はずかしながら、ワタクシが「アパルトヘイト」と言うもがあるのを知ったのは二十歳をちょっと過ぎた頃。
当時ワタシには「地球の歩き方」に寄稿しながら、世界中を旅している彼がいた。
彼は時々日本に戻ってきては「フランスでお好み焼きの屋台を出していたら、警察につかまった」だの「中国の山奥で風土病にかかって、足に膿がたまって、それを自分でガーゼで取り出さなければいけなかったのが死ぬほど辛かった」だの「(国は忘れたが)マラリアにかかって熱が42度にもなったが、誰もいなかったので自分で這って水を汲みに行かねばならなかった」だの「(これも国は忘れたが)ゲリラと一緒に生活をしたら、敵を殺すためにピアノ線で代用のヤギ(羊だったか?)の首を落とす練習をさせられた」などという話を沢山聞かせてくれたものだ。
今考えると何処までが本当だったのか謎なのだが(笑)。
そんな彼がある日「お前アパルトヘイトって知ってるか?」と問うてきた。
「え?知らない。何それ?」と言うワタシに彼は岩波文庫・・・かどこかのアパルトヘイトについて記された本(20年も前の話なので記憶があやふやなのだが)を手渡してくれた。
「ちっとは世界について勉強しろや」
当時、ワタシは彼にモーレツ(死語)に惚れていたので(笑)、彼に話を合わすためにとにかくアパルトへイトに関する本を何冊か読んでみた。
しかし・・・チョイスする本がワタシの頭のレベルに合わなかったらしく、難解な言葉が羅列してあるものばかりで、どうにも頭に入ってこなかったのであった・・・(汗)。
動機が不純で、意欲的に勉強するという感じでもなかったから、頭になかなか入りにくかったのもあるのだろうが。
ただこの政策がとんでもない間違いであって、黒人は人権もなく不当な扱いを受けているということはわかった。
2007年/仏・独・ベルギー・伊・南ア合作
マンデラを演じたデニス・ヘイスバート。
彼が実にマンデラにそっくりなのである。
それがこの映画に説得力と、気高い精神を持つ人間の奥深さを感じさせているのかも知れない。
南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラ。
彼は実に27年間の長きに渡り、獄中での生活を強いられた。
1968年、主人公グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)は赴任したロベン島で、マンデラ(デニス・ヘイスバート)の担当に抜擢される。
グレゴリーはマンデラの故郷近くで生まれ育ったため、彼らの言葉であるコーサ語に堪能だったのだ。
彼の仕事はマンデラを監視し、秘密の会話や不穏な動きを少佐に報告するというものだった。
グレゴリーは他の白人と同じように人種差別主義者であり、マンデラを「憎むべきテロリスト」と考えていた。
また彼だけではなく、彼の妻も同じように人種差別主義者であった。
黒人が白人の警官に暴行を受ける姿を見て涙する自分の娘に「これが神様の望んでいることなのよ」とごく当たり前のように言う姿には驚いてしまった。
それはアパルトヘイトという国の政策のためであった。
「黒人はいつか白人を皆殺しにするであろう」ということを国民に吹聴したのだ。
国民にある一定の情報しか与えずそれを事実のように信じ込ませる方法は、戦前の日本と似ている。
恐怖は時に人を凶暴にさせる。そして力で抑え込もうとする。
それに反撥するものをさらにねじ伏せようとする。
昇進を望むグレゴリーは職務に忠実であった。
囚人たちの手紙を細かくチェックし、面会の時の会話で政治的なものがあると面会を中止させた。
そしてそれを細かく上層部に報告した。
だがマンデラに接するうちに、彼の気高い精神や信念に心を動かされ、徐々にアパルトヘイトというものに疑問を持つようになる・・・。
看守グレゴリーの目を通した、マンデラの27年間が描かれた作品である。
というよりグレゴリー自身の27年間を描いた・・・と言っていいかも知れない。
彼はマンデラに出会い、己の良心に従うべきか己の職務を全うすべきか、苦悩し続ける。
幼い頃、黒人の少年と友情を育んでいたグレゴリーは、少年がくれたお守りを肌身離さず持ち歩いていた。
そんな彼が何故人種差別主義者になってしまったのか、その過程は描かれていない。
長い時間を経て、自分の中で無理矢理アパルトへイトというものを正当化してしまったのだろう。
そうしないと白人社会の中で生きていけなかったのかも知れない。
アパルトヘイトという人種隔離政策は形の上では今は存在しないが、人々の意識は簡単に変わるものではないだろう。
だがマンデラは27年間、決して諦めることなく強い精神力で活動し続け、人々に希望を与え続けた。
「自由憲章」の内容や、グレゴリーに語った言葉や、権力に屈しない牢獄での姿に、マンデラという人間の偉大さを改めて思い知らされる。
そのマンデラに心を動かされ、小さくはあるが歴史を動かす歯車として存在した看守のことを忘れないでいようと思う。
当時ワタシには「地球の歩き方」に寄稿しながら、世界中を旅している彼がいた。
