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どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

小早川家の秋、鑑賞

2024年06月15日 18時50分00秒 | 映画
ようやく...ってのが正直なところ。

友人と朝8時に待ち合わせ、上映時間は朝8時55分である...早すぎて参った(×_×)

真ん中あたりの席で前通路、良いハコだった。

待ちに待っただけあって、4Kデジタルリマスターの威力は絶大だった(*^o^*)

登場人物の小ジワやメイクの具合まで見てとれるほど...本当に素晴らしい。

本作で光る演技で印象深い新珠三千代さんの美しいこと(^_^)

往年の社長シリーズの小津版みたいな森繁久弥さんと加東大介さんのボケ・ツッコミに笑い、宝田明さんが駅のホームで司葉子さんに別れを惜しむシーンはジワリと来るものが...。

それにしても本作は「品行と品性」がテーマだったのかと改めて。

原節子さんが劇中セリフでそれを口にしているのはもちろんなのだが、中村鴈治郎さん演じる道楽モノっぷりが体現しているのだなと...。

いや〜いろんな意味で素晴らしかった!

今年後半にはBlu-ray出るのかなぁ...同じ東宝系の「宗方姉妹」の4KリマスターBlu-rayは出ているワケだし、期待しちゃうのだが(^_^;

次週はその「宗方姉妹」上映だ。

この6月は小津作品三昧!

アツイねぇ\(^o^)/



往年の田中絹代さん

2024年04月07日 19時55分00秒 | 映画
当時はねぇ、国民的な大スターだったと...。

ませガキのカツオは田中絹代さんの渡米を口にし、学校に呼び出された(...なぜか父母ではなく?姉の)サザエさんが注意されるというオチ。

記事にもあるが、田中さんは日本文化の象徴として米国へ親善大使として赴いた。

現代であれば、滞在の様子をリアルタイムで報じられるところだが、3ヶ月ほどで帰国した彼女の姿をみて日本の大衆は呆れ、やがて大炎上となった。

サングラスに派手なドレスを身に纏い、投げキッスまで...その毒されっぷりに腹が立ったというワケだ。

時は敗戦から4年...まだまだ大衆の心は大荒れでササクレの酷い時代。

こんな腐った田中絹代なんか見るに堪えない!という感じだったのだろう。

田中さんは自殺まで考えるほど追い詰められ、先行きがみえなくなるほどだったという。

その時期に出演した小津作品「宗方姉妹」がその空気感をよく出している。

作品のラスト...冷え切った関係に陥った夫と口論となり、妻である田中さんは強かに平手打ちをくらう。

それも7発も...このシーンは観ているこちらもズキッとくる。

この作品に登場する彼女は徹底的に古風な女性として描かれ、欧米文化とその流行にのるアプレな妹(高峰秀子さん)を批判的に見ている。

この設定に小津さんの気持ち...渡米後の変貌ぶりをリセットさせ元のイメージに戻す...そのため敢えてストレートな暴力も受けさせるという...。

作品は芳しくない評価と興行成績だったようで、その効果はどの程度のものだったかは判らない。

どちらかと言えば、その後の溝口健二作品で復活を遂げた感が強いが、小津ファンとしては同作が強い印象として残るものがあるのだ。



小津・黒澤、どっち?

2024年01月21日 16時50分00秒 | 映画
...では無いんだな。

まぁ、このアンケートの比率は判る気がする。

自分的には40代ころの比率だ。

10〜20代の頃は圧倒的に黒澤作品で、40〜50代を境に拮抗し、60代でに達した現在は小津作品にドップリだ。

それでも両者への愛着は変わらない。

21世紀の今日において、この鉄板具合に凄まじいものを感じるばかりだ。

ファンとしては、内容はともかく話題として取り上げてくれるだけでニヤニヤしてしまうのだ。



PERFECT DAYS、鑑賞2回目

2024年01月18日 20時15分00秒 | 映画
なぜだかまた無性に観たくなってしまい...。

公開から一ヶ月近くになってるし、平日だし、ガラガラだろうと高をくくっていたが、とんでもなかった。

半分に近いくらい席が埋まっていて驚いた。

客層はやはり中高年が大半だが、女性が3分の2くらい占めていたと感じた。

恐らくリピーターも少なくはないだろう...一度観て親しい誰かを誘いたくなる作風だしねぇ...。

女性に響くと作品の寿命は長くなる...ロングラン上映必至だろう(^_^)

