スパニッシュ・オデッセイ

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アメリカの孔子様

2017-09-04 18:04:06 | トリビア
  前回、閻魔大王のモデルになったともいう孔子の頭頂部が窪んでいて、鬼の様なご面相だったという話をした。お世辞にもイケ面とは言えない。むしろ、醜男である。
  そもそも孔子は氏が孔、諱(いみな)を丘と言った。孔子の「孔」は穴の意味である。瞳孔、鼻孔などの「孔」である。つまり孔丘は穴があいた丘という意味になる。孔子の頭頂部の特徴そのものではないか。
 杉原たく哉著『中華図像遊覧』 (p. 29) から引用する。
  
 孔子は本名を孔丘というが、「丘」は「周囲を小高い山に囲まれた高台」を意味し、頭頂部の特徴からの命名であると『史記』は述べている。
 
 話は変わるが、英語などヨーロッパ語では身体的特徴からニックネームがつけられ、それが姓になった例もある(「ニックネーム起源の姓(1)」参照)。
 英語の例を挙げると、色黒だから、Black さん。色白の White さん。若く見えるから Young さんなどである。
  スペイン語だと、英語同様、「白」を意味する Blanco さんがいる。痩せているから Delgado さんという姓もある。「はげ」の意味の Calvo さんもいる。
 ところで、ブリテン諸島(イギリスとアイルランド)で話されている言葉は英語だけではない。ウェールズにはウェールズ語がある。アイルランドやスコットランドにはゲール語というものがあり、ゲール語に由来するニックネームの姓もある。
 イギリスの首相を務めた Cameron さんは「曲がった鼻」という意味の姓である。Cameron 氏自身の鼻は曲がっていなかったと思うが。
 Kennedy もゲール語のニックネームが起源になっている。その名前の意味を考えたことのある人はそういないだろう。何と、「醜い頭(顔)」という意味である(『人名の世界地図 (文春新書)』p. 28)が、幸いなことに故ケネディ大統領を含めて、ほとんどのアメリカ国民は彼の名前の意味を知らないことと思う。
 さて、ここで孔子様に戻るのだが、頭頂部が窪んでいる孔子様が同時代にアイルランドかスコットランドに生まれていたら、Kennedy というニックネームをつけられていたことだろう。
 というわけで、故ケネディ大統領はアメリカの孔子ということになろうか。
 

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