無名のスポーツ記者イヴァンの妻は、人気女優シャルロット。二人で街を歩けば妻はサイン責め。レストランの予約は自分ではなく彼女が電話をかければあっさりとれる。スピード違反をすれば彼女のおかげで無罪放免。どこかのバカが「ラブシーンをする女優が妻だなんてイヤじゃないか?」と話しかけてくる…。
今日もシャルロットを愛するイヴァンの悩みは尽きない。
実際にシャルロットを妻に持つイヴァン・アタルが自ら監督・脚本をてがけ、両名がそのまま夫婦の役を演じた、軽快なラブコメディーである。
なかなか洒落ていて、あちこちに笑いのタネが散りばめられていて、しかもホロっとくる場面がある……私の好きなタイプの映画だった。
イヴァンが撮影所のシャルロットを訪ね、驚く場面がある。
スタッフがみな一糸まとわぬ姿で撮影をしているのだ。
それはシャルロットがラブシーンで裸になるのを嫌がり、監督に「みんなも裸になるなら自分も脱ぐ」とだだをこねたからなのであった。
監督はその要求を呑んだわけだが、すっぽんぽんで生真面目に仕事をしているスタッフの姿は、妙におかしい(こんなことまでせなばならないなんて、スタッフを演じた俳優は大変だっただろうな)。
その現場を見て訳がわからなくなったイヴァンは、彼女の仕事を理解しようと自ら演劇にチャレンジする。
演劇コースのメソッドで「花の誕生を表現しなさい」と言われ、演じたイヴァンの姿には大爆笑してしまった。でもちゃんと花に見えたからスゴイ!
「花の誕生」の撮影の時、実際のイヴァンは演じながらスタッフと目があうと笑ってしまって15テイクもとったという(それで最高な「花の誕生」が出来上がったわけなのね)。
途中までは、イヴァンの苦悩する姿に笑ってもいられたが、共演者の男優に嫉妬し「あいつと寝たんだろ?」としつこくシャルロットに問いただす姿を見てちょっとひいた。
嫉妬する男の姿は度を越すと笑えない。むしろ嫌悪感を抱いてしまう。
嫉妬に胸を引き裂かれそうな思いでイヴァンはその場を立ち去ろうとする。
だがそのイヴァンにシャルロットが無言で抱きついてキスをする。
シャルロットを思い切り抱きしめるイヴァン…。
何故だかわからないけど、私はそれを見て涙ぐんでしまった。
「あーこの二人はホントに愛し合っているんだなー」と思えたからだろうか?
ブラッド・メルドーの軽妙なジャズがおしゃれで映画にぴったりだった。
それからオープニングの大女優の顔の数々…。
これも洒落ているなと思ったけど、ほとんど誰だかわからなかったわ…(汗)。
後でメイキングを見たら、イヴァン・アタルが監督の顔で映っていた。
映画の中の悩める夫の顔とは全く違った、生き生きとした、時には厳しい監督の顔は実に魅力的だった。
シャルロット・ゲンズブールはそんなイヴァンに惚れ直したに違いない。
ずーっと前から疑問に思っていたのですが、シャルロット・ゲンズブールはフランスでいうと美人さんなんでしょうか?私には美の基準がよくわからないのです。
イヴァン・アタルの「花の誕生」のシーンはよかったですよ。大爆笑してしまいました。
でもやっぱり監督の顔の方が魅力的でしたね。同じ人間でもこうも顔が変わるものかと驚きました。
でも年を取るごとに魅力が出てきたというか、最近いい俳優になったなあと思うようになりました。あの顔も老け顔なので、いまになってちょうどよくなってきたのかも。
「僕の妻は・・・」もその続編も見てないのですが(シャルロットがこのようにクローズアップされるのが少々耐えられない・・・)、イヴァンの魅力はたっぷり出てそうですね。