ダンテの「神曲」に戻る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/b0/e6becb6a09cba61140857a650cde394f.jpg)
地獄の底へ底へと下降していくと、最下層に魔王ルチフェロ(サタン)が氷の中に永遠に閉じ込められている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/e6/df1cf34ab18b0752d87cb9071c441884.jpg)
【氷地獄コーキュートスの最深層にいる悪魔大王(ディーテ)。『神曲』地獄篇を描いたギュスターヴ・ドレの連作の34番。】
しかしながら、現在では、地球は中心へ行けば行くほど高温になり、中心部は5000K - 8000Kと推定されている(ウィキペディア「地球」より)。
ともあれ、この魔王ルチフェロはスペイン語では Lúcifer(ルシフェル)で、手元の西和辞典によると、同源同形のポルトガル語が室町時代に日本に入り、キリシタン用語「ルシヘル」になったとのことである。映画『沈黙」の中では「ルシヘル」という言葉は出てこなかったと思う。
さて、ダンテと案内人のヴェルギリウスは「魔王の体を足台としてそのまま真っ直ぐに反対側の地表に向けて登り、岩穴を抜けて地球の裏側に達する。そこは、煉獄山の麓であった」(ウィキペディア「神曲」)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/66/11155f83df4e8421f0cdea751355878c.jpg)
【煉獄の入り口(画:ギュスターヴ・ドレ)】
ということはイタリアの対蹠地(英 antipodes、西 antípoda)はニュージーランドの東海上になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/53/fb0f1a5b0200d238798ebcdd07771bee.jpg)
【対蹠地(たいしょち、たいせきち)マップ】
ダンテはてっきりイタリアの森に迷い込んだと思っていたのだが、煉獄はエルサレレムの対蹠地にあるとのこと(ウィキペディア「神曲」参照)。そうすると、対蹠地はニュージーランドの東海上をさらに東へ行くことになる。タヒチ島あたりだろうか。いずれにせよ、こんなところにたいした山はなさそうである。大体の場所でいいというのなら、イタリアの対蹠地はニュージーランドということになり、ここには山はある。ただ、ニュージーランドやタヒチなどに煉獄山があり、観光名所になっているという話は聞いたことがない。
「神曲」が書かれたのは14世紀初頭である。ちょうどルネサンスの勃興期である。このころにはすでに地球球体説が受け入れられていたことがわかる。しかし、ニュージーランドがヨーロッパ人に知られるようになったのは1642年である(ウィキペディア「ニュージーランド」)から、14世紀初頭の世界地図にはニュージーランドは描かれていないはずで、エルサレムの対蹠地は南太平洋の真ん中だと思われていたことだろう。絶海の孤島の方が架空の山、煉獄山の場所としてふさわしいかもしれない。
煉獄の山をだんだん登っていくと魂が清められ(purge)、頂上から天国へと飛び立っていくわけである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/76/1e1381671a6eadc499a27034cd39bd09.jpg)
【煉獄からの救済の想像図(中央に聖母像)】
仏教にも煉獄のようなものがあるという話は聞いたことがないが、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話がそれに近いのだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/87/e56cfc7a8143f481a98fe1d6ccef66cb.jpg)
キリスト教でも正教会やプロテスタントなどキリスト教の他の教派では「煉獄」の存在を認めていないそうである(ウィキペディア「煉獄」)。
カトリックの方が罪びとに対して甘いということだろうか。
「煉獄」はスペイン語では Purgatorio、ポルトガル語で Purgatório 英語では Purgatory である。英語の pure や purge は Purgatory の関連語である。ポルトガル語 Purgatório からキリシタン用語の「プルガトーリョ」となったが、映画「沈黙」の中にはこの言葉は出てこなかったようである。
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地獄の底へ底へと下降していくと、最下層に魔王ルチフェロ(サタン)が氷の中に永遠に閉じ込められている。
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【氷地獄コーキュートスの最深層にいる悪魔大王(ディーテ)。『神曲』地獄篇を描いたギュスターヴ・ドレの連作の34番。】
しかしながら、現在では、地球は中心へ行けば行くほど高温になり、中心部は5000K - 8000Kと推定されている(ウィキペディア「地球」より)。
ともあれ、この魔王ルチフェロはスペイン語では Lúcifer(ルシフェル)で、手元の西和辞典によると、同源同形のポルトガル語が室町時代に日本に入り、キリシタン用語「ルシヘル」になったとのことである。映画『沈黙」の中では「ルシヘル」という言葉は出てこなかったと思う。
さて、ダンテと案内人のヴェルギリウスは「魔王の体を足台としてそのまま真っ直ぐに反対側の地表に向けて登り、岩穴を抜けて地球の裏側に達する。そこは、煉獄山の麓であった」(ウィキペディア「神曲」)。
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【煉獄の入り口(画:ギュスターヴ・ドレ)】
ということはイタリアの対蹠地(英 antipodes、西 antípoda)はニュージーランドの東海上になる。
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【対蹠地(たいしょち、たいせきち)マップ】
ダンテはてっきりイタリアの森に迷い込んだと思っていたのだが、煉獄はエルサレレムの対蹠地にあるとのこと(ウィキペディア「神曲」参照)。そうすると、対蹠地はニュージーランドの東海上をさらに東へ行くことになる。タヒチ島あたりだろうか。いずれにせよ、こんなところにたいした山はなさそうである。大体の場所でいいというのなら、イタリアの対蹠地はニュージーランドということになり、ここには山はある。ただ、ニュージーランドやタヒチなどに煉獄山があり、観光名所になっているという話は聞いたことがない。
「神曲」が書かれたのは14世紀初頭である。ちょうどルネサンスの勃興期である。このころにはすでに地球球体説が受け入れられていたことがわかる。しかし、ニュージーランドがヨーロッパ人に知られるようになったのは1642年である(ウィキペディア「ニュージーランド」)から、14世紀初頭の世界地図にはニュージーランドは描かれていないはずで、エルサレムの対蹠地は南太平洋の真ん中だと思われていたことだろう。絶海の孤島の方が架空の山、煉獄山の場所としてふさわしいかもしれない。
煉獄の山をだんだん登っていくと魂が清められ(purge)、頂上から天国へと飛び立っていくわけである。
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【煉獄からの救済の想像図(中央に聖母像)】
仏教にも煉獄のようなものがあるという話は聞いたことがないが、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話がそれに近いのだろうか。
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キリスト教でも正教会やプロテスタントなどキリスト教の他の教派では「煉獄」の存在を認めていないそうである(ウィキペディア「煉獄」)。
カトリックの方が罪びとに対して甘いということだろうか。
「煉獄」はスペイン語では Purgatorio、ポルトガル語で Purgatório 英語では Purgatory である。英語の pure や purge は Purgatory の関連語である。ポルトガル語 Purgatório からキリシタン用語の「プルガトーリョ」となったが、映画「沈黙」の中にはこの言葉は出てこなかったようである。
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