2回目の鑑賞感覚は、1回目と全く違うものとなった。

繰り返される何でもない日常がとても愛おしく切なく沁みてくる...。

見慣れた、何でもない都心の風景が瑞々しく、キラキラとし、ドンドン胸に迫ってくる。

冒頭から涙目でスクリーンを見つめていた。

「平山さんに会いに行く」...確かにそんな感じでもあるのだが、一回目よりも背景に意識が向かっていったように思う。

おそらく元旦に起きた震災のせいだろう。

あの日から「日常」を奪われた人々を目にしない日は無い。

何も起きない日々がこんなにも大切で有り難いものなのだと、この映画「PERFECT DAYS」は教えてくれている...。

平山さんが早朝の陽を浴びつつ悲喜交々な表情を浮かべ、この映画は幕となる。

人生において...捨てたもの、失ったものは永遠に取り戻すことはできない。

なんでもない、ありふれたものほど、思い返すと尊いものだったと感じさせられるのだろう。



ゴジラ -1.0、鑑賞3回目

2024年01月16日 20時25分00秒 | 映画
マイナスカラー(モノクロ)版にて。

客層は中高年の男性のみw

まぁ...そうだろうなぁって感じ。

この作品はモノクロで正解!

有り得ないだろうけど、最初からこれで観たら随分と印象が違ったかもと思った。

終戦直後の焼け野原風景の生々しさ、そして艦船などのメカニックに重みが増し、CGとか合成感が薄れてて、とても良かった。

【山崎監督コメント】
長い間作業してもらっていた『ゴジラ-1.0/C』を発表できることとなりました。
ただモノクロにするのではなくそれこそカット単位で、新たな映画を創り上げるくらいの勢いでさまざまなマットを駆使しながら調整してもらいました。
目指したのはモノクロ写真の名匠達が撮ったような画調。
撮影されたデータに潜んでいた肌の質感や風景のディテールをこれでもかと発掘してもらいました。
するとそこにはドキュメンタリーの様な凄まじく恐ろしいゴジラが現れました。
色を無くしたことで新たに迫ってくる現実感。
ぜひ劇場で更なる恐怖に生きて抗って下さい。


その調整加減がどのようなものかが気になっていたのだが、確かに色味を感じさせるようにしていたと思う。

特に赤や緑にそれを感じた。

小津作品や黒澤作品における最初からモノクロで撮った作品でそういう風に感じることはないので、明らかに違うものがある。

円盤化の際には是非、カラーとモノクロ版をセットにして欲しいものだ。



PERFECT DAYS、鑑賞

2023年12月28日 20時39分00秒 | 映画
バタバタした時期で、映画を観るような悠長な時間を作るの難しかったが、もう今日しかないって感じで。

クルマで約30分、TOHOシネマズららぽーと冨士見へ。

ここでは小さめなハコである。

でもこの大きさがちょうど良いし、心地良い。

ほぼ満席という状態でちょっと驚いた。

客層は中高年以上の男女半々...大半が(自分もふくめて)シニア割の利用者だろう(*^o^*)

内容は期待を裏切ることなく、とても良い作品だった。

主人公は役所広司さん演じる平山、おそらく過去は派手で虚飾に満ちた世界に生きていた人なのだろう...その全てを捨て、ある意味で逃げ出した人のようだ。

全てにわたって彼の視点で描かれており、約一週間ほどの日常を淡々と追う。

朝起きて植栽に水をやり、缶コーヒーを飲みつつ、仕事に向かう。

そして銭湯で疲れを癒し、馴染みの居酒屋で一杯やって、夜は読書しつつ眠りにつく...スローライフというか...清貧と言えばそうなのだが、全ての束縛やシガラミから解かれ、こんな暮らしができれば良いなぁ...と憧れてしまうような不思議な気持ちで見入ってしまう。

