重に今後研究を進めていくとしており、評価しうるものである。ところが、子どもに関する放射線影響に関する研究についての報告に貫かれている慎重な視点は、福島原発事故に関しては全く反映されておらず、報告書の文脈は分裂している。

科学委員会は、子どもに関する放射線被ばく影響に関する見解と統一性のあるかたちで、福島事故後の健康影響について再検討すべきではないか。



■ 国連人権理事会「グローバー勧告」を反映すべき

2013年5月27日、国連「健康に対する権利」に関する特別報告者アナンド・グローバー氏は、2012年11月の福島等での現地調査の結果を踏まえ、国連人権理事会に対し、福島原発事故後の人権状況に関する事実調査ミッションの報告書を提出し、日本政府に対する詳細な勧告を提起した。

特別報告者は、低放射線被ばくの健康影響に関する疫学研究を丁寧に指摘し、低線量被曝の影響が否定できない以上、政府は妊婦や子どもなど、最も脆弱な人々の立場に立つべきだと指摘し、「避難地域・公衆の被ばく限度に関する国としての計画を、科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間1mSv以下に低減するようにすること」(勧告78(a)) を勧告した。また、帰還について「年間被ばく線量が1mSv以下及び可能な限り低くならない限り、避難者は帰還を推奨されるべきでない」と指摘し、避難等の支援策や、詳細な健康検査は、年間1mSv以上の地域に住むすべての人に実施されるべきだと勧告した。

同報告は、最も影響を受けやすい脆弱な立場に立つ人に十分な配慮をして、健康に対する権利の保護のための施策を求めたものであり、日本の市民社会はこれを歓迎している。

ところが、日本政府は、国連科学委員会の見解に依拠して、グローバー勧告は「科学的でない」としてその勧告のうち多くについて受け入れを拒絶している状況にある。国連科学委員会の見解が低線量被ばくを過小評価する結果、被害者救済や健康に対する権利を保障する政策にマイナスに働くような結果を招来することは、本来国連の意図するところではないと考えられる。

国連科学委員会、そして国連総会は、人権の擁護という国連の根本的な目的に立ち返り(憲章1条)、人権の視点に立脚した意思形成をすべきであり、科学委員会および国連総会の意思決定は、人権の視点に立脚したグローバー勧告を十分に反映するものであるべきである。



■ 異論が相次ぐ

このような理由で、日本の市民団体は、国連科学委員会と国連総会第四委員会に対し、人権の視点に立脚し、低線量被ばくに慎重な視点に立ち、また、調査・分析の公正・中立・独立性を重視する立場から、国連科学委員会の報告内容を全面的に見直すよう要請した。

24日には、東京でヒューマンライツ・ナウとFOE Japanの共催で記者会見をし、画像で見ていただくことが出来る。

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1662

http://www.ustream.tv/recorded/40122402

24日、ニューヨークでは、NGO「社会的責任を果たすための医師たち」とヒューマンライツ・ナウの共催で、国際会議が開催され、参加した国連特別報告者アナンド・グローバー氏も「このようなデータだけで将来にわたる低線量被ばくの健康影響をないと決めつけることはできない」と科学委員会の姿勢に疑問を呈している。

報道はこちら。

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/10/25/national/human-rights-experts-rap-u-n-report-on-fukushima-radiation/#.Umob86mCiI-

human-rights-experts-call-for-revisions-to-un-report-on-fukushima-radiation-2538523

http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20131025p2g00m0dm028000c.html



また、米国、フランス、イタリア、スイス、オランダ等欧米を中心とした科学者・医師らによるNGO団体も、同報告書に対して批判的見解を明らかにしている。

http://www.psr.org/assets/pdfs/synopsis-of-unscear-fukushima.pdf

日本語訳 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の国連総会への2013年10月のフクシマ報告書についての注釈付き論評

http://fukushimavoice2.blogspot.com/2013/10/unscear201310.html

10月25日の国連総会での議論では、ベネズエラ、アルゼンチン、中国などの政府代表が科学委員会のプレゼンテーションに疑問を呈し、もっときちんと調査すべきだという意見を述べたという。

今後、科学委員会は別添資料を12月頃までに提出、国連総会の承認を得ようとしているようである。

世界のどこかで、日本に関する重要な問題が、被災者や影響を受けた人々の意見を聞かないまま、当事者を排除して、一度も現地調査をしたことがない一握りの科学者によって決められ、いつのまにか国際的コンセンサスになっていく。

その結論は、福島では、健康被害は発生しない、被ばくや放射能汚染は深刻でない、というもの。

このままではよいはずはなく、継続的に監視し、現場から意見表明していく必要がある。