彼は時々日本に戻ってきては「フランスでお好み焼きの屋台を出していたら、警察につかまった」だの「中国の山奥で風土病にかかって、足に膿がたまって、それを自分でガーゼで取り出さなければいけなかったのが死ぬほど辛かった」だの「(国は忘れたが)マラリアにかかって熱が42度にもなったが、誰もいなかったので自分で這って水を汲みに行かねばならなかった」だの「(これも国は忘れたが)ゲリラと一緒に生活をしたら、敵を殺すためにピアノ線で代用のヤギ(羊だったか?)の首を落とす練習をさせられた」などという話を沢山聞かせてくれたものだ。
今考えると何処までが本当だったのか謎なのだが(笑)。
そんな彼がある日「お前アパルトヘイトって知ってるか?」と問うてきた。
「え?知らない。何それ?」と言うワタシに彼は岩波文庫・・・かどこかのアパルトヘイトについて記された本(20年も前の話なので記憶があやふやなのだが)を手渡してくれた。
「ちっとは世界について勉強しろや」
当時、ワタシは彼にモーレツ(死語)に惚れていたので(笑)、彼に話を合わすためにとにかくアパルトへイトに関する本を何冊か読んでみた。
しかし・・・チョイスする本がワタシの頭のレベルに合わなかったらしく、難解な言葉が羅列してあるものばかりで、どうにも頭に入ってこなかったのであった・・・(汗)。
動機が不純で、意欲的に勉強するという感じでもなかったから、頭になかなか入りにくかったのもあるのだろうが。
ただこの政策がとんでもない間違いであって、黒人は人権もなく不当な扱いを受けているということはわかった。
2007年/仏・独・ベルギー・伊・南ア合作
マンデラを演じたデニス・ヘイスバート。
彼が実にマンデラにそっくりなのである。
それがこの映画に説得力と、気高い精神を持つ人間の奥深さを感じさせているのかも知れない。
南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラ。
彼は実に27年間の長きに渡り、獄中での生活を強いられた。
1968年、主人公グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)は赴任したロベン島で、マンデラ(デニス・ヘイスバート)の担当に抜擢される。
グレゴリーはマンデラの故郷近くで生まれ育ったため、彼らの言葉であるコーサ語に堪能だったのだ。
彼の仕事はマンデラを監視し、秘密の会話や不穏な動きを少佐に報告するというものだった。
グレゴリーは他の白人と同じように人種差別主義者であり、マンデラを「憎むべきテロリスト」と考えていた。
また彼だけではなく、彼の妻も同じように人種差別主義者であった。
黒人が白人の警官に暴行を受ける姿を見て涙する自分の娘に「これが神様の望んでいることなのよ」とごく当たり前のように言う姿には驚いてしまった。
それはアパルトヘイトという国の政策のためであった。
「黒人はいつか白人を皆殺しにするであろう」ということを国民に吹聴したのだ。
国民にある一定の情報しか与えずそれを事実のように信じ込ませる方法は、戦前の日本と似ている。
恐怖は時に人を凶暴にさせる。そして力で抑え込もうとする。
それに反撥するものをさらにねじ伏せようとする。
昇進を望むグレゴリーは職務に忠実であった。
囚人たちの手紙を細かくチェックし、面会の時の会話で政治的なものがあると面会を中止させた。
そしてそれを細かく上層部に報告した。
だがマンデラに接するうちに、彼の気高い精神や信念に心を動かされ、徐々にアパルトヘイトというものに疑問を持つようになる・・・。
看守グレゴリーの目を通した、マンデラの27年間が描かれた作品である。
というよりグレゴリー自身の27年間を描いた・・・と言っていいかも知れない。
彼はマンデラに出会い、己の良心に従うべきか己の職務を全うすべきか、苦悩し続ける。
幼い頃、黒人の少年と友情を育んでいたグレゴリーは、少年がくれたお守りを肌身離さず持ち歩いていた。
そんな彼が何故人種差別主義者になってしまったのか、その過程は描かれていない。
長い時間を経て、自分の中で無理矢理アパルトへイトというものを正当化してしまったのだろう。
そうしないと白人社会の中で生きていけなかったのかも知れない。
アパルトヘイトという人種隔離政策は形の上では今は存在しないが、人々の意識は簡単に変わるものではないだろう。
だがマンデラは27年間、決して諦めることなく強い精神力で活動し続け、人々に希望を与え続けた。
「自由憲章」の内容や、グレゴリーに語った言葉や、権力に屈しない牢獄での姿に、マンデラという人間の偉大さを改めて思い知らされる。
そのマンデラに心を動かされ、小さくはあるが歴史を動かす歯車として存在した看守のことを忘れないでいようと思う。
それと宮部みゆきさんの本、アニメで映画化されたのは「ブレイブ・ストーリー」だったわ。さっき2階の書棚観て思い違いにきがついた。こちらも嵌って読んだ本。
デニスさんはパーマー大統領にしか見えない。
マンデラさんはきっといい人だ。
>ジョセフ・ファインズが今までとは違う
そうなんですよね・・・。
実はワタシ「ハサミを持って突っ走る」を観るまで、ジョセフが苦手だったのですが、あの映画を観てから彼のことが気になるようになってきたのですよねえ。ヘタするとこの先、レイフより気になる存在になるかも(ないと思うけれど)?