その日々の反復の中に時折小さなズレを生じる。静かな池に小石が投げ込まれるように。

そこに物語がほんとに小さく仰々しくなく挟まれるのだ。

これがちょっとした刺激となって鑑賞者に心地良く響いてくる。

監督のヴィム・ヴェンダースさんは小津作品のフォロワーとして有名だが、聖地・東京を舞台に、日本人を描いていくことに喜びを感じながら作り上げたのが実感できる。

小津作品のモノマネはしていないが、シーン、カットのそこかしこにニヤリとさせられるエッセンスの散りばめが上手い!

アヤのキスは最高で、平山と一緒にこっちもニヤニヤしてしまった(*^o^*)

映像も良いが、音がとても良い。

平山の息づかい、環境音、そして小物類が立てる音...カセットのカシャカシャ、ポケットカメラのカシャッ。

何もかもが愛おしく「もののあわれ」として沁みてくる。

内容とは別になるが、スクリーン縦横比が4:3のスタンダードサイズだったのも素晴らしかったなぁ...。

小津安二郎メモリアルイヤー締めくくりとして、良い映画を観させてもらって充足感でいっぱいに...(´д`)

駐車場から夕陽に染まり金色に輝く風景が目に飛び込み、映画の続きを感じさせられた。

気分よく、帰途につく。




首、鑑賞

2023年11月24日 21時05分00秒 | 映画
新座で割引価格1000円で観てきた。

客入りはこんな感じ。

やはり、ほぼ中高年の男性。

北野武さんが30年暖め続け、黒澤明さん存命中にもプロット?など見せ、「七人の侍」以上の作品になるかも...と太鼓判をもらったという。

北野さんが時代劇作品を撮るのは二作目だし、一作目の「座頭市」は面白かったので、今回も期待した。

ストーリーは織田信長をめぐる明智光秀・羽柴秀吉・徳川家康などの重臣が右顧左眄しながら、裏で色んな謀をしあう...まぁこれだけなら散々今まで大河なんかの時代劇でやり尽くしてきたテーマだ。

この映画の主旨はそこにではなく、タイトルにもある通り斬首などのストレートな描写や、当時は普通に行われていたという武将間の同性愛を大胆に織り込んでいるところ。

武士道や特有の忠誠心は恋愛も大きく影響していただろうけど、明治以降はタブー視され、隠された関係性だ。

そこを切り口にしたのはとても興味深いし、期待もしていた。

だが...う〜む...どうも作品全体のテンポというか、テンションの上げ下げが平板で、観ていて引き込まれていく感じが薄く、中盤あたりから眠気を催してしまった(^_^;

斬首も含め、流血シーンも淡々と行われていくため、見慣れていくと刺激の度合いも薄れていく。

北野さんも「風雲たけし城」の殿にしか見えず、秀吉に見えない。

原作は北野さん自身によるものだが、あえて出演せず監督に徹した方が良かったんじゃないかなとさえ思った。

加瀬亮さん熱演の信長も狂気が過ぎて、なんだか空回りしていたなと。あんなんじゃ誰もついていこうと思えない。

対して浅野忠信さんの黒田官兵衛と、木村祐一さんの曽呂利新左衛門は役柄がとてもマッチしていて好感がもてた。

黒澤作品の影響も随所で感じられたが、作風の違いもあって上手く機能していたとは言い難い。

総じて...ハードルを上げすぎたためか、期待外れだったというのが正直なところだ。

物語として、どのキャラに感情移入できるでもなく、ドタバタやって、あっさり死ぬ。

臭いドラマが欲しいワケではないが、もう少し心に迫る何かが欲しかったなと。

北野さんのキレが鈍ってきているのか、囁かれている角川とのイザコザが影響しちゃったのか...。

まぁ...いずれにせよ1000円で見れてトントンって感じかな(^_^;



