オバサンは熱しやすく涙もろい

とてつもなくミーハー。夢見るのはお気楽生活

時代小説にはまる。「あかんべえ」

2008-04-19 21:52:56 | 
先日病院に精密検査を受けに行ったのだが、待合室で長く待たされるであろうことを見越して、何とはなしに購入したのが宮部みゆき氏の「あかんべえ」。

彼女の作品は殆ど読んでいるのだが、時代小説だけは避けていた。
今考えるとどうして避けていたのか理由が定かでない。
20代の初めに坂本竜馬と土方歳三にはまり、彼らの名のつくものは片っ端から読んだという過去があり、あまりに一気に読みすぎて飽きがきて今までたたっていたのかも。


 

さて「あかんべえ」。
江戸・深川の料理屋「ふね屋」が舞台。
太一郎は、賄い屋「高田屋」から独立し、深川で「ふね屋」という料理屋をはじめるのだが、その店の船出ともいえる宴の席で、突然抜き身の刀が暴れ出し、座敷を滅茶苦茶にされてしまう。
「ふね屋」はお化けが出る店として人々の噂にのぼり、客足が途絶えてしまった。

そのふね屋の一人娘の名をおりんと言う。
おりんには不思議な力が備わっていた。
なんとおりんにはお化けの姿が見えるのである。

ふね屋には沢山のお化けが住んで(?)いた。
おりんよりずっと小柄な女の子のお化け。
二十歳くらいの美男子の若いお侍のお化け。
あんまのお化けや、あだっぽい姐さんのお化けや、刀を持って暴れるお化け・・・などなど。
おりんにはその全てのお化けの姿が見えた。

だがそのお化けたちが何故ふね屋に住んでいるのか、おりんには全くわからない。
当のお化けたちも自分たちが何故そこにいるのかわからない。
そのお化けたちと話をするうちに、おりんはふね屋に現れるお化けたちには何が繋がりがあるのではないかと思うようになる。
おりんは過去にふね屋の土地で何があったのかを調べるうちに、驚くべき事実を知る・・・というお話。

お化けたちと、生きている人間たちの業をからませ、話はテンポよく進んでいく。
イマジネーションを膨らませてくれる、温かみのある宮部さんの文章はやっぱり素晴らしいし、中盤までは「相変わらず読ませてくれるよなあ」と思うのだが、ラストがちょっと惜しい気がする。
中盤が盛り上がれば盛り上がるほど、ラストへのもって行きかたが難しいと思うのだが、この作品はまるで枚数制限でもあったかのように、最後ばたばたっと終わってしまった感がある。
ひっぱるだけひっぱってなんだよう~~とちょっとだけ思った。ちょっとだけね(笑)。
それは「模倣犯」の時もそう感じたのだが、それはワタシだけなのかな。

まあそれを差し引いたとしても、面白い作品だった。
時代小説ではあるが、考えさせられる人間ドラマでもあり、極上のサスペンスでもある。


で、この物語に出てくる二十歳くらいの美男子の若い侍のお化け。
名を玄之介というのだが、このお化けがなかなかよろしい。
彼は生前は放蕩息子で、女性には目がない男だったらしいのだが、性根は悪くない。むしろよろしい。
そしてあろうことか、ワタシはこの玄之介に惚れてしまった・・・(汗)。
最後は無事に成仏するのだが、その時のワタシの心の中は「よかったね」という安堵感と「もういなくなっちゃうなんて・・・悲しすぎる」という悲しみが入り混じった複雑なものであった。

この物語を読んでいる間、玄之介はワタシの中では堺雅人だった(ちょっと年いってるけど)。
もうそれは当然のように、玄之介が出てきた瞬間からワタシの頭の中では堺雅人が紋付袴姿になっていた。



山南敬助もよかったが、この玄之介の役もぴったりなのではないか?
と思ったら、どうにもこうにも堺雅人が気になって仕方がない。
全然見るつもりのなかった「アフタースクール」(公式サイトこちら)も、鑑賞予定に入れてしまおう。



なんだか堺雅人が自分の中では「日本のジェームズ・マカヴォイ」になっている(笑)。
そう「あかんべえ」のことが書きたかったというより、自分のお気に入りに堺雅人が加わったということが言いたかっただけなの。
ああ「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」も見ないとなあ~(笑)。
コメント (14)
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