この映画でもとってもよかったですよ。
グレゴリーの苦悩がひしひしと伝わってくるような演技でした。
ただワタシが本で読んだアパルトヘイトはもっと血生臭く残酷なものだった。
でも映画は意外とさらっと仕上がっているなあという感じでしたね。
「ブレイブ・ストーリー」は予告はよく観たけれど、映画は観てないです。
映画・・・面白いのかなあ?
そうなのよ~~~シリアスな映画を観ちゃったのよ~~ん。
おバカなワタクシですが、たまにはマトモな映画も見とうなるんです。
それに元彼に対して沢山感謝しているので、そんな気持ちもあってアパルトへイトの映画は観ておきたかったの。
>デニスさんはパーマー大統領にしか見えない。
うん、自分も映画を観るまではそう思っていたのだけれど、観ているうちにマンデラに見えてくるのよ~~ん。ホント不思議だけどね。
でも、アパルトヘイト関連の映画って意外とすくない気がしますね。
もっと色々作ってもいいのに。
デニスさんは「メジャー・リーグ」がタマんないですよ。
ライヴエイドほど話題にもなってなかったような気がします。
以前NHKでサイモンとガーファンクルの「明日へ架ける橋」って曲にまつわる話しをやっていて、自由への希望を持った歌として今も聖歌隊などで歌われているようなことをやっていました。(ここでの曲はアレサ・フランクリンが歌ったものが広がったらしいですが)
でも、やはり今でも根強いみたいですね。
こういう映画がたくさん作られて世の中の人にもっと知らしめるべき問題だと思います。
とか、言いながらワタシも詳しい事は解らないんだけれど・・・。
で横レスですが・・・「ブレイブ・ストーリー」面白かったですよ。
松たか子が声優をやっていて、子供向けのアニメだと思って息子と見ましたがワタシのほうが感動しました。
あれはぜひ青少年に見て欲しいです。
自分もこれからちょっと世界を放浪してこようかなぁ、、、って一日車を運転しただけでへたばる自分には無理な話ですね。涙。
とりあえずピアノ線でヤギの首を落とすところから始めるか・・・(始めるな!!)。
この映画、予告上映を見て気になって、観たいリストに入ってます。
試写会に行かれたとは、dimさん、かなり関心があったのですね~。
>恐怖は時に人を凶暴にさせる。そして力で抑え込もうとする。
異質な相手への恐怖や無理解、そして相手より優位に立ちたいという人間の本能みたいものが差別へ繋がるんでしょうね~。
差別はいかん、自分は差別なんかしないと思ってても、実は身近で時々はっとすることってある・・・。気付いてないこともたくさんあるのかも。(汗)
これ、すごく観たいと思ってたんですよ。
でもこっちでもまだDVDなっていないようですし、
のんびり待つしかないようです…。
こういう感じの話って好きなので、楽しみです。
昔の彼のお話がまた面白かったです♪
"恐怖"というものは、いつの時代でも権力者によってうまく使われていますよね。
ナチも"恐怖"をうまく利用してきたし。
今の世の中でも特にそう。
テロだとか色々。
時代は悲しいことながらも、同じことを繰り返してしまっていますね…。
そうですね~~「遠い夜明け」もアパルトヘイト問題を取り上げていたんですよね。
拷問の末にデンゼルが演じたビコはなくなってしまうけれど「名もなきマンデラの看守」ではそこまでは血生臭くない。
思うに獄中ではマンデラは意外と優遇されていたのではないかしら?
まあ27年も拘束されていたわけだから優遇もなにもあったもんじゃないだろうけれど。
ワタシもこういう映画はもっと沢山あってしかるべきだと思います。
「メジャーリーグ」・・・。
わざわざ映画館まで観に行ったのに全然覚えてませんが・・・黒人といえばブードゥー教かなんかの人しか覚えていない・・・(汗)。