ゴジラ -1.0、鑑賞2回目

2023年11月08日 17時55分00秒 | 映画
弟と近場の新座で。

劇場でこれ以上観ることは無いだろうけど。

初回とは違って、肩の力を抜いて、ハードルも低くなってるしで楽しく鑑賞できた(^_^)

ゆる〜い気持ちで鑑賞すれば、雪風操艦もライド感タップリの震電飛行も許せちゃう(^_^;

シン・ゴジラと比較しちゃイケナイなと、あらためて。



ゴジラ -1.0、鑑賞

2023年11月03日 21時55分00秒 | 映画
初日で。

ららぽーと冨士見、DOLBY ATMOS上映。

客入りはまぁまぁ、老若男女バランスよく。

小学生低学年くらいの子連れもいたが、退屈そうだった。トーンが暗いドラマに耐えられないという感じで。

まだまだこれからなのでネタバレ的に詳細は避けるが、まぁまぁ無難にまとめたなというところか。

予告をみて、嫌な予感がしてたが、ちょっとその通りな感じではあった。

凄いシーンはほぼ見せちゃってて、意外性は薄く、衝撃はあまりなかった。

ゴジラ・ザ・ライドな乗りだったが、あまり好みな撮り方ではなかったし。

本作が「シン・ゴジラ」よりも前なら印象が変わってたかもしれないが、インパクトに欠けてしまったなぁと。

やはりこの監督は映画会社の言うことをよく聞く、優等生なんだなぁ。

会社は満足だろう。

「シン・ゴジラ」が異質すぎたのだ。

好みが分かれるとも言えるけど。

神木&浜辺の主役ペアは、朝ドラ「らんまん」と重なり、親しみはもてたが、展開に疑問は残る。

う〜む...映画作りってのは難しいもんだなぁと、あらためて考えさせられた。

弟や友人ともう一度観る機会もある。

細かい感想はまた後日にでも書こうかなと思う。



SHOULDERS OF GIANTS

2023年10月30日 17時30分00秒 | 映画
小津安二郎さんの体躯と精神みたいなのもの端的にあらわす、とても良いキャッチコピーかと(^_^)

学生時代に柔道で鍛えたその肩幅は逞しく、身長云々以上に大きく見えた人だったという。

それはともかく、今年生誕120年没後60年、そして東京国際映画祭において、まだなお凄まじい存在感を醸す映像の数々...。

そのカット、どのシーンを見ても、一発で小津さんのものと認識できる巨大な存在感とその個性。

俳優・役所広司さんによる抑揚をおさえたナレーションも素晴らしい。

退屈だと思っていた。
同じ事の繰り返しに過ぎないと思い込んでいた
それが大きな間違いだと気づいた時
巨大な宇宙が目の前に現れた

同じ事の繰り返しの中に
小さな波紋を感じたその時
その波紋はそのまま私の心を揺らした

まるでまだ誰もが眠っている早朝の霧の中の美しい池に
小さな石が落ちたように
そしてその波紋は永遠に続いている

SHOULDERS OF GIANTS

小津安二郎の恐ろしさは
一つの作品でそれを成し遂げただけでなく
同じような映画を作り続けることで
人生をかけて
美しき波紋を作り上げてきたことだ

映画は宇宙だ
その事を小津は教えてくれている

SHOULDERS OF GIANTS

巨人の肩にのって
映画の未来をみてみよう


中学生の時に出会い、ファーストインパクトでグサリと突き刺さったあの時の感想は「昔の映画って変」だった。

でもその認識は次第に間違っていたことに気づく。

「昔の映画って変」なのではなく、「小津安二郎の映画って変」だったのだ。

その「変」は私の中で、年数をかけて徐々に大きくなり、いまや虜となって抜け出せない沼のような存在になってしまった。

「SHOULDERS OF GIANTS」をみて、あらためて溜め息だ...(´д`)