80才のハツラツ日記

愈々名実共に80才を迎え、人一倍好奇心を燃やして、元気な行動の随筆日記です。

東野圭吾著「さまよう刃(やいば)」を読んで---著者の思い---

2011年04月05日 | 本の情報
この程、上記の角川文庫版を読み終えました。

このストーリーだけでなく、著者の他の作品を読んでみて、
犯罪に対する著者の深い思いを感じる事が出来ました。

加害者と被害者。(殺人の場合は、被害者の親族、
 それに加害者の親族も、広い意味で被害者と言えるでしょう)

事件の後、より大きな精神的被害を受けているのは、
間違いなく被害者の方だと思わざるをえません。


加害者の方はやがて事件の印象が薄くなって行くのに、
被害者は長期に亘ってその苦痛を味わう事になるのです。
(著書の「手紙」ではその状況がよく判ります)

特にこのストーリーでは加害者は二人の不良少年。法律では少年法で裁かれます。
残虐な獣の様な手段で最愛の娘を惨殺された父親は、警察が逮捕する前に、
自分が復讐(仇討)したい気持ちになるのは、当然の人情だと思います。

特に少年法で僅かな拘束期間で釈放されるならば尚更です。
著者は被害者の立場でこの矛盾を追及している様に見受けられます。


これは推理小説ですからネタばれにならない為に筋は書きませんが、
終局近く、迫真のサスペンスと大きなどんでん返しに唖然とさせられます。

重く哀しいテーマですが、流石と言うか心を揺さぶる傑作だと思いました。



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