80才のハツラツ日記

愈々名実共に80才を迎え、人一倍好奇心を燃やして、元気な行動の随筆日記です。

浅田次郎著「一刀斎夢録」を読んで

2011年03月02日 | 本の情報
新撰組3番隊長、斎藤一(はじめ)の自叙伝的時代小説。

時は大正の初め、明治天皇崩御直後の大喪の時期。

当時日本一の剣士となった近衛師団の梶原中尉が、ふとした縁で、
隠居の斎藤一に会いに行き、
七晩に亘って酒を飲みながら、詳細なその生き様を聞くのであります。

鳥羽伏見の戊辰戦争の発端から、次々と転戦して西南戦争に至るまで、
居合抜きの第一人者、斎藤が如何にして剣鬼として生き永ら得たのか、
赤裸々に語る物語であります。


著者の綿密な時代考証と、細部に亘って述べられる情景描写に、
正にその時代に遭遇して生きている様なと言いましょうか、

眼を瞑(つぶ)ると当時の江戸、明治の時代の光景が、
眼前に彷彿(ほうふつ)と浮かび上がるような気持ちになりました。

この斎藤の立ち振る舞いこそ本当の侍(サムライ)なのですね。
我儘で誰とも妥協せず、一匹狼の様で、正(まさ)しく剣鬼、そのものと言えましょう。

<fot color="purple">物語の中心には、新撰組に拾われた、
乞食の様な少年(土方の遺影を郷土に伝えた)に、
自分の剣の道の奥義を教え、自分はその剣に掛って死にたいと欲したにも拘わらず、


結末は西南戦争で正に慟哭の極みとなります。

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