スパニッシュ・オデッセイ

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「月と六ペンス」のトリビア

2023-10-07 11:16:27 | トリビア
 今回はスパニッシュとは関係のない話である。
 1919年にサマセット・モームの小説「月と六ペンス」が刊行され、世界的な人気を博した。日本語にも翻訳されている。
 まずはタイトルの一部の「六ペンス」についての考察である。 
 6ペンスというと、現代の感覚では何とも中途半端な額である。
 イギリスの通貨はポンドだが、1971年に1ポンド=100ペンスに改定され、現在に至っている。現在のイギリスのペンス硬貨は1ペニー、2ペンス、5ペンス、10ペンス、20ペンス、50ペンスの6種で、当然ながら6ペンス硬貨はない。
 1971年以前は12ペンス=1シリング、20シリング=1ポンド、つまり240ペンス=1ポンドという、複雑な体系であった。
 ペンス硬貨には1ペニー、2ペンス(「タペンス」と発音される。ミュージカル『マイ・フェア・レディー』でイライザが歌う歌に「タペンス」が出てくる)、6ペンスがあった。1971年以前は6ペンス=半シリングなので、中途半端な額ではなかったのである。
 ところで、英語圏の童謡である『マザー・グース』の一編に「6ペンスの唄」( "Sing a song of sixpence") というのがある。数ある『マザー・グース』の中でも五指に入るほど愛唱されている唄で、通常愛唱されている唄は4連で構成されている(ウィキペディア「6ペンスの唄」より)。 
 このように6ペンス硬貨はなじみのある硬貨だったのである。
 6ペンス硬貨は、イギリスで1551年から1971年まで製造されていて、コインには歴代の王や女王が刻印されてきた。しかしながら、1971年に製造が中止され、幻の6ペンスとも呼ばれているようであるが、日本でも手ごろな価格で入手可能である。
 
 イギリスでは、童謡のマザーグースに出てくるサムシングフォー(“Something Four”和製英語)の歌の歌詞が由来となり、結婚式へと向かう花嫁の左靴の中に6ペンスを入れておくことで「経済的にも精神的にも満たされ、豊かで幸せな人生をもたらす」と考えられ、現在もなお、結婚式のラッキーアイテムとして人々に愛され続けているそうである。唄の詳細はリンクを参照されたい。